INTERVIEW
NICKELBACK
2014.11.12UPDATE
2014年11月号掲載
Member:Chad Kroeger (Vo/Gt)
Interviewer:村岡 俊介(DJ ムラオカ)
-メロディックな曲といえば、Track.3「What Are You Waiting For?」はとてもエモーショナルなバラードで楽曲も素晴らしいですが、聴き手の背中を力強く教えてくれる歌詞も素敵ですね。チャレンジして成功を手中に収めたあなたがただからこその説得力を感じました。
誰かが何かをするためのモチベーションを与えるというのは......その人が本当にやりたいことなのに最初の1歩を踏み出すのが怖いときってあるよね。でも夢を見いだしたり叶えたりした人っていうのは、ただその夢のものをよそから与えられたわけじゃない。簡単な道なんてないんだ。いろんな犠牲やチャレンジを伴っているものなんだ。時にはその1歩を踏み出すために背中を押してあげるのが必要なことがあると思う。"お前を信じている。その1歩を踏み出さないと一生後悔するぞ"ってね。そういう曲なんだ。この曲を聴いて、自分の夢を追いかけ始める人がひとりでも出てくれれば本望だね。
-あなた自身も今の地位まで努力して辿り着く前に、誰かに背中を押してもらったのですか。
いるわけないよ!......(爆笑)
-ではその"誰か"に自分がなりたかったということですか。
(爆笑し続ける)......今のは冗談だよ(笑)! もちろんいたよ。当たり前だよ(笑)! 家族、特に母親だね。いつも心から応援してくれているよ。"大学に行かなきゃだめ"とか、"あれをやらなければ"、"これをやらなければ"なんて言われたことは1度もない。俺と弟のMikeの背中をいつも押してくれたんだ。"あなたたちにはできるわ。信じてる。きっと大丈夫"ってね。祖母もそんな感じだったね。でもそういうふうにしてもらえない人は世の中にたくさんいる。"仕事に就きなさい。"ちゃんとした"仕事に"なんて言われたり、やりたくないことでもやらないといけない、と言われたりするんだ。生活のためにね。でも俺たちの場合はそれがなかった。家族はみんな、"夢を追いかけなさい"という感じだったんだ。そういう意味でもとてもラッキーだったと思う。
-家族の応援があるのが1番大切ですもんね。
その通りだよ! 家族に"信じている"って言われたら説得力があるしね。そう言うことは誰にだってできるけど、他人だったら本気でそう言ってくれているのか、俺たちがそういう言葉を聞きたいだろうと思って言ってくれているのか、分からないことがあるからね。でも家族の言葉は真実だって思えるんだ。
-そうしたら、今のあなたたちはファンにとって家族的な役割を果たしているかも知れませんね。
(笑)そうなったら嬉しいな。
-Track.2の「Edge Of A Revolution」のリリック・ビデオが先行公開、そしてiTunesでデジタル配信されましたね。非常に雄々しいコーラスが入った骨太なスタジアム・ロックですが、この曲をアルバムからまず始めに世に出した理由を教えてください。またこの曲に対してファンの反応はいかがですか?
ファンの反応はものすごくポジティヴだね。ラジオでもとても反応がいいんだ。さっきも話したけど、早くもナンバーワンになったしね。ところでこのタイトルが思い浮かんだのは、空港で飛行機を待っているときだったんだ。壁のスクリーンでCNNを見ていてね。世界中のニュースをやっていた。次から次へと紛争のニュースだった。ウクライナ、イスラエルとパレスチナ......世界中の紛争を取り上げていたんだ。それを見ていたら、世界は"edge of a revolution=革命の瀬戸際"なんだなって思ってね。そこから始まって、みんなでいろんな話をした。アメリカの経済危機とか、CIAが実は誰よりも秘密を抱えていて、自分たちの利益のために衝突をけしかけているんじゃないかとか。そういう話を曲の中で取り上げているんだ。
-これは政治的な曲なのでしょうか。それともこれもまた誰かの背中を押すような?
これはいろんな意味が詰まっているんだ。そういうこともあって最初の曲にしたんだけど、政治的というのとはちょっと違うかな。俺は"社会的に意識が高い"という位置づけをしているけど。世の中で起こっていることを認識しているという意味でね。自分にふさわしくない状況に置かれている人たちが、生活のクオリティを上げるために奮闘して、自分たちのために立ち上がっている。そういう人たちが団結して"こんな嫌がらせはもう受けないぞ"と立ち向かっているんだ。今、より多くの人々が民主主義を望んでいるような気がする。みんなもっと選挙を望んでいるよね。独裁者の下で暮らしたいなんて思うやつは誰もいない。そんなの恐ろしい生活だからね。でも、今の状態(=民主主義を望んで人々が立ち上がっている状態)に至るまで、あまりにも時間がかかりすぎていると思うんだ。そういうことを歌っている曲だね。
-Track.4「She Keeps Me Up」は歌詞に"Funky Little Monkey"とありますが、まさに跳ねるリズム隊に女性コーラスも出てきたりとファンキーな楽曲ですね。王道のNICKELBACKソングではありませんがこういった遊び心のある楽曲はアルバムに華を添えますね。
ファンキーな要素があるのはこの曲だけじゃないよ。もうひとつは「She's Got Me Runnin' Round」という曲で、ラッパーのFlo Ridaが参加しているんだ。......今までもそうだったけど、今回も新しいチャレンジを厭わなかった。昔も、「Photograph」はチャレンジだったけど、今じゃみんな"NICKELBACKの王道"だって言う。出した当初は"今までのNICKELBACKとはまったく違う"って言われたけどね。「Rock Star」を出したときもそうだった。"今まで出したどの曲とも違う"ってね。あとは...「When We Stand Together」を出したときも、やっぱりNICKELBACKとは全然違うって言われた。そんな感じで、いつも何かしらそれまでとは違うことをやっているんだ。「This Means War」もそれまでの中で1番ヘヴィな曲だったしね。そうやって常に限界を押し広げるようにしているんだ。今回のアルバムではホーン・セクションを起用した。Michael Jacksonの「Thriller」に参加した人たちなんだ。あと、ラッパーを起用したのも、今までやったことがなかったね。女性のバック・シンガーも。
-そのFlo RidaをフィーチャーしたTrack.10の「Got Me Runnin' Round (feat. Flo Rida)」ですが、彼とのコラボレーションはどのように決まったのでしょうか?
友人が、LAでソングライティングをいっぱい手伝ってくれたんだ。その友人がこの曲をFlo Ridaに聴かせたら、"どうしても参加したい"と言い出したらしい。"Chadに伝えてくれ。俺がこの曲にラップを入れたがっているってね"と言ったんだ。すごく嬉しかったから、即来てもらったよ。そうしたら1時間20分くらいでラップの部分を書いてくれたんだ。そしてそこからあっという間に録音までしてくれた。あれはとてもいい経験になったよ。