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FEATURE

MARILYN MANSON

2017.10.06UPDATE

2017年10月号掲載

五感を揺さぶる至高のヘヴィ・サウンド! ダークでポップなMARILYN MANSON、ここに極まる!

Writer 山本 真由

一昨年の"SUMMER SONIC 2015"、そして昨年の"KNOTFEST JAPAN 2016"と、2年連続で来日し、圧巻のライヴでファンを歓喜させたことも記憶に新しい、MARILYN MANSON。そんな彼らが、まさに全世界のファンが待ち望んでいたような、超アグレッシヴなニュー・アルバム『Heaven Upside Down』をリリースした!

あまりにスキャンダラスなロック・スターで、セレブリティな"MARILYN MANSON"という象徴的存在であるがゆえ、彼らの音楽史に残る功績に触れてこなかったキッズのために、今一度その活動の流れをおさらいしておこう。

1989年、フロントマンのMarilyn Manson(Vo)とDaisy Berkowitz(Gt)が"MARILYN MANSON & THE SPOOKY KIDS"として結成したのち、1992年ごろバンド名を"MARILYN MANSON"とシンプルに変更、そのセンセーショナルなパフォーマンスや存在がTrent Reznor(NINE INCH NAILS/Vo)の目に留まり、彼のレーベルNothing Recordsと契約を結んでいる。そして、そのNothing Recordsからリリースされたデビュー・アルバム『Portrait Of An American Family』(1994年リリース)は、サウンド的には、その後の作品よりシンプルなグランジ的アプローチのザラついたロック・サウンドとなっているが、鬼気迫るヘヴィネスはシーンに衝撃を与え、この作品をフェイヴァリットに挙げるファンも少なくない。さらに、ここからインダストリアル・ロックのカリスマ、MARILYN MANSONの躍進は続く。1996年には、名盤中の名盤の2ndアルバム『Antichrist Superstar』が発表される。前作に引き続きTrentがプロデュースした今作は、狂気に満ちた過激なアティテュードが確信へと変わり、ノイジーでインダストリアルな革命的アルバムとなった。かと思えば、1998年リリースの3rdアルバム『Mechanical Animals』では、Trentとは袂を分かち、グラム・ロック回顧的な音楽性へと舵をとる。異色ではあるが、その芸術性の高さとソングライティングの表現力の高さで、ヘヴィ・ロック・ファンならずとも認める作品となった。そして、迫力のあるヘヴィ・サウンドに回帰、というよりはさらにモダンなラウドロックへと進化を遂げたのが、4thアルバム『Holy Wood (In The Shadow Of The Valley Of Death)』(2000年リリース)。さらに、5thアルバム『The Golden Age Of Grotesque』(2003年リリース)では、攻撃的サウンドにグルーヴ感とダンサブルなビートが加わり、またまた引き出しの多さを見せつけた。そこから少し間を空けてリリースされた、メランコリックな世界観で生音や歌に重きを置いた6thアルバム『Eat Me, Drink Me』(2007年リリース)や7thアルバム『The High End Of Low』(2009年リリース)は、賛否というか、好き嫌いの分かれる作品だったのではないかと思う。それでも、シンガーとしてのMarilyn Mansonの存在感を再確認させられる、重要な作品であったことは確かだ。それから心機一転、自身のレーベル"Hell, etc."から2012年にリリースした8thアルバム『Born Villain』では、ついに強力なインダストリアル・サウンドが復活! これには多くのファンが"これだよ、コレ!"と思ったに違いない。そして、9thアルバム『The Pale Emperor』(2015年リリース)で再びサウンド的にはちょっと落ち着いた方向性へ......。といっても、『Eat Me, Drink Me』のダークで感傷的というような雰囲気とはまた違った、ロックンロールのセクシーさが存分に味わえる"大人な"アルバムといったところ。
 

『Antichrist Superstar』の暴力的サウンドと、『Mechanical Animals』の官能的サウンドが融合!

 

このように、アルバム・リリースのたびに音楽性をガラリと変えつつも、その芸術性の高さと貫かれた哲学に共鳴するファンは絶えず、ヘヴィ・ロック・シーンにおいて唯一無二のカリスマとして君臨し続けている、MARILYN MANSON。そんな彼らのニュー・アルバムには、自ずと注目も集まる。昨年11月には、早くもニュー・アルバムのリリースを示唆する新曲「Say10」のティーザーMVが発表され、"これはもしや、ヘヴィ路線回帰か!?"とファンをワクワクさせた。そして、ついにその期待の新作がヴェールを脱ぐ! なんとそれがMarilyn Manson本人いわく、"『Antichrist Superstar』と『Mechanical Animals』が合わさった暴力的なサウンド"と自負する作品なのだから間違いない、名盤決定だ。

初っ端からゴリゴリのインダストリアル・メタル・サウンドが炸裂する「Revelation #12」で幕開け、そして続くTrack.2「Tattooed In Reverse」ではグルーヴィなハード・ロックを聴かせる。そして、Track.3「We Know Where You Fucking Live」は、モダン・ロックの迫力にデジタル・ロックの質感を加えた、MARILYN MANSONならではのリード・シングル。そして、ティーザーで公開されたTrack.4「Say10」は、洗練されたヘヴィ・サウンドでテンションを上げ、ダンサブルなガレージ・テイストのTrack.5「Kill4me」でクール・ダウン。そこから、一転してミニマルなビートで徐々に上げていくTrack.6「Saturnalia」、ノイジーでポップなTrack.7「Je$u$ Cri$i$」と続く。そして、スローで叙情的なナンバー、Track.7「Blood Honey」をしっとりと聴かせ、歌モノのロック・ナンバー「Heaven Upside Down」でバランスをとり、クサいギター・フレーズがなんとも色っぽく魅力的なTrack.10「Threats Of Romance」へと結ぶ。本当に、どこを切ってもMARILYN MANSONらしいのに、似ている曲がまったくない。アルバムなんて1枚じっくり聴くことがなかなかないこの時代だが、今作は作品のストーリー性や流れをじっくりと味わいたいアルバムだ。

先日、アルバムのリリースを目前にして、ニューヨークでの公演中に、倒れてきた舞台セットの下敷きになり、病院に搬送されたという心配なニュースが飛び込んできたが、ぜひ早く復活して再来日も計画してほしいし、最近では、喧嘩別れして以来長年確執のあったTrent Reznorとの和解も話題になっているということで、新たなコラボレーションにも期待が高まる。相変わらず、なかなかニュースが止まないアーティストだが、これからもその存在以上に衝撃的な楽曲を発表し続けてくれることだろう。

 

MARILYN MANSON
ニュー・アルバム
『Heaven Upside Down』
marilyn-manson_jk.jpg
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[Hostess]
amazon TOWER RECORDS HMV

1. Revelation #12
2. Tattooed In Reverse
3. We Know Where You Fucking Live
4. Say10
5. Kill4me
6. Saturnalia
7. JE$U$ CRI$I$
8. Blood Honey
9. Heaven Upside Down
10. Threats Of Romance
11. Kill4me - Mystery Skulls Remix ※日本盤ボーナス・トラック

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