FEATURE
DIE APOKALYPTISCHEN REITER
2012.01.10UPDATE
2012年01月号掲載
Writer ムラオカ
ゲーテ、シラーといったドイツを代表する思想家、詩人を輩出しているワイマール出身の5人組バンド、DIE APOKALYPTISCHEN REITER。このバンド名……どうやって発音したら良いのか分からない人が大方だろうが、それもそのはず、英語ではなくドイツ語名なのである。ちなみに読み方は“ディー・アポカリプティッシェン・ライター”である。意味は“黙示録の騎士”と言ったところだろう。
彼らDIE APOKALYPTISCHEN REITERは95年結成、何度かメンバー・チェンジを行い、現在はヴォーカルにFuchs、ベースにVolk-Man、ギターにAdy、ドラムにSir G、キーボードにDr. Pestという5人組編成のバンドだ。彼らは元々はメロディック・デス・メタル、スラッシュ・メタル・スタイルのバンドであったが、徐々にメタル、フォーク、クラシック・ロック、地中海音楽など様々なジャンルをミックスしたサウンドへと変化していき、オリジナリティ溢れる唯一無二の存在へと進化していくこととなる。
1997年に彼らは1stアルバム『Soft & Stronger』をリリース。2003年リリースの4thアルバム『Have A Nice Trip』のタイミングでヨーロッパ最大級のインディ・メタル・レーベルであるNuclear Blast Recordsと契約を交わし、本国ドイツのナショナル・チャートにおいて初のTOP100内に登場する。2005年リリースの5thアルバムはなんとタイトルが『Samurai』、“侍”の漢字が入った甲冑を身に着けている武将がジャケットを飾っているという日本人にも親しみの沸くものだ。翌2006年リリースの6th『Riders On The Storm』ではドイツのナショナル・チャートにて31位を記録、2008年の『Licht』ではついにTOP30位以内に食い込むこととなる。2009年には前年にリリースされた『Licht』を北米エリアにおいてThe End Recordsと契約を交わしリリースと、ヨーロッパのみならず、アメリカ市場でも徐々に存在感を高めていくこととなる。目下のところ最新作である2011年リリースのアルバム『Moral & Wahnsinn』までコンスタントに計8枚のフル・アルバムをリリース。現在、彼らはドイツを代表するメタル・バンドのひとつになったと言えるだろう。
また彼らはライヴもコンスタントに行っており、Download festival、Wacken Open Air、Summer Breezeなどビック・フェスティバルにも数多く出演し、ロシア、チェコ、ルーマニア、ハンガリー、スペイン、イタリア、オランダなどヨーロッパを中心にヘッドライン・ツアーも精力的に行っている。 彼らのファンは“Reitermania (ライターマニア)”と呼ばれ、熱狂的なことでも知られており、そんな強固なファンベースを築いていることも彼等の強みの1つだろう。
そんな彼らから初のベスト・アルバム『The Greatest Of The Best』がリリースされることとなった。
過去にリリースした8枚全てのアルバムからピックアップされており、彼等の進化がこの1枚通して聴くことで把握できる内容となっている。1st収録の「Metal Will Never Die」や2nd収録の「The Fire」は今聴くとチープな音質極まりないが、当時からメロディラインや展開の端々に今に至る才能が見え隠れしていることが伝わってくる。
一昔前はベスト・アルバムというと移籍に伴う契約枚数の消化という意味合いであったりと好意的に受け取れない作品も多かったが、CDセールス不況の現代では、ベスト・アルバムをリリースすることへのハードルは非常に高くなっており、それなりの人気を誇っているバンドだけに与えられた特権と言ってもいいだろう。
ベスト・アルバムが日本国内デビュー作とはあまり例のないことだが、歴史のあるバンドだけにどこから手を付ければいいのかというリスナーはまずはこのベスト・アルバムから試してみてはいかがだろうか?
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