MENU

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

AFI

2013.10.13UPDATE

2013年10月号掲載

AFI

Member:Davey Hovak (Vo)

Interviewer:山口 智男

-新作のリリースが目前に迫った現在の心境は?

すごく嬉しいよ。アルバムの出来にも満足している。仕上がりは完全に僕らの希望していたとおりになった。早くみんなに聴いてもらいたいし、新作を聴いて、何でも必要なもの、好きなものをそこから受け取ってもらいたいと思っている。あとはライヴで新曲をやるのが楽しみだね。

-アルバムの内容について聞かせてもらう前に、レーベルが変わったことについて教えてもらえますか。日本ではユニバーサルのままなのでうっかりしていたんですけど、今度のアルバムはリパブリック・レコードからの第1弾なんですよね。

そうなんだ。2002年にドリームワークスと契約したんだけど、その後、(レーベル・オーナーの)David Geffenがレーベルをインタースコープに売却してしまったから、僕らはいつの間にかインタースコープのアーティストになっていて、その段階で、あとアルバム2枚分の契約が残っていたんだ。そして『Crash Love』がインタースコープとの契約上、最後のレコードだったわけだ。それをもって、そろそろ状況を変える時期かなと考えて......因みにJade Puget(Gt)と僕はリパブリックのA&RのトップであるRob Stevensonと個人的に付き合いがあって、Robを通じてBLAQK AUDIOもキャピトル・レコードから出すという話があったんだけど、キャピトルがああなっちゃったんで(苦笑)、その件はポシャッてしまい、でも、Robとの個人的な付き合いは続いていたんだよ。そして、今回もRobがいるということで、ひきつづきユニバーサル・グループではあるけれどもリパブリックと組むことを決めたんだ。僕らにとってはホーム的な環境だからね。そして今に至っているというわけさ。

-リパブリックとの現状に、より満足していると?

もちろん。何よりも、現場の人間が音楽に対して熱心だというのが嬉しいね。僕らの音楽やレコードにも、今までの連中よりずっと興奮してくれている。今のところ、いい感じだよ。

-創作上の自由、というやつはどうですか?

いや、創作上の自由については、僕らの場合、一度も悩まされたことがないんだ。それが問題になったことはない。ただ、リパブリックは並外れて関心を寄せてくれると言うのかな。

-なるほど。では、アルバムの内容ですが、前作の『Crash Love』は無駄を削ぎ落とした AFI史上最もロックなアルバムでしたが、今回は AFIらしいダークな世界に回帰しつつ、シンセや、「The Embrace」では打ち込みのドラムを使うなど、サウンド・アプローチ的にも前作と異なる作品になりましたね。思いどおりの作品になったと、さっき言っていましたが、アルバムを作るにあたってはどんな青写真を持っていたんですか?

スタジオに入る前から、今回は完成形のイメージが極めて明確に見えていたんだ。そもそも僕らはスタジオに入ってからいろいろと実験するタイプのバンドではないんだけど、今回は特に、やりたいことがはっきりしていた。曲の内容も、それをどういう音に仕上げたいかもね。更には、そのためにどうやってレコーディングすればいいかというところまで、曲作りの段階からいつも以上に見えていた。だからJadeと僕で作ったデモはすでに、かなり音が重ねられ、完成度の高いものになっていたんだ。実際、今回のアルバムは僕らの作品の中では最も音が重ねられ、複雑かつ綿密な作りになっていると思う。それはAFI史上、最高にストレートなロック・アルバムだった前作と比較するとなおさら際立つ特徴だと思うけど、最終的にこういうサウンドスケープにするとアイディアは制作プロセスの極々最初の段階からかなり明確に見えていたんだよね。

-確か、『Crash Love』がああいうサウンドになったのには、その前に作ったBLAQK AUDIOの作品からの反動も影響していたようですが、今回の『Burials』の前にもBLAQK AUDIOのアルバムをリリースしているじゃないですか。今回、BLAQK AUDIOでの作業から受けた影響というのはありますか?

あった......ようだね。つまりは結果論だけどさ。プログラミングやサウンドスケープを作っているのはJadeで、あいつが作ったものを僕に提示してきた段階で、今回はもう最終形に近いマルチ・レイヤーっぷりだった。前回は、BLAQK AUDIOを経て AFI をやるにあたって、すごくオーガニックなレコードを作りたいという気持ちになっていたようで、エレクトロニカにはあまり魅力を感じなくて、直球で行こう、ロックンロールで行こうという雰囲気だったんだけど......。まぁ、本当はJadeに聞いてもらった方がこの質問にはいい答えが返ってくるんだろうけど、僕が思うには、前回が反動だとすれば、今回はバランスを取った結果なんじゃないかな。Jadeがどこまで自覚的だったか、あるいは無自覚だったのかは僕からは答えられないけれどもね。とにかく、歌詞を乗せるに至る前の段階から、今回あいつが出してきた曲はすごく複雑なサウンドスケープを持っていた。中には何もない状態から2人で書いていった曲もあるけど、それもあいつが持ち帰って、改めてプロダクションを施してくると、音を重ねて重ねて、かなり練り上げられた曲になっていたからね。それが今回の僕らにとって自然だったと言うか、ふさわしい音作りだったと言うか。あらかじめ話し合ったわけでもなく、それが曲を作っていく中で自ずと見えてきた方向性だったんだ。