DISC REVIEW
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彼らがデビューEPをリリースしてから5年が経ったが、その間、バンドの内情は大きく変化したようだ。ヴォーカリストが相次いで変わっていることももちろんだが、セカンドアルバム以降はヘヴィロック~ラウドロックのエッセンスが彼らのサウンドに色濃く反映されるようになった。その頃からバンドのレコーディングやツアーサポートを努めていたウェス・ボーランド(LIMPBIZKIT)がキーパーソンになっているのかどうなのかは分からないが、デビュー当時のパンク+メタル+スクリーモなサウンドのその先を求め、その進化過程だったサウンドは今作(初のメジャー・デビュー作品)においてようやく完成を遂げたのだ。潜在意識に働きかけるように呪文のごとく繰り返されるメロディーと、テクニカルな楽器態がパキパキと弾ける「The Other Side」、インダストリアル風な破壊的サウンド「A Perfect Mess」など、楽曲の構成はもはやデビュー当時のFFTLの欠片も無いが、様々な困難にも屈せず、これほどクールなバンドへ変貌を遂げるまでタフに走り続けてきたFFTLは、もう一介のスクリーモ・バンドとして語られる存在ではないのだ。(MAY-E)