INTERVIEW
THE冠
2015.09.09UPDATE
2015年09月号掲載
Interviewer:荒金 良介
-他に日本の歌謡曲はどのへんが好きでした?
井上陽水さん、それこそアイドルで言ったら中森明菜、キョンキョン(小泉今日子)、松田聖子まで聴いてましたね。中学に入ったら、ハードロック生活でしたから。メタルを聴きながら、同時にMADONNA、Michael Jacksonも好きでした。
-冠さんのメロディは、松田聖子というより、中森明菜側かもしれませんね。
ああ、山口百恵ちゃんも好きですからね。
-哀愁があるメロディが好きなんですね。
「傷だらけのヘビーメタル」」(2009年リリースのアルバム表題曲)という曲もほぼ歌ってることはフォーク、演歌、ムード歌謡みたいなものですからね。そういうものも好きだから、入ってるんでしょうね。
-アルバムを作るうえで青写真はありました?
"初志貫徹"という気持ちで挑みました。"結局、これしかできへんねん"ということだけをやろうと。そうじゃないと、人にも伝わらへんし、月並みな言い方ですけど、魂が入ってないものには感動もないだろうし。
-冠さんの中にある"初志貫徹"とは?
闘う魂、貫く心を忘れてはいけないなと。僕がやってるヘヴィ・メタルもそうだけど、ひとつ見つけたら、それを突き詰めて続けて、その先に何かが待ってるんじゃないかと。やり続けたら絶対楽しいことが待ってる。それを伝えていきたい。でもどうなんでしょうね、もう20年も鳴かず飛ばずのヘヴィ・メタルをやって、人はどう思うかわからないですけど、自分は充実した日々を送れてますからね。お客さんがワーッと騒いでる顔を見ると、それが生きがいになるし、苦労も忘れられますからね。
-今回は最後がリミックス曲なので、本編は「鎧兜鎖血」で始まり、「初志冠徹」で終わりますよね。冠さん自身のことで始まり、自分の意志を歌って締め括る内容だなと。
そうですね。「鎧兜鎖血」は俺紹介であり、「初志冠徹」では気持ちを新たにスタートしようと。このアルバムを聴いて、次の気持ちに向かえるような作風にしたくて。今回はミニ・アルバムなんで、次の構想もありますし、ここからTHE冠はリスタートするぞって。何回でも何回でも立ち上げることができるぞって。
-「初志冠徹」はまさにそういう歌詞ですね。冠さんの音楽に対する姿勢やこれまでの道のりを提示して、誰かが元気になってくれたり、勇気づけられたらいいと?
ヘンな格好して、ケツ出して、汗だくでフラフラになってやってるおっさんを見て、"俺も頑張ろう"と思ってくれたら、いいですね。一生懸命必死にやってるおっさん見て、笑ってくれたらいいなと。だから、そこは手が抜けないというか、手を抜いたら終わりやなと。
-そういう意味でこれはもう生き様アルバムですね。
なんて素敵なことを言ってくれるんですか! でもそういう歌詞になってますよね。僕も自分の曲を聴いて、燃えますから。自分に向けて歌ってるところもあるし、こんなふうに生きてみろやって、弱い自分に対して書いてるところもあります。だから、僕も目線はお客さんと変わらないんですよ。さっきも言いましたが、大合唱できるサビもあるから、みんなに歌って欲しい。他に社会派ソングもありますからね。
-Track.4「WW3」はポリティカルな歌詞ですよね。
長年生きてると、社会にも関心があるし、今歌っておかなあかんかなと。そこは自分なりに考えて、自分の意見を持ってもらえたらなと思って。"ワールド・ウォー3"という意味ですからね。あとはライヴで楽しめる曲しかないですけどね。Track.2「ビキニライン」なんて、我ながら盛り上がるんちゃうかなって。
-今作の中でもひときわキャッチーな曲ですね。。MÖTLEY CRÜEばりのLAメタル風味のわかりやすいリフが最高です。
そのへんが好きな人はオッ!と思ってもらえるかなと。かといって、ドコドコ高速ツーバス踏んでますから、メタル・キッズも大喜びという。いいメロディも入ってますからね。
-Track.5「野垂れ死んだら許さない」は躍動感溢れるリズムを用いてますね。ライヴの絵が想像できます。
フェスの広い会場でみんながジャンプしてるイメージでしたね。歌詞はめちゃくちゃですけどね。金持って逃げられたけど、野垂れ死んだら許さねえよって。
-これは実体験ですか?
それに近い経験があるからこそ、出てきたんじゃないですかね(笑)。