－最後の歌詞にはちゃんと愛がこもってますね。

そこなんですよ。ただ許さないと言ってるわけじゃないんですよ。その優しさが金を持って逃げられる原因なのかなって、はははは。これも遊び心の多い曲で、ドタキャンされるパートではt.A.T.u.のフレーズを入れてますからね。

－ロシアの女性デュオですね（笑）。

そうです。随所に入れるので、アンテナ張って歌詞も読んで欲しい。ウチの場合は歌詞も読んでもらわないと、話にならないんで。

－「鎧兜鎖血」ではVENOM、AC/DC、IRON MAIDENの曲名が出てきますね。

はい、ヘヴィ・メタルの名曲のタイトルを散りばめてます。それを盛り込みつつ、自分の伝えたいことを書くと。

－笑いの要素、楽しくノれる曲がある一方で、作品全体を通すと、誠実な歌心がより高まっていることもあり、根底に熱い音楽的姿勢を感じます。

昔は笑ってもらおう、というあざとい気持ちがありましたからね。今は自然に書いてます。どのみち書いてると、思いつくんですよ。だから、より素直に書いてますね。自虐で笑いを取るのは減ったかもしれない。もちろん昔の曲も歌い続けますよ、「傷だらけのヘビーメタル」とかね。前作から堂々と前に突き進んだらええんちゃうの、と思い始めました。昔は"ほんとにメタルやってるの？"と言われることが多かったけど、ニュースでも取り上げられたりここ5年でメタルに対する空気感も変わりましたからね。それはBABYMETAL効果もあるんでしょうけどね。ヘヴィ・メタルという言葉がここまで雑誌やテレビで取り上げられる時代になったのは、ここ数年じゃないですか。昔取材を受けてるときに"メタルやってるんだあ"という顔をされましたけど。今は"メタルやってるんですか！"と若い世代が反応してくれるから、それは嬉しいですね。ヘタしたら、ウチのお客さんでも親子で観に来る人もいますからね。俺もずっと続けて、おじいちゃんから子供まで来るヘヴィ・メタルを目指そうかなと。

－それは最高じゃないですか！

さっきムード歌謡やると言ったのは取り消します（笑）。日本のメタル・シーンもそうなっていけばいいなと。

－今の時代の空気的にも冠さんとしてはやりやすいですか？

そうですね。ただ好き勝手にやってるとはいえ、自分なりにキャッチーで激しくて、かっこいいものを追求してますからね。

－アルバム最後には「初志冠徹（THE GAME SHOP REMIX）」のリミックス曲が入ってますけど、これに関しては？

大好きなTHE GAME SHOPにやってもらいました。昔、THE冠もやりつつ、エレクトロなこともやってて、ラウドとクラブ・ミュージックが混ざったものも大好きで。最近、友達がDJをやったりして、THE冠の曲をかけたいんやけど、かけられるような曲ないか？と聞かれたこともあって。そうか、クラブでかけられるヘヴィ・メタルを作るのはアリやなと。今回はボーナス・トラックとしてお願いしたら、バリクソかっこ良くて。めっちゃええやん！って。ライヴハウスを飛び越えて、DJ君たちが使ってくれたらいいですね。THE冠はゴリゴリのメタルですけど、リミックス・バージョンは踊れますからね。

－すごくいいリミックスでした。最後に今年も行われるTHE冠主催イベント"大冠祭"について、聞かせてください。

最初はフェスに呼ばれないから、自分で作ってしまえという気持ちだったんですよ。去年僕の大好きなアーティストを呼んで、ほぼメタルに特化したイベントなんですけど、これがすごく楽しくて。日本のヘヴィ・メタルをどんどん盛り上げていきたいなと。日本人のメタル・アーティストがこぞって集まって、それでお客さんが増えてくれたらなと。SEX MACHINEGUNS、HER NAME IN BLOOD、女性ヴォーカル系ではAldiousとRaglaiaも出演します。ある方から、"この2組が同時に出るのは冠にしかできないブッキングだぞ！"と言われましたからね。Raglaiaのギター（K-A-Z）とドラム（YOUTH-K!!!）はTHE冠でもやってくれてますからね。あと、MERRYも出ます。

－メタルに特化したイベントとはいえ、幅と奥行きのあるラインアップになっているところがいいですね。

今年も自信を持ってお届けできますね。みなさんに日本のメタルの良さを再確認して欲しいし、お客さんは絶対楽しめると思います。こういうのを待ってました！と思ってもらえたら、いいですね。ライヴの合間にも楽しい催し物も考えてますからね。ネタ的なものもあるかもしれないし、次のライヴまでずっと待つようなどんよりした空気にはさせないつもりです。お祭りですから、一緒に遊びましょう！