DISC REVIEW
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結成から5年を経て、ベースレス・トリオが放つ1stアルバムは、リスナーを煙に巻くような摩訶不思議なサウンドで迎え撃つ。制作期間600日と紙資料に書かれているが、熟成に熟成を重ねた自信作と言えるだろう。紅一点・西田はスクリーム/歌メロ/ポエトリーリーディングと多彩な歌声を披露し、楽器陣もひと癖もふた癖もあるヘヴィ・ロック/オルタナ/ミクスチャー的なフレーズを自在に操る。また、特定のジャンルに収まらない曲調もユニーク極まりない。蟻地獄のごとく引きずり込まれるような、独特なムードをまとったサウンドは1度聴いたらクセになるだろう。何が飛び出すのか、先が読めないライヴ・パフォーマンスでも評判を呼んでいるカイモクジショウ。今作の楽曲がライヴでどう化けるのか、気になるところだ。 荒金 良介