INTERVIEW
PROTEST THE HERO
2011.03.04UPDATE
Member:Tim Millar(Gt)
Interviewer:MAY-E
-お久しぶりです。まずはバンドの近況を教えて下さい。
最後に日本に行ってからしばらく経つからどこから始めれば良いかわからないなぁ。俺らは新作のレコーディングや曲作りに2年掛けたわけだけど、自分たちが思っていたよりもずっと長く掛かってしまったんだ。でも俺らは何も急がせたくなかったんだよね。今、オーストラリアからこのメール・インタビューに答えているんだけど、今回が初めてのオーストラリア・ツアーなんだ。そう、だから過去の2年間は曲作りとレコーディングに費やして、これからまたライヴに戻り始めているといったところだね。
-『Scurrilous』はますますテクニカルで、そしてエネルギッシュな素晴らしい作品で、完全に圧倒されました。更なる進化を感じさせるアルバムですが、あなた方自身も大きな手応えを感じていることでしょう。アルバムを完成させた今の気持ちを教えてください。
そりゃ素晴らしいよ。スタジオでプロデューサーが座る椅子に座って、完成した音源を聴いたときの感覚は素晴らしいものだったね。すべてをバッチリ、思い通りに鳴り響かせる為の長い旅だったのは間違いなかったけども、すべてが終わってみれば、それを成し遂げたことにめちゃめちゃハッピーになれたね。
-前作『Fortless』は様々なメディアから絶賛された素晴らしい作品でしたが、それによりプレッシャーなどは感じましたか?実際、今作はプレッシャーなどはまったく感じさせないパワー漲る作品ですが。
俺たちはそういうプレッシャー無しにこのパワフルなアルバムを作ったと思ってる。“YES”でもあり“NO”でもあるかな。いつもみんなが聴きたいことや、向かわせたい方向性とかについては考えないようにしているんだ。自己中心的かもしれないけども、俺らは自分たちが楽しむ為に音楽を作ってるんだよね。みんなにももちろん楽しんでほしいけど、もしそれが期待されていることとは違ったとしても、それはそういうものでしかないというか。でも間違いなく自分たちは人生を賭けてこの曲を作ってるし、今後もそれを嫌だとは思わない出来だと思う。
-バック・サウンドは非常に複雑でありながら、同時にとても聴き易さもあります。Rody(Vo)は以前、“テクニカル・ミュージックを聴くのは難しくあるべきではない”と語ってくれていましたが、今作もその点は意識されたのでしょうか。
主に考えていたのは過去の自分たちの失敗から学ぶ事。今回俺らはレコーディングの行程を簡単にしたかったんだ。自分たちにとっても『Fortress』や『Kezia』は難しかった点があったから。でも同時にミュージシャンとしては挑戦しなければいけない。俺らは曲の拍子にもっと一貫性を持たせ、テンポをスムーズにしてみたんだ。曲のあちこちで跳ね回っているような感じではなく。テンポを一定にすると曲との一体感がグッと増す。それに一度テンポを定めてしまえば、工夫を凝らすこともできるし台無しにしてみせることもできるし、自分たちもリスナーも煙に巻いてしまえるだろ(笑)
-なるほど。さらにRodyのヴォーカルもますますパワフルになりましたね。メンバーもおのヴォーカル面の成長を感じていますか?
Rodyはスクリームで判断されることに嫌気がさしてたんだと思うよ。俺らは別にスクリーモ・シーンに属しているわけでもないし、やつは音域が広いし。たぶん自分の実力を示したくて、本当に激しさが必要なときだけスクリームしたんじゃないかな。俺らはヴォーカルも5つの楽器のひとつと考えているんだよ。だから可能な限りメロディとリズムを兼ね備えたものであるべきなんだ。
-「Hair Trigger」ではゲスト・ヴォーカルのJadea Kellyを再び迎えていますが、彼女を迎えたのは自然な流れだったのでしょうか。また、その目的は?
それは簡単な選択だったんだよね。俺らは『Kezia』に収録されている彼女の声を気に入ったという人に、世界中で会ったんだ。だから女性ヴォーカリストを入れたいというパートが出来たときには、絶対彼女だって思ってた。彼女自身もスゴく頑張っているし、今フォーク・カントリーのシーンですごく有名になって来てるんだよ。だからアーティストとして彼女が頑張っているのを見るのは刺激になるし、彼女のとてもユニークな声が何よりも好きなんだ。
-今作では初めてRodyがリリックの大半を手掛けているそうですね。歌詞を書くという作業工程に難しさは感じましたか?
Rodyは10曲中7曲書いていて、残り(「Sex tapes」「C’est la vie」「Moonlight」)はArif(Ba)なんだ。2人の作品がミックスされているのは良い事だと思うよ。Rodyの歌詞はもっと文学的で俺らの胸にグッとくるものがあるんだ。
-今作のコンセプトやテーマがあれば教えて下さい。
何もないんだ。それがコンセプトかな。過去にはテーマを練ったり音楽のベースとなるものを考えたりしたけど、今回はできるだけ沢山書いただけ。唯一コンセプトといえるのは、いつもと同じメンバーだけど、ちょっとした広がりがあるってことかな。