INTERVIEW
D'ERLANGER
2013.06.13UPDATE
2013年06月号掲載
Member:kyo (Vo)
Interviewer:荒金 良介
-音や歌詞からD'ERLANGERらしさが濃厚に出てますよね。
嬉しいですね。いつも新しいものが最高傑作でありたいから。古くから聴いてくれる人に対しても、新しく入ってくる人もそうだし、こういう音楽を知らない人にも新鮮に聴こえたらいいですね。
-色気があるし、官能的ですもんね。
ロックンローラーは、やっぱりスターでいたいしね。自分たちが憧れていたものに、いまだに憧れてますから。そういうものを共有したくて。
-kyoさんの憧れていたロック・スターというと?
今、なぜ金髪にしているかと言うと、HANOI ROCKSのMichael Monroe(Vo)と44MAGNUMのPAUL(Vo)さんの影響なんですよ。2人とも金髪で逆毛にしていたし、そこがルーツですね。音楽的というより、自分が描いたロック・シンガーのスター像はそこですね。で、音楽的に何か変わったものがないかなと思ったときに、Peter Murphy、Nick Caveを聴いて。それからもっとちゃんと歌いたいと思ったときにU2のBono、RADIOHEADのThom Yorkeだったり、それらがごっちゃにあります。
-へぇー、いろんなアーティストから刺激を受けて。
みんな表現が独特という意味で共通点があるんですよ。
-歌や演奏を聴いただけで、その人とわかる表現者というか。
Michael Monroeも叫ぶだけでわかるじゃないですか。ウチのメンバーも、それができてると思うんです。スネアの音一発でTetsuだと思うし、コードをガーン!と弾いただけでCIPHERだと思うし、ベースを1小節弾いてSEELAとわかるし、まずメンバーに対して、そういう憧れを持ってますから。僕もそうなりたいなと。
-メンバーをリスペクトできるって、素敵ですよね。
40代に入っても、そう思えることは誇りに思います。
-耽美的な世界観はどの辺の影響になるんですか?
ポジパンと言われていたBAUHAUSからだと思います。あとはSPECIMENとか......キレイなものをわざと汚く見せたり、汚いものをキレイに見せたり、モノトーンの世界観だったり、音楽はそういうところから入りましたからね。あと、Peter MurphyがOscar Wilde、Charles Baudelaire、Jean Cocteauがいいよと言ってると、それに触れてみて、心地いいなと思ったり。4ADというレーベルがあるないですか。昔はDEAD CAN DANCEとかも所属してて、ああいう世界観がルーツにあるんでしょうね。それにまた影響を受けた人たちもいるじゃないですか。それも面白いですよね。今回のアルバムは前作よりもカラフルではなく、ポップな曲でもメジャー・キーじゃなかったり、随所でこだわってますからね。色で言うと、今回もカラフルさは少し意識したけど、前作ほど原色じゃない。
-ええ、全体のトーンは陰ってますよね。
ダークな感じと言うかね。ダークな赤は想像しやすいかもしれないけど、黄色でもダークだったりね(笑)。「CAVALLARO」の歌詞もそういうポップ感は意識しました。その空気感もライヴだったり、メンバー4人といる時間も長いので、それから導き出されたものじゃないかな。
-今は音源も配信になったり、ネットも普及して、人間同士の生身の付き合いが減る中で、今作の人間臭い歌詞と音色は新鮮に映ります。
それが面白いですよね。自分たちは当たり前と思っているものを、そう感じてもらえると嬉しいですね。今はコンピューターが発達してますから、レコーディングでメンバーが一度も会わなくても、作品は作れますからね。でも僕らはそうじゃなくて、歌入れに顔を出さなくてもいいのに、他のメンバーが来てくれたりする。しかも別に"こうしてくれ!"って支持するわけじゃないんですよ。でもそこにある空気を共有するためにメンバーがいるし、それもD'ERLANGERという作品の内容に繋がってると思う。
-わかりました。それで今作のレコ発ツアーは7月から始まりますよね?
このツアーで得たものをどう消化するのか、それは次の作品でわかることだろうし。あと、ワーナーを選んだ1つの理由として、海外も視野に入れてという気持ちもあったから。具体的に何が決まってるわけじゃないけど、これから新しいイメージが沸けばいいかなって思ってます。いつになってもロマンみたいなものをメンバー同士で話し合えてるし、それを1つひとつ形にしていきたいですね。
-ロマンというと?
いや、もうくだらないことですけどね。金に糸目を付けなかったら、どんな車に乗りたいとか(笑)。
-あっ、そんな話もするんですね。
しますよ!40代になって、こういう話をする男たちっていいじゃないですか(笑)。それにどこの国でライヴをやってみたいとか、そういう何気ない会話から出てきた言葉が実現してるバンドですからね。海外は韓国と台湾でライヴをやりましたけど、日本とまた違う環境でやるのも楽しいですからね。大変なこともありますけど、これからもアジアに飛び出していきたい。台湾に行ったときに思ったんですけど、あの国でCDもリリースしてないのに、日本のお客さんよりも歌うんですよ!それはYouTubeとか、僕らがデビューした頃にはなかったメディアがチャンスを広げてくれてるなと思って。何がどう繋がるかわからないので、チャレンジしていきたいですね。このアルバムを作ったことで、その思いは強くなったかもしれない。また1つ自信が付きましたからね。