Chiyu：（バンドがストリングスに飲まれてないのは）たぶんベースがかっこいいからですよ（笑）。 武瑠：ストリングスの音、超でかいですよね（笑）。全部の楽器が主張してるし、特にベースとストリングスの楽しんでる感すごいよね！ "聴いて聴いて！"って感じ（笑）。こういうのはアルバムだからこそできるアプローチでもありますよね。だから曲によって歌詞の押し引きもいろいろ考えました。全部が全部主張するとわけわかんなくなってくるから、この曲に関してはアホみたいに簡単なほうがいいなと思って（笑）。

－本当に隅から隅までバランスを考え抜いているんですね。

武瑠：だからSuGを聴いて複雑なノリ方で楽しむ人もいるし、ちょっとおしゃれで難解なことをやると、よくわかんなくてポカンとしちゃう人もいるし。今までの経験上でもそうなんです。でも難しい曲でも"FRIDAY!!"と叫んでおけば楽しさを感じられるなら、すんなり聴けるという人もいるだろうし。「HELLYEAH」もこの前のツアーでやったんですけど、びっくりするくらいすっごくノリが良くて。理想そのものみたいな画が広がってたんです。それがEDMみたいな音楽じゃなくて、バンドの音楽の中にテイストとして混ざっている曲で作れたのが自分の中で大きくて。あんなにみんながジャンプしている景色は......ずっと見たくても見られなかったものでもあるので嬉しかったですね。作って良かったと思いました。

－種まき、成功しているんじゃないでしょうか。

武瑠：うん、その規模を大きくするのが課題で――。本当によく言うんですけど、見た目や状況も全部含めて、俺たちみたいなポジションの人はほとんどいないと思うんです。ライヴハウスからスタートしているけれど、"君ら面白いことしてるね、一緒にやろうよ"と人の手を借りてきたので、やっぱり叩き上げとは違うと思うんで。だから自分たちに求められることを言われたりするんですよ。"服やMVももっとダサくしないとだめだよ"とか。そういう中で好きなものをやるというのは......本当に難しいことだと思いますけど、だからこそやりたい。

－ファッションも映像も物語も音楽も、武瑠さんにとっては同一線上で、すべてをひっくるめてSuGの表現で、どれも欠かせないものなんですね。

武瑠：本当は今の時代にはひとつだけに重きを置くほうが向いてるのかなとも思います。でも活休していろんなスタッフと喋りましたけど、全員SuGでは"3D展開"を目指してる。でもできる人があんまりいないし、いろいろやるとバラバラになっちゃうから、受け入れる層が難しいと思うんです。"バンド1個でやっていく"というスタイルを押し出すために、かっこいい服を着ずにわざとダサくスタイリングしてるバンドが多かったりもするので。気を遣っていない風を作る――そういうものが主流の中では僕らは相反するものだと思うんです。

－これから時代は変わっていくとも思います。自分なりの方法論を見つけたバンドが強い時代にもなっていくのではとも思っています。

武瑠：緻密なものを作り込む、それすらロックじゃない、衝動じゃないと言う人もいると思うし。俺はただ単に衝動をひとつひとつ組み立てていくタイプだと思います。そんな細かいこと、衝動なしにはできないと俺は思うんで。......遠回りでやりづらいやり方を選んじゃったなあとも思います（笑）。激ロックでもSuGは特殊な位置で、人によっては"なんで出てるの？"と思う人もいると思うんです。

shinpei：引っかかる曲はあると思うけどね、全部を聴いてもらえるかはわからないなとも思うし。

武瑠：それがどこの場所でもそうなんです。だって激ロックの前の前に受けた雑誌の取材、JUNONですからね。そんなバンドいないでしょ（笑）？ そういう意味不明な立ち位置なんで。

Chiyu：改めて考えるとほんまに意味不明やな（笑）。

－（笑）最高じゃないですか。支持します。

武瑠："全部が中途半端に見えてわかんない"と言われる理由もわかるんです。でもこれが正解になったら、絶対1番になれる。そのひと押しが難しいんだよな......とは思ってます。

shinpei：このアルバムがどんなふうに受け止めてもらえるか、だよね。