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INTERVIEW

彪(UNDYING WORDS)× KISAKI 対談

2025.11.04UPDATE

彪(UNDYING WORDS)× KISAKI 対談

UNDYING WORDS:彪(Ba)
KISAKI
Interviewer:杉江 由紀
Photographer:尾藤 能暢
彪&KISAKI Hair Make : A・DO
彪&KISAKI Hair Make Assistant : 佐藤 あやか
KISAKI Hair Maintenance : hiko(UNDIVIDE)
KISAKI Stylist:峰岸 祐介
衣装協力:COSMO'S COSTUME / gunda

-なお、KISAKIさんはミュージシャン、バンドマンとしての顔の他にもプロデューサーとしての一面もお持ちで、過去にはMatina、UNDER CODE PRODUCTIONという2つのインディーズ・レーベルを主宰していらっしゃったことがありました。つまり、音楽活動のみならず、ご自身の野心をより確実に実現していくためのシステムづくりそのものも、手掛けてこられたことになりますよね。

KISAKI:僕は予定調和っていうのが一番嫌いな言葉なんです。だから、Matinaにしても、UNDER CODE PRODUCTIONにしても、どこかの組織に頼ることなく自分たちで自分たちらしくやっていく、ということをずっと重視してたんですね。そういう意味では、演奏が上手い下手とか以上に、自分たちらしさを活かした表現活動が何よりも大切だと思っているので、そこを僕はいろんなバンドたちと共有してきた歴史があります。

彪:私はKISAKIさんと出会ったときから、この"人を率いる力"を本当にリスペクトしているんですよ。昔の私はプレイヤーとしての視点しか持っていませんでしたけど、今となっては自分も小規模ながらレーベルを作って、動かしているバンドもあるわけで、KISAKIさんと近い立ち位置になってみて初めて、感じさせられることもたくさんあります。当時のKISAKIさんは"マネージャーもいらない。自分たちでできるよ"ということもおっしゃっていて、その言葉の意味も今になって改めていろいろと考えさせられますね。

-とはいえ、ノウハウなしでいきなりセルフマネージメントをしようとなっても相当難しいのでは?

KISAKI:でしょうね(笑)。

彪:最初は分からないことだらけでした(苦笑)。実際にやってみて初めて分かることだらけで、すごく大変でしたね。KISAKIさんが闘ってこられたのはこういうフィールドなんだな、と痛い程分かりました。

-きっと、激ロック読者の中にも、将来的にマネジメント業務やプロデュース・ワークを手掛けていきたいと考えているバンドマンたちがいらっしゃるのではないかと思います。先駆者であるKISAKIさんからアドバイス的な"神言"をいただくことはできますか?

KISAKI:僕は言葉で説明するよりも、自分の背中を見て覚えてくれ! というタイプだと思いますね。レーベルをやっていくにしても、上に立つからには、"KISAKIってカッコいいな"と周りに思わせないとみんな付いてこないでしょうし、自分たちのバンドそのものもレーベルに関しても、やっぱりブランディング力が大事かなと。例えば、共演するアーティストであったりイベントの主旨であったり、そこもちゃんと踏まえた上で、なんでもかんでも誘われたから出るみたいなことはしないとか。まぁ、調子に乗ってるように見えたかもしれないですけどね(笑)。

-そんなことはないかと。言葉より行動で示す、無駄に安売りしない、打ち出し方を考える。それらは音楽活動に限らず、様々な場面で大切になってくることのはずです。

KISAKI:今となってはバンドではなく、ソロの形でKISAKIとして動いていけてるのも、要はそういうブランディングをしながら活動してきた経緯があったからなんじゃないかと思います。そして、ここまでに関わってきた多くのアーティストや関係者の方々、いろんな人たちとの縁も僕のことを支えてくれているんですよ。

