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INTERVIEW

BULL ZEICHEN 88

2015.10.06UPDATE

2015年10月号掲載

BULL ZEICHEN 88

Member:栄二郎(Vo) IKUO(Ba)

Interviewer:沖 さやこ


-はははは! 「WINK」は"seba子"さんと栄二郎さんのツイン・ヴォーカルなんですよね。

IKUO:YouTubeに上げた第1弾のトレイラーも、seba子が歌ってるポップな部分だけをくっつけて作ったものなので、まあTwitterとかで物議を醸しておりまして(笑)。でも僕はこの曲を全部真面目に作ってたんですよ? 僕はPeter FramptonやPILOTみたいな70年代の中期から後期の懐かしいポップスが好きなので、ラウドで激しいものの中にそういうポップスを入れたかった、というのがテーマでもあったんです。でも淳士君がそのポップスの中に"そよ風"や"WINK"や"さらさら"みたいな歌詞を乗せたお陰で見事に化けてしまい、そういうつもりじゃなかったんだけどな~と思いつつ(笑)、もう振り切ってしまおうと思い、セバス(sebastian)に歌わせて、女装させて"BULL ZEICHEN 88 featuring seba子"というイメージに持っていこうと。でも賛否両論あれど、盛り上がればいいんですよ。めちゃくちゃ面白いから(笑)。ライヴで盛り上がる曲になると思うので、楽しみでもありますね。

栄二郎:ライヴでの見せ方はまだ決まってないんですけど、こうやって曲を作ったあとに"ライヴでどう見せようか?"と考えることができるのも面白いですよね。

IKUO:最近のBULL ZEICHENのライヴはセバスいじりが激しくて、セバスをフィーチャーしたコーナーまでできちゃって(笑)。だから今回のseba子は、その一連の流れからできたものでもあるんです。

栄二郎:ただ、フィーチャーされるのはギターではなくアイドル性だったと(笑)。

-はははは。何でもアリですね。

IKUO:でもこれも、ヒントがあったんですよ。例えばヒステリックパニックを観たときに"ラウドでこういうことをやってもいいんだな!"と思って(笑)。演奏も巧いし、僕は結構あれにビビッときたんです。良い悪いとかではなく、インパクトがすごくて。だからこれも、音楽の雰囲気をオマージュする、というやつですね。だから"どういうことをしよう?"と考えるのはプロデューサー的でもあるのかも。プロデュースの仕事もやっていたりするので、どうしてもそういうところには敏感になりますよね。

-個々の活動がバンドにも還元されるのは、クリエイティヴなことだと思います。

IKUO:バンドだけをやっているのとは違う刺激がたくさんあるし、それがバンドの音楽の要素になりえるんですよね。そういうスタンスでやっている人間ならではの発想が生まれるんじゃないかな。だからどのフィールドのことも否定しないこと、ですね。僕はどんなサポートもプロデュースの仕事も、命がけでやっている......というところもありますし。僕がサポートをしているT.M.Revolutionは、今フュージョンやメタルコアのアレンジを取り入れているんです。J-POPというひとつの括りの中でそういうミュージシャンを揃えて音楽活動をしているので、それはそれですごい影響を受けるんです。それをバンドに還元して......ちょっといやらしく見えるかもしれないですけど。だからこそ他のバンドではできないことができるんじゃないかなと思いますね。

栄二郎:そのお陰でメンバーはハードルが毎回どんどんどんどん上がってるのでガクブルですけどね(笑)。

IKUO:毎回毎回、先のこと何も考えてないですからね(笑)。とにかく今できることをやりつくす! おまけに誰もそれを止めないんですよ(笑)。「WINK」もポップスの部分を聴いた淳士君がグッときちゃって、一気にひらめいてseba子が生まれちゃって。seba子の女の子のフリや動きのディレクションは全部淳士君なんです。面白いMVはほとんどあの人が監督なので。でも僕ら、コミック・バンドではないから――。

-そうなんですよね。絶対にコミック・バンドではない。

IKUO:でもそれが危険なラインだなとも思うんですよ。今回はそれのギリギリな気もしていて。「HIMANCHU」はMVが面白い感じで、「WENDY」は歌詞で"腐れ童貞"なんて言葉が入っていたりしたんですけど(笑)、曲だけ聴くと正統派なんですよ。今回は初めて音だけでも"え!?"と思うものなので、実は自分たちにとっては冒険なんですよ。"ここまでやって欲しくなかった"と思う人もいるかもしれない。だからここの決断は結構大変で。でも......やっぱり、面白いことをやりたい。かっこいいバンドは本当にいっぱいいて、出尽くしている。だからそこで勝負するんじゃなくて、人がやっていないことをやる。「WINK」の路線をこれから先も続けるとは限らないけれど、今回はこれで。だからどんな反応があるんだろう......というのは正直気になっていますね。レコード店さんのポップや媒体さんになんて書かれるんだろう!? ってドキドキです。

-今回みたいな冒険ができたのはコンスタントなリリースだからかもしれないですね。お話をうかがっていて、リリースが続くと物理的にいろんな曲を出せるだけでなく、様々な表情が生まれることで、バンドの許容範囲を広げることができるなと思いました。年1回のリリースで『WINK』だとリスキーかもしれませんが(笑)。

IKUO:そうですね(笑)、リリースが続くと冒険もしやすくなるということですね。そういう意味で『WENDY』のあとに『WINK』が来るのも、すごく良かったと思いますね。

-『WINK』から一転、Track.3「Remember」はとてもストレートで真っ直ぐな曲で。

IKUO:実は「Remember」は結成時くらいに作った曲で。音源化はされていないけど、ファンへのメッセージとしてワンマン・ライヴではたまにアンコールでやっていたりしたんです。

栄二郎:初めてデモを作って聴かせてもらったのがこの曲なんですよ。