DISC REVIEW
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晴れやかに広がっていくエレクトロ・サウンドによる「LAY YOUR HANDS ON ME」は、光を束ねたような眩さと瑞々しさ、恍惚感があって、これまでのBBSサウンドのアグレッシヴな攻撃性とはまた違った、柔らかな感触だ。近年の作品は特に、美しいほどの先鋭性とスケール感とが手を組んだサウンドを生み出しているが、その中でも隅々までエモーショナルであり、感情が静かに脈打つ始まりの息吹が聴こえる。リリースを前に、中野雅之(Ba/Prog)はこの作品がBBSにとって最後の作品になるとブログで伝えた。川島道行(Vo/Gt)の脳腫瘍による後遺症があることがその理由だ。1997年に欧州で活動を始めて、誠実にロック・ミュージックと向き合ってきた約20年のキャリアを包み込むように、壮大に響き渡る1枚になっている。 吉羽 さおり