-ここまでに関わってきた多くのアーティストと言えばなんと、来年3月15日には、錚々たるメンツの揃う"KISAKI 生誕半世紀記念祭「BEYOND THE KINGDOM -Fest of Excellence-」"が大阪BIGCATにて開催されるそうですね。

KISAKI:この"BEYOND THE KINGDOM"というのは、ソロになってからよく使ってきてるイベントのタイトルで、バンド時代を超えた今の自分ができることを実現する場って意味があるんですね。来年の3月に関しては生誕半世紀ということで、そのスペシャル版みたいな感じです。

-ミステリアスさを演出するためなのか、V系界隈では古くから今に至るまで年齢を隠すアーティストも少なくありません。そのなかで堂々と"生誕半世紀"と冠してしまうKISAKIさんは、なんとも潔いですね。

KISAKI:隠したくても隠せないというか、みんな知ってますしねぇ(笑)。別に隠す必要もないですし、もはや数字よりも見た目とか存在感とかそっちのほうが大事かなと思ってるんですよ。人から"あぁ、50歳なんですね"じゃなくて"えっ、50歳だったんですか!?"って言われる50歳を迎えられるようにしたいです。それに、精神年齢はバンドを始めた頃とあんまり変わってないですね(笑)。

-その記念ライヴの直前となる3月10日には、これまた大変豪華な顔ぶれによるメモリアル・アルバム『Voice in Sadness』まで発表されるそうで。

KISAKI:その3月10日が僕の誕生日なんですよ。ちなみに、ジャケットに写ってる時計が指している夜10時24分は僕の生まれた時間です(笑)。フラワー・ショップに時計を持ち込んで、お花の装飾も"ゴシック調で美しくお願いします"と抽象的なテーマで無理難題をお店に頼んで、カメラマンさんを手配して撮りました。

彪:KISAKIさんのそのこだわり、行動力とか段取り力、さすがです。私は考えている時間のほうが長くなってしまうことが多いので、目的を達成するために即決して実行するKISAKIさんの華々しくてギラギラしている姿勢から、学ぶことが本当に多いですね。

-メモリアル・アルバム『Voice in Sadness』はどのような内容になるのでしょう。

KISAKI:新曲3曲とリミックス、リレコーディングをした既存曲が計12曲入る形になりますね。苑(摩天楼オペラ/Vo)、櫻井有紀(Raphael/Vo)、AKIRA(MIRAGE/RENAME/Vo)、蟹江敬子(THE SHEGLAPES/Vo/Horagai)、HIZAKI(Versailles/Jupiter/Gt)、Iyoda Kohei(Gt)、SHIORI(Little Lilith/Ba)をはじめとして、実力もあって信頼のおける約20人が快く携わってくれました。

-"KISAKI 生誕半世紀記念祭「BEYOND THE KINGDOM -Fest of Excellence-」"のほうはさらに出演バンドが多くて、これは当日の楽屋が大変そうですね(笑)。メイン・アクトは当日限定バンドとなるTHE LOCUSでKISAKIさんを筆頭にヴォーカルが苑(摩天楼オペラ)さん、ギターがHIZAKI(Versailles/Jupiter)さん、CERO(凛-the end of corruption world-/Jupiter)さん、ドラムがHIROKI(D)さんというラインナップですし、さらにはPsycho le Cému、SEX MACHINEGUNS、摩天楼オペラ、GOTCHAROCKA、NoGoD、FEST VAINQUEUR、椎名ひかりさん、Little Lilithも名を連ねています。

KISAKI:ほんとありがたいです。今回、イベントのほうは返事が来るのが早かったバンドから決めさせてもらったんですよ。最終的にはライヴハウスの方から"これ以上は無理"とNGが出てしまい、出演をお断りしないといけない状況になってしまって。あと、会場を探すこと自体もすごく大変でした。

-昨今、週末となると東京と大阪はどの会場を押さえるにも激戦ですものね。

KISAKI:いやほんとに。BIGCATは以前からよくお世話になっているライヴハウスで、店長のこともよく知ってるんですけどルールがあって、1年前の3月1日朝11時の受付開始時間と同時に自分で電話して、30分くらいずっとリダイヤルし続けてなんとか押さえれました(笑)。

