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INTERVIEW

D'ERLANGER

2013.06.13UPDATE

2013年06月号掲載

D'ERLANGER

Member:kyo (Vo)

Interviewer:荒金 良介

-偶然ですけど、取材日が今作の発売日と重なりました。kyoさんの今の心境から聞かせてもらえますか?

そうですね。作った側としてはマスタリングの時点で完成するので......発売日はもうちょっとその先じゃないですか。だから、ああ~発売日ね、という感じなんですけど。今回はいい意味で、このアルバムを中心にざわざわしてる感じがあるから。発売日は何気に意識していたし、その気持ちは自分にとって珍しいことだから、素直に嬉しいですね。

-ざわざわしてるというのは?

すごくヘンな話だけど、ちゃんと発売された感があるという。例えばレコード店でもしっかり展開してくれたり、ネットのニュースでもきちんと発売されることが届いていたり、あとは、ワーナーに移籍してから1発目の作品なので、その空気感も含めて、いい意味でざわざわがあるなと。

-逆に言えば、いままではリリース情報があまり表に出ていなかった?

僕らはキャリアが長いので、昔の宣伝の感じを知ってるからかもしれないけど。いままでは出る前のざわつき感があまりなくて。ほんとに出るの?みたいな雰囲気があったけど、今回はちゃんと人に届けるんだな、という感触がありますね。当たり前のことかもしれないけど、それは大事なことだと思うんですよ。ワーナーに移籍して、チーム感もあるので、いい手応えを感じてます。

-なるほど。2007年にバンド復活後、毎年コンスタントに作品をリリースしてましたが、今回は約4年ぶりの作品ですね。

単純に移籍の問題があったり、環境を整えていた部分もあったので、意図して空けたわけじゃないですけどね。今作に収録されてる「Beast in Me」、「My lips to overlip your lips」、「Crimson Crow」はライヴでは既にやっているので、ライヴ先行の新曲もありましたからね。良い言い方をすれば、機が熟していたのを待っていた感じですね。D'ERLANGERの歴史の中で、たまたまそういう流れになっただけで。

-機が熟したというのは?

基本ライヴがあって、バンドがあると思うので、作品に関しては"よし、作るか!"となってから作ることが多いんですよ。そういう意味では勘を信じてるところも強いし、メンバー4人の呼吸は合ってると思うんですよ。

-今作に臨む上で何かしら構想はありました?

D'ERLANGERはいつもコンセプト立てをしないんですよ。CIPHERが持って来る曲は、ほんとに簡単なデモテープというか、弾き語りに近いものなんですよ。もちろんCIPHERが提示する曲はいいものですし、それをみんなで膨らませれば、いい曲に仕上がると思ってますからね。メンバーそれぞれが曲に対するコンセプトを持って、それが合わさったものが形になるという。そこはいつもと変わらずですね。ただ、今回いつもと違ったのは時間の流れですね。プリプロに入ってからレコーディングまでの時間がすごく早かったんですよ。

-過去作と比べてもスムーズに進みました?

はい、全然早かったです。それが苦痛ではなかったし、まだドロドロ蠢いているものが形になり切る前にパッケージした感覚がある。僕はヴォーカルなので最後に歌を乗せるから、より一層それを感じたのかもしれない。

-今作まで4年半空きましたけど、制作期間は最短だったと?

うん、制作は史上最短ですね(笑)。まあ、早く録れたらエライわけじゃないけど、アルバムに対する集中力は高かったです。

-では、楽曲の着地点が見えないまま、どんどん突き進んでいった感じですか?

いつもそうなんですよ。こういうインタビューもいろんな事柄から膨らませることができますけど。例えば一方的に喋るコメント録りで"今回はこういうアルバムです"と言う人がいるじゃないですか。毎回困るんですよ。

-(笑)それはなぜでしょう?

特にこういうコンセプトがあって作ったものじゃないから。唯一言えるのは、メンバー4人の今をパッケージしただけ。これだけやってくると、自分の手の内でいくらでもできるけど、みんなそこに満足してなくて。新しいことにチャレンジしたり、まずメンバーを驚かせたいという気持ちがある。だから、フレッシュなんですよね。レコーディングには慣れてきたけど、新鮮さは損なわれてないですね。

-今作は頭でこねくり回すより、スッと出てきたものを形にして?

僕は特にそうですね。こなれる前に録っちゃうというか。だから、衝動的なアルバムですね。それぞれがきちんと意志を持っているんだけど、すごく生々しい。今の時代って、コンピューターで作るのが当たり前になってますけど、D'ERLANGERはリズムを録るときもクリックを使わないんですよ。そこは最初からそうなんですよね。1度解散した後、自分のソロもやりましたけど、そこではクリックを使ってたんですよ。でもそうじゃないところに戻って来ても、違和感がないし、逆に凄いと思える。今の音楽は縦が揃いすぎてる気もするし。それに慣れてる人にとっては、僕らの音楽は新鮮に響くんじゃないですかね。さっきも言いましたけど、蠢いてる感じがあるし、でも決して粗削りじゃないし......うまく言えないんですけど(笑)。

-より自分の素の部分を出せるようになってきたんですかね。

そうかもしれない。すごく正直なんじゃないですかね。移籍して1発目なので、ギュッと濃縮したものが出せたと思う。余談になりますけど、これだけ早く録りが進むと、ヴォーカルは最後に録るので、ちょっとプレッシャーになるんですよ(笑)。俺がここで足止めしたくないなと思って。瞬間瞬間を大事にしたから、自分の歌もうまく録れたと思います。