INTERVIEW
THE OFFSPRING
2012.07.03UPDATE
2012年07月号掲載
Member:Kevin 'Noodles' Wasserman(Gt)
Interviewer:MAY-E
-へぇ。オフの日には何をしているんですか?
今でも時間があればギターを弾いているよ。やっぱりギターは好きだね。落ち着いた気分のときにはアコースティックで、元気なときにはエレキ・ギターでRAMONESやTHE WHOを弾くんだ。あとはサーフィンも好きだよ。僕は子供が2人いるんだけれど、9歳になる下の男の子がアーチェリーが上手くてね!今はそういう時間を過ごしているのが楽しいんだ。
-新作『Days Go By』を聴かせていただきましたが、硬派なトラックから踊れるナンバーまで、とてもバラエティに富んだアルバムになりましたね。
ありがとう。人生は常に変わっていくものだ。個人の人生はもちろん世界情勢も含めて、あらゆるものが楽曲に影響してくるんだよ。ニュースを見ていても、世界中でいろんなことがあったり、天災が起きたりしている。そういうものが曲のヒントになったりするんだ。今作は、初期のアルバム『Smash』や『Ixnay on the Hombre』のようなアグレッシヴさもありつつ、ミュージシャンとして20年近い経験を積んできた中で生まれた曲作りの方法や新しいテクノロジーが加わったアルバムだと言えるね。
-アルバムの制作にはテーマやコンセプトを掲げているのですか?
特にコンセプトはないけれど、今作は“テクノロジーの大きな進化”が大きなテーマになっているんだ。どうやってそのトピックを曲に盛り込もうか、メンバーと話し合ったよ。ただ、無理にそれをはめ込もうとしても上手くいかない。曲があって、そこにテーマを当てはめていくのはとても難しいことなんだ。自然な流れで曲のテーマが出来上がっていくことが成功だと僕らは思っている。掲げたコンセプトの通りにアルバムを作るのは、他のバンドにも簡単なことではないと思うよ。当初は僕らも今作をコンセプト・アルバムにしようと思ったんだけど、それはやめたんだ。
-へぇ。ユニークなテーマですね。
僕らは制作に入る段階で、コーヒーを飲みながら皆で面白いトピックを話し合うんだ。その中で、2040~50年になるとテクノロジーが究極に進化して人間よりも賢いコンピューターが生まれる、なんて話が出たりもしたよ。2050年のことなんて誰にも分からないことだから、それをテーマにするのは面白いんじゃないか、とかね。
-そのテーマとなっている“テクノロジーの大きな進化”について、どんな考えをお持ちですか?
テクノロジーは、良い面もあれば悪い面もある。悪い面には気をつけなくてはいけないけれど、うまく利用できるものだと思うんだよね。そしてテクノロジーの進化というものは、僕が肯定しようが否定しようが構わず進んでいくものだ。それを受け止めて、考えていくことが大切なんだよ。前向きに考えれば、テクノロジーとはとても便利なツールになる。曲作りも含めてね。基本的に、僕らはテクノロジーに対して肯定的な考えを持っているバンドだから、当初はインターネットでアルバムを全曲公開しようという案も出たんだけれど、それはレコード会社に止められてしまったんだ。だからファースト・シングルだけフリー・ダウンロードという方法を取ったよ。
-なるほど、肯定的な考えを持っているんですね。
そうだね。例えばインターネットのソーシャル・ネットワークを通じてファンと対話出来る時代になったことは、僕自身は素晴らしいことだと思うよ。テクノロジーに関して僕らは肯定的な考えは持っているし、素晴らしいツールだとは思う。けれど残念なことに、音楽に関して言うと、ダウンロードの普及もあってお金での価値があまりつけられなくなってしまったよね。
-そうですね。CDそのものが売れなくなってしまうのは、ミュージシャンにとっては致命的なことですよね。
それに関しては、なるようにしかならないよね。僕が若い頃は、お小遣いで必ず好きなバンドのレコードを買っていたし、今でもその価値はあると思っている。アルバムの全てが欲しいから、今でも好きなバンドのCDはちゃんと買うようにしているよ。iTunesで買った楽曲も、わざわざCDに焼いたりしているんだ。ただ、僕も何かのインスパイアを得たいときには、Youtubeでお金をかけずに音楽を見たり聴いたりしているわけだから、それもひとつの現実だよね。
-そうですね。アルバムを手元に置いておきたいという気持ちを持っているキッズが減ってきているようにも感じるのですが、そんな現在と、あなた方がバンドをはじめた20年前とでは、どちらの時代がよかったと感じていますか?
今の時代は、良い部分も悪い部分もある。どちらの時代の方が良いとは、なかなか言えないな。僕は、その良い部分を伸ばしていって、悪い部分を出来る限り変えていきたいと思っているよ。“20年前の方が良かった。今は最悪の時代だ!”なんて言ってしまったら、まるで年寄りの説教みたいだし、今の時代を諦めてしまっている意見だと思うから、なるべくそうは思わないようにしている。テクノロジーとしては、今はとてもエキサイティングな時代だと思うんだ。