DISC REVIEW
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ESCAPE THE FATEというと、"メンバー・チェンジの多いバンド"というイメージがあるかもしれない。しかしながらここ数年、前々作『Hate Me』(2015年)以降は定着して、うまくいっているようだ。そのおかげか、今作『Chemical Warfare』では自身の持ち味であるヘヴィネスと美しいメロディは大切にしつつも、より多彩な表現へ踏み込んだ意欲作となっている。特に、シンセや打ち込みを用いたり、アコースティック・サウンドを効果的に使用したりするなど、作り込まれたダイナミックなアレンジは聴きごたえがある。そして、BLINK-182のTravis Barker(Dr)や、ヴァイオリニストのLindsey Stirlingなど、個性的なゲスト・アーティストの起用も可能にする柔軟さ。これまで、いくつもの危機から立ち上がってきた今の彼らだからこそ奏でることのできる、上質なサウンドがここに完成している。 山本 真由