DISC REVIEW
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フィンランドの歌姫登場!と謳いたいとこだが、50%は合ってて、50%は違うと言いたい。2009年から本格的にソロ・アーティストとして動き始めた弱冠23歳の彼女のデビュー作。今作はKid RockやBritney Spearsを手掛けたEric Gastをプロデューサーに迎え、その万全の体制には周囲の期待値の高さが窺える。その歌声は艶やかな女性らしいスウィート・ボイスを貫きながら、踏まれても踏まれても立ち上がる負けん気の強い人間性が滲み出ている印象だ。柔軟で頑強、繊細で豪快、など人間の持つ二面性を時にダークに時に激しい曲調で聴かせてくれる。また、クラシック音楽の引用、アコギを用いた柔らかな曲調、ラスト曲はEDMを取り入れた今風ナンバーで、幅広い層に届く目配せも心憎い1枚と言えるだろう。 荒金 良介