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INTERVIEW

THE冠

2015.09.09UPDATE

2015年09月号掲載

THE冠

Interviewer:荒金 良介

-前作『帰ってきたヘビーメタル』(2013年リリースの4thアルバム)から約2年経ちましたね。

これは言わなくていいかな......まあいいか。事務所がなくなり、独立する形になったので、バタバタしていた時間もあったもので。大体アルバム出したら半年ぐらいツアーして、曲を作るサイクルなんですけどね。去年の夏すぎぐらいから曲を作り始めて、早くリスタートを切りたいなと。Track.6「初志冠徹」という曲もありますけど、もう一度自分のやりたいことを貫くぞと。とはいえ、前作も"帰ってきたヘビーメタル"と言うてますけどね(笑)。

-たしかにそうですね。

基本、やってることは変わらないんですよ。こないだ20年前の記事をお客さんが見せてくれたんですけど、"怒りのパワーを笑いに変えて届けてやる"と言ってて。あっ、俺やってることは変わらないなと。あと、今年3月からは"劇団☆新感線"の舞台もあり、ちょっと時間はかかりましたけど、なるべく早くみなさんに新曲を届けようと。今回はひと際熱いかもしれない。自分の力で一歩一歩着実にという熱い気持ちがこもったアルバムですね。ヘヴィ・メタルの曲だけを作るのは簡単だけど、気持ちと一緒に乗せて作るのはまた違いますからね。それにお仕事で作るヘヴィ・メタルじゃないから、1曲1曲時間がかかるんですよ。今回の『鎧兜鎖血』(読み:よろいかぶとくさりけつ)、表のジャケットで僕は鎧着て、兜被って、鎖を首に巻いて、血と書いてるけど、裏ジャケではケツ出してますからね。堅苦しいことを含めて、笑いで昇華することを考えてます。

-改めて自分の持ち味を見返すタイミングだったんですか?

今回ハイトーンもあるけど、歌も好きなので、メロディにこだわりました。

-ええ、今作は冠さんの歌心がグッと増してます。

もちろんリフ、ツーバス、無駄に長いギター・ソロも入ってますけど、歌いたいなと。それはみんなに歌って欲しいという気持ちもありますね。

-なぜそういう心境になったんでしょう?

昔から歌うのは好きだし、今の僕の流れと言いますかね。3月から舞台もやってて、日々歌ってるんですよ。音楽の先生にもついたりして、一音一音のメロディの大切さを舞台で再確認しました。44歳になる年齢にしてね(笑)。

-舞台の経験も大きく影響しているんですね。

"魅せる"、"エンターテイメント"という意味でもすごく勉強になってます。次のツアーでお金をかけた大舞台はできないけど、何かしら反映できるんじゃないかな。ぜひともアルバムを聴いて、ツアーにも来て欲しいですね。

-以前はヘヴィ・メタルというキーワードが頭の片隅にあり、そういう歌唱法を意識する割合の方が高かったですか?

基本的にずっとメロディがあるものを歌ってるつもりだけど、シャウトの印象が強すぎてね。これから歌心に目覚めて、ムード歌謡に行ったらどうしよう(苦笑)。まあ、今回はいいバランスだと思います。歌い出しはいろんな声のパターンを使ってるけど、サビではしっかり歌ってる曲もありますからね。声の種類はめちゃくちゃ使ってます。

-ヴォーカルの表現力は多彩になってますね。

あれできるんちゃうか、これできるんちゃうかって、同じことをやってるようで常に進化していきたいですからね。

-Track.1「鎧兜鎖血」は歌謡曲テイストが色濃いですね。僕は中森明菜が頭に思い浮かびましたが。

わははは。明菜イズム、入ってるのかあ。たしかに俺、中森明菜大好きなんですよ。そういう意味でもいろんなものが出てるかもしれない。昔の曲でもね、中島みゆきっぽさが出てると言われたりしてね。小学校から明菜が好きで、ずっと歌謡曲を聴いていた時期がありましたからね。明菜に近づけようとは、これっぽっちも思ってなかったけど。

-自然に滲み出たんですね。

間奏のレゲエ・パートは、ジョー山中さんの「人間の証明」という曲が好きで、自分の気持ちを表すにはゆったりしたテンポにして、それから激しいギター・ソロという流れは考えていたんです。だから、おじさんにしか書けないヘヴィ・メタルですよ。歌謡曲で育って、メタルにハマッて、44歳まで続けていたら、こういうヘヴィ・メタルができましたと。

-とても味わい深いです。

日本の歌謡メロディ大好きなんで。幅広くいろんな人に聴いてもらえるんじゃないかな。