彪:私、KISAKIさんのそういうところも尊敬しているんですよ。アーティストとしてすごい方なんですけど、そういうことをひけらかしたりされないですし、人への気遣いもできるし柔らかさを持たれていますし、時には私なんかに対してまでへりくだるような瞬間もあって、人間的にとても優しくて、繊細なところを持っている方なんだろうなと感じてます。初めて写真を見たときのあの衝撃からいくと、それはちょっと意外なところでもありますね(笑)。今度のイベントやアルバムにたくさんのアーティストの方々が参加されているというのも、そういうKISAKIさんの中にある人としての魅力によるところが大きいのではないかなと感じてます。

-ところで、KISAKIさんと彪さんは共にベーシストでいらっしゃいますよね。今までプレイヤー同士としての会話を交わされたことはありますか?

彪:さっき"自分の背中を見て覚えてくれよ"っていうKISAKIさんの言葉もありましたし、あんまり細かいことを話したことはないです。でも、ピック弾きに徹しているベーシストという点では、バキバキに弾くプレイ・スタイルが似ていると私は勝手に思っているので、そのことは前にちょっとお伝えしたことがありますね。

KISAKI:似てないと思うけど(笑)。僕もバキバキ鳴らすのは大好きだけど、個人的にはベーシストというよりも、作曲家として見てほしいと思ってるところがあるくらいで、ベースは彪ちゃんのほうが上手だよ。

彪:そんなことないです(苦笑)。

KISAKI:去年から、彪ちゃんはUNDYING WORDSっていう新しいバンドを始めたじゃないですか。その音を聴かせてもらったときに驚いたのは、とにかくすごくパワーアップしてたんですよね。ベーシストとしてバンドのサウンドを引っ張っていってるな、ということが伝わってくるんですよ。今回の対談の話を貰ったときにOKを出したのは単に前から知ってるからとかではなく、まずそこが大きかったですね。しかも、UNDYING WORDS は12月で1周年なんでしょ? 僕は来年3月に生誕半世紀記念祭プロジェクトがありますし、タイミング的にはここが最高でしょ! と思ったわけです。

-なお、今夏以降のUNDYING WORDSは、サポート・ヴォーカルさんを入れてのライヴを続けてきていらっしゃいますが、今後の展開というのはどうなっていくのでしょうか。

彪:12月の結成1周年ライヴに向けて、応援してくれている皆さんに喜んでいただけることをいろいろと考えています。

KISAKI:そうなんだね。これからどういう展開になっていくかは分かんないですけど、1周年を迎えようとしてる彪ちゃんが野心に燃えてるのは間違いなさそう。熱量高くてギラギラしてていいと思います。僕としてはこれからも応援していきたいと思ってるし、彪ちゃんがUNDYING WORDSを引っ張っていくことで、ここからどんどん大きいバンドになっていく姿を見ていきたいですね。

-そうした暁には、UNDYING WORDSとKISAKIさんが共演されるという未来もあり得ますかね?

KISAKI:なくはないと思いますよ。僕が音楽をやめてなければ。

彪:願わくば、今度の3月のライヴに出させていただきたかったぐらいの気持ちなんですけど、それは叶わなかったので。来年KISAKIさんの生誕半世紀イヤーの中で、何かでご一緒できたらいいなと思っています。

KISAKI:まぁ、それだけ言ってもらえるんだったら。来年3月にちゃんとCDを残した上で、ライヴをやるっていうところまで成功させることができたら、その先もちょっといろいろ考えたいですね。そのときはUNDYING WORDSも誘いたいと思います。それまでにもし困ったことがあったら、僕に相談してください。実際に助けてあげられるかは分かんないにしても(笑)、いつでも話は聞きますんで。

彪:ぜひよろしくお願いします!