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INTERVIEW

AFI

2013.10.13UPDATE

2013年10月号掲載

AFI

Member:Davey Hovak (Vo)

Interviewer:山口 智男

-その作業を、ハリウッド・ヒルズにある友達の家でやったと資料にはありますけど。

うん、そうだね。1年半ぐらいかけてね。でも、それは僕らとしては普通だよ。どんどん曲を書いて、その中からアルバムとして出すにふさわしい曲を選び出していく。最初はほぼ毎日書いていた。数ヶ月はそうだったと思う。その後は、週末は休むようになったけど、週に5日間、毎日何時間もかけて曲を書くということを1年半ぐらい続けたんだ。

-ということは、他にもっと曲はできたんですね?

そのとおり。

-それは隠してあるんですか?

うん、隠してある。でも、そのうちネットに上がるんじゃないの(笑)?

-あはは。そのハリウッド・ヒルズの家というのは、ふたりにとってインスピレーションが湧く特別な場所なんですか?

今となっては、今回のアルバムの曲がすべてあそこで生まれたという意味で、特別な場所になったけれど、環境的に特別だというわけではないんだ。たまたま僕の友達が親切にもスペースを提供してくれて、そこでじっくり創作に没頭することができたというだけでね。でも、素敵なエリアだよ。それにハリウッドは、いろいろな意味で刺激のある場所ではあるよ。だから振り返れば、あの場所を貸してもらえなかったら今回、こういうアルバムは出来上がっていなかったかもしれない。ああいうスペースを好きに使わせてもらって、しかも無料で提供してくれたんだからね。時間的な制約が一切ない......と言うか、曲を書いている段階では僕らはレーベルとの契約もなかったんだけどね。

-あ、そうなんですね。

うん、まだ契約していなかったんだ。だから曲をチェックしにくる人もいなかった。もっとも、一方では予算もゼロだったわけで、Jadeと僕のように住んでいる町が違うと、曲作りのために会うだけでもけっこう金がかかってしまう。Jadeはお互いの顔を見ながら曲を書く方がやりやすいというタイプだから、少なくともどちらかが相手の町へ出向いて、滞在するなり、通うなりしなきゃいけないわけだけど、いずれにしても経費がかかる。そこへ僕の友人が無料で場所を提供しようと申し出てくれたわけだ。あれがなかったら、ここまで自由に曲作りに専念することはできなかったと思う。そして、結果的に曲の仕上がりも違っていただろうね。

-そうだったんですか。その友達もアートに理解のある人なんでしょうね、きっと。

あぁ。本人も演劇や声優の仕事もしている人だからね。絵画のコレクターでもあるし、音楽も大好きで、自分が気に入ったアーティストをサポートするというのも彼の考え方らしい。

-ところで、今回のサウンドにはイギリスの80年代のニュー・ウェイヴ・サウンドの影響が窺えますね。特に「A Deep Slow Panic」「Heart Stop」「Anxious」といった曲には顕著に表れていると思いましたけど。

そうだね。それは褒め言葉として受け取っておくよ。ブリティッシュ・ニュー・ウェイヴには子供の頃から影響されてきたからね。僕ら全員、バンドを始める以前からブリティッシュ・ニュー・ウェイヴを聴きまくってきた。だから、その手の影響が僕らのどのレコードに表れていても不思議ではない(笑)。

-特に今回、それを意識したということはないですか?

まぁ、聴いた人がそういう印象を受けるなら、そうなのかもしれないけれども、書いた僕らは特に何も意識して取り入れてはいない。ジャンルにしろ、アーティストにしろ......僕らは未だに本当にいろいろなタイプの音楽を聴いているし、子供の頃からもそうだった。どれも今の自分たちの血や肉になっているから、どこで何をやっても滲み出てきてしまうんだろう。でも、意識的に出したり引っこめたりということはまったくない。

-では、今回、アルバムの方向性を決定づけたという曲はありましたか?

具体的にこの曲で決まったというのはないと思う。ただ、書いているうちに繋がりと言うか、一貫性が見えてきたんだ。それも割と早い段階でね。曲の雰囲気的にコレとコレは近いものがあるなという具合に、できた曲が自然とグループ分けされていくようなところがあるんだけど、やがてどのグループの曲に自分たちの気持ちが1番惹かれているかがはっきりと自覚されるようになるんだ。つまりは、それがその時に自分たちが向かいたい方向性であり、自分たちにとって自然な方向性であるということだと思う。それがわかったら、その後はそっちに向かって素直に進んでいけばいい......と言うか、進んでいけるようになるんだ。

-スタジオに入ってから実験するタイプのバンドではないと言っていましたけど、「Wild」のシンセ・サウンドなどは、それこそワイルドじゃないですか(笑)。基本的には楽しんで音作りをしているんでしょうね。

それはもちろんだよ。