MENU バンドTシャツ

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

D'ERLANGER

2013.06.13UPDATE

2013年06月号掲載

D'ERLANGER

Member:kyo (Vo)

Interviewer:荒金 良介

-ただ、衝動と言っても、闇雲に暴走する音楽とはまた違いますよね?

そうですね。その時に感じた思いを瞬間的に爆発させるということかな。瞬発力というか、ポンとハジけた部分をパッケージにしたくて。その思いは強くなってるのかもしれない。

-今作は粘着質というか、ねっとりしたサウンドですよね。

そう、ドロドロしてますよね。溶岩が冷めて岩石になる前のドロドロした感じというか。だから、聴くときの気分やシチュエーションによって、表情が変わるんじゃないかな。その方がきっと僕も好きなんでしょうね。いい意味で整理整頓されていないし、器の中だけにすっぽり収まる音楽じゃない。

-レコーディング前の曲作りはスムーズに進んだんですか?

曲を作るCIPHERは、いろんなイメージがあると思うんですけど。そのイメージからハズれたとしても、曲の形がかっこ良ければ、そっちに向くんですよ。そのやり取り自体も自由だし、みんな面白がってますからね。歌詞を乗せるときも、そういうやり方をしているので、プリプロの初日に「Beast in Me」を合わせるときもまだ未完成だったりするけど、そこに言葉を乗せたくなるんですよ。最終的に書けないこともあるけど、歌詞を乗せるときにも、そういう雰囲気を大事にして。今回は特にそれが強かった。作曲者と曲のイメージの話をするんだけど、他の人が聞いてもよくわかんないような会話をするんですよ(笑)。

-例えばどんな会話を?

夜にペンキのこの色を塗ったらさ、そこだけザラザラとした感じだよね、みたいな会話から膨らませたりして(笑)。

-ほんとに抽象的ですね!

そうなんですよ。それが逆に面白くて。

-kyoさんは基本的に曲を聴いてから、歌詞を書くタイプですか?

うん、それが楽しい。先に詞を書いたら、ポエムにはなるけど、歌詞にはならないんじゃないかと思って。

-歌詞も全体的に統一感がありますね。音と同様、ねっとりした感じ、もっと言うなら、唾液感のある表現が多いなと。

はははは、そうですね。斜に構えたかっこ良さじゃなくて、生々しさというか、もうちょっと裸になったところを書きたくて。プリプロでそれを感じたから、ビシッとスーツを着るよりも、そのスーツが濡れてる方がいいなって。

-なぜそういう感覚になったんでしょう?

それがプリプロの段階で、メンバー4人が向き合った空気なんですよ。僕は本を読むのも好きなんですけど、今こういう本を読んでるから、こう書いたというよりも、今のメンバーの空気感を言葉にしたいという気持ちの方が強かった。オリジナル・アルバムは4年ぶりですけど、その間に良いことも悪いこともあったし......それを引っ張り出して作りたいとは思わなくて。それよりも曲やメンバーと向き合った空気感、そこから導かれたところから言葉を書きたくなって。統一感があるのは、期間が短い中で集中してやったからじゃないですかね。

-今作の大きな歌詞テーマとしては、"LOVE"を感じますが。

基本的なところにそれはあるんでしょうね。ただ、わかりやすい"LOVE"は歌いたくない。背中を押すような歌は世の中にはたくさんあって、しかもいい歌がいっぱいあるじゃないですか。俺は別にそこにいる必要はないかなと。それよりも人の裏側にある感情をくすぐりたい。1つポンと餌を蒔いて、顔が出てきたところを覗きたいみたいな(笑)。そういう"LOVE"なんだと思う。

-そこは変わらないですよね。90年代のインタビューでも同じような発言をしてました。

はははは、そうですか?気が付いたら、そうなってましたね。だから、ヒネクレてるんだと思う。僕らの時代のロックのかっこ良さは、人と違ったもの、アンダーグラウンドなものに惹かれてましたからね。それこそ昔のライヴハウスって、今より薄暗くてジメッとして......悪の巣窟みたいなイメージがあったから(笑)。そういうものにロックを感じていたし、それが根本にあるんでしょうね。

-それは今作のイメージとも繋がります。

例えば花というものを提示するにしても、夏の太陽の下に咲いてるヒマワリじゃなくて。もしヒマワリをテーマにするとしたら、夜にひっそり咲いてるヒマワリの裏側をイメージするだろうなって......。D'ERLANGERの音にはそういう毒気があると思うから。

-それはD'ERLANGER結成以前、結成時に見て、触れて、聴いてきた音楽的な価値観が自分の中に沁み込んでいると言いますか。

うん、今はたくさんの音楽があって、いろんなアプローチがあるじゃないですか。僕たちの頃はもっと狭かったですからね。音楽の面で言えば、歌詞の言葉遊びやあまりかっこすぎないところに衝撃を受けましたからね。今のD'ERLANGERの衝動とはまた違うかもしれないけど、臭いは近いのかもしれない。