INTERVIEW
Qtwins
2025.10.29UPDATE
2025年11月号掲載
Member:キラナ(Vo) Nao+(Vo)
Interviewer:山口 哲生
様々なシーンで活動してきたキラナとNao+が結成したツイン・ヴォーカル・バンド、Qtwins。ラウドでパンチの効いた楽曲と圧倒的なパフォーマンスで魅了していく2人は、現在、来年1月24日にunravel tokyoで開催される初のワンマン・ライヴ"Qtwins ONEMAN LIVE-QUEENDOM-"を成功させるべく、日々邁進中だ。初登場となる今回は、結成の経緯から、様々な苦境に立ったこれまでのこと、そして2人が思い描く未来について、賑やかに、飾ることなくまっすぐに語ってくれた。
-キラナさんがNao+さんに声を掛けたのが結成のきっかけになったそうですが、もともと知り合いだったんですか?
キラナ:そうですね。アイドル界隈で、それぞれソロでやっていたときに出会ったんですけど、最初に会ったのはもう5年前ぐらい?
Nao+:そうだね。2020年とか。で、"バンドやらないか?"ってナンパされて(笑)。
キラナ:はははは(笑)。
-"バンドやらないか?"って声を掛けたんですね。
キラナ:どうだっけ(笑)? "もうグループはやらない"っていうのは散々聞いていたんですよ。昔、アイドル・グループに所属していたのを知っていて。
Nao+:人間が苦手で(苦笑)。
キラナ:あとは、もともと2人ともバンド活動をしていて、私もアイドル・グループを組みたかったわけじゃないから、どのタイミングで言ったらOKしてもらえるんだろうとか、いろいろ考えていて。声の掛け方的には、かっこいいバンド・サウンドで一緒にやっていかないか? っていう感じだったと思うんですけど。
Nao+:あれだ、"ロックやろうぜ!"だ、どちらかと言うと。実際に楽曲もロックだったし、私も"アイドルやろう"って言われたら絶対断ってたんで。"アイドルはもういい! もう女とはやりたくない!"と思ってたんで。性格的に(笑)。
キラナ:はははははは(笑)。
-キラナさんの中では、こういうものをやりたいというヴィジョンがしっかりとあったんですか?
キラナ:そうですね。一緒にやってみたらどんな形になるんだろうと思って、勝手に曲を作ってみたんですよ。それで、"今度の無料ワンマン(2023年8月開催の"キラナ 無料ワンマンライブ")で一緒に歌ってくれない?"って。そのときに一緒に歌ってもらった1発目の曲が「0Zero」っていう、今もQtwinsでやっている曲で。その曲を歌ってみたときに、声質とかが合うし、私にはない――今、ちょっと声がガラガラなんですけど(苦笑)。
Nao+:めちゃかっこいいよな。もうちょっとピュアピュアヴォイスだもんね?
キラナ:そう(笑)、私にない声質と歌い方だし、ガナりとかも上手だし、合わさったらめっちゃ良さそうだなって、実際に歌ってもらったときに確信して。それで、ラップとか歌わせたら絶対にかっこいいなと思って、次に作ったのが「Break out」っていう曲なんですけど、それも今も継続してやっていて。その2曲を歌った後に、もっといろんな曲を一緒にやりたいなと思って、声を掛けさせてもらった感じでした。だから曲先行ですね。
-Nao+さんは声を掛けられたときにどう思いました?
Nao+:声を掛けられたとき、実はもう音楽活動をやめようとしていたんですよ。この先、自分の中でソロのヴィジョンが全然見えなくて。"音楽はやりたいけど、これ以上どうしようかなぁ......"って悩んでることも、キラナは知っていて。そのタイミングで一緒にやろうみたいな感じで言ってくれたから、"えー? ありー!"と思ったんです。
キラナ:ははははは(笑)。
Nao+:自分がちょっと諦めかけていたときに手を差し伸べてくれたので、ちょっと行ってみるかみたいなところからっていう感じでしたね。自分としてはグループをやりたかったわけではないんだけど、ツイン・ヴォーカルでバンド・サウンドをやるのは全然ありだなと思って。ツインだったらグループよりも歌割が全然増えるじゃないですか。これはめちゃくちゃありかもなと思って乗った感じですね。
-最初に「0Zero」を聴いたときの感想というと?
Nao+:マジ泣きましたね! 歌詞ヤバいよね!?
キラナ:露骨に、何も飾らずストレートな感じで。声を掛けたのは、本当に音楽をやめちゃいそうだなと思ったからでもあるんです。(Nao+が)アコースティック・ワンマン("【Nao+acoustic1MAN Live】~No Music,No Nao+~")をホールでやるときに、スペシャル・ゲストで出させてもらったんですけど、こんなに歌えるのに、実力じゃなくて、いろんなしがらみで夢を諦めちゃう人が1人増えちゃったら嫌だなと思って。「0Zero」には、そうならないでほしいっていう気持ちと、ここからまた始められるよっていう気持ちを歌詞に全部詰め込んでいて、Qtwinsのお客さんの中でも一番人気の曲だし、うちらも一番ガッツが入る歌詞ですね。
Nao+:30代以上に絶対刺さりますね、この歌詞。いろいろ頑張って、いろんな経験を経て、いやぁちょっと......ってなってる子たちに、"でもやるしかねーよな!"っていう。"セカンドキャリア行こうぜ!"みたいな感じの曲だよね? たぶん中学生が聴いてもそんなに刺さんないです(笑)。かっけー! っていうぐらいで。
-若いやつにはまだ無理だと。
Nao+:そうそう、この魅力はまだ分かんないから(笑)。
-もともと5年ぐらいの付き合いがあったとのことですが、例えばよくご飯に行ってたとか、そういう感じだったんですか?
Nao+:全然仲良くなかったです(笑)。
キラナ:ははははは(笑)。いや、仲良くなかったことはないけど。
Nao+:でも、仲がいいわけではなかったよね? 仲が悪いわけでもなかったけど。
キラナ:あぁ。会ったら普通に喋るぐらい。
Nao+:そうそう。コンビニのバイトみたいな感じだよね? 名前も知ってるし、挨拶もするけど、みたいな。
キラナ:そうだね。まぁ2人ともいい大人なんで、会ったら普通に喋るけど、じゃあご飯に行くとか、どこかに出掛けるみたいな関係性かというと、別に(笑)。
Nao+:未だにプライベートではそんなに遊ばないもんね? 遊びに行こうと思えば全然行けるんですけど。でも5年前は特に行かなかった。ご飯も行ったことなかったし。
キラナ:むしろ、私の(Nao+の)最初の印象、"超怖い"でした。
Nao+:それよく言われる(笑)。
キラナ:ギャル怖い......挨拶したけどそっけない......みたいな(笑)。私のほうがその界隈に行ったのが遅くて、Nao+はわりと首領(ドン)ぐらいの感じだったから。
Nao+:出会いがちょうどコロナ禍だったんですよ。初対バンが無観客の配信ライヴだったんですけど、私、時期的にすげぇ荒んでたんです。決まってたワンマンも全部ボツになって、活動もなくなって、"配信ライヴかよ! 客がいないのに何やんだよ!"みたいな感じで(会場)入りしていて。そのときに"キラナです!"とか来られても、"あぁもうおはようおはよう!"みたいな(笑)。クッソ荒んでたんで。
-タイミング的に良くなかったんですね。
Nao+:そうそう。しかもそのとき、新人アイドルとして来やがったんですよ。フリフリ!キュルキュル! みたいな。だから私も"怖いの来た......!"と思って(笑)。
キラナ:そのときはね(笑)。私、もともとめちゃめちゃロックなバンドをやってたんですよ。それを全部隠して、新しいお客さんを付けようっていうことでアイドル活動を始めたばかりだったので、今