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LIVE REPORT

GOTCHAROCKA

2025.08.18 @duo MUSIC EXCHANGE

Writer : 杉江 由紀 Photographer:Sana Harukawa

つまり"物語はまた開かれて"いくということなのだ。最新ダブルAシングル『穴 / 沼』をリリースしたばかりのGOTCHAROCKAが、10月12日のVeats Shibuya公演まで続く"GOTCHAROCKA 13th Anniversary Tour 「390 degrees」"の、初日を飾った渋谷duo MUSIC EXCHANGEでのライヴを行ったのは、彼等の結成日である8月18日だったのである。いわゆるリリース・ツアーであるというだけでなく、13周年を記念するツアーをこの日から始めたことには、確実に大きな意味があったに違いない。

しかも、そんな節目となる夜の1曲目として選ばれていたのは、冒頭で引用した一節が歌詞に含まれている新曲「穴」だ。JUNの繰り出すトリッキーなギター・リフ、十夜(Gt)が奏でる的確にして躍動感をも滲ませたカッティング・フレーズ、そして樹威の歌声が艶を与えていくドラマチックなメロディ。最新型GOTCHAROCKAの放つライヴ・サウンドは、いつにも増してダイナミックであると同時にエモーショナルでもあり、集ったオーディエンスたちをはなから沸かせていくことになったのは当然のことだったろう。

"今日は俺たちにとって1年に1度の大切な日です。こうしてみんなと13周年を迎えられたことをすごく嬉しく思いますので、とにかく楽しい日にしていきましょう!"(樹威)

ラウドロック的なヘヴィさを強調した「Break The Spell」のような曲もあれば、アリアのごとき聖なる響きと刺々しい毒気を併せ持った「MONARDA」のような曲もあり、改めてライヴで体感してみると、GOTCHAROCKAの生み出す音楽世界は相当に奥深いのだが、この日のライヴで特に強く引き込まれたのは、本編中盤を過ぎた頃に提示されたもう1つの新曲「沼」だったかもしれない。激しさと美しさとある種の恐ろしさ。それらが音にも詞にも絶妙なバランスで詰め込まれているこの曲は、それこそ穴にはまって抜けられないような状況や、沼に落ちたかのような絶望感を彷彿とさせる情景描写を湛える一方で、得も言われぬやみつき感を聴き手へと伝えてくるために、いい意味で厄介だとも思えてくる。個人的には前後の脈絡も込みで、"「ようこそ しあわせ もっと勘違いして」"とやや不穏に歌われるくだりが、中でもやたらと秀逸だと感じてしまった。

無論、ライヴでは盛大なシンガロングがフロアを満たしていくことが定番となっている「撃愛」にも、GOTCHAROCKAらしさはあふれている他、本編ラストを飾った「Remarkable day」のような晴れやかさを漂わせている曲も、GOTCHAROCKAに必要不可欠なものであることは疑いようもない。GOTCHAROCKAは様々な側面を持つ多面体なバンドで、その面数はこれからも増え続けていく可能性が多々ある。

ラテンな香りを纏った律動と、JUNの派手なスラップ・ギターをフィーチャーした「恐想ロワイヤル」、繊細な旋律を樹威が丁寧に歌い上げた「Happy」、JUNと十夜が華やかなツインギター・ソロを展開した「OUT OF SERVICE」等、アンコールでは計4曲が演奏されたのだが、演奏後には樹威が以下のように語る場面も。

"今日はほんとにありがとうございました。やっぱ、ライヴっていいよね! なんか、感覚的には13年前より若返ってる気がするんだけど(笑)。ちなみに、毎年この8月18日の結成日ライヴはツアー・ファイナルになってることが多いんですが、今年は今日からツアーが始まっていきます。これからもGOTCHAROCKAは俺たちらしく活動していきますので、皆さん付いてきてください。よろしくお願いします!"

[Setlist]
1. 穴
2. CO-ADDICTION
3. MURKY
4. Break The Spell
5. NONFICTION
6. Director's cut
7. MONARDA
8. Suddenly
9. 鉛
10. 沼
11. S or M
12. THE PIGS
13. 撃愛
14. The Ruler's Play
15. Remarkable day
En1. 恐想ロワイヤル
En2. The Lyrical Jet Sky
En3. Happy
En4. OUT OF SERVICE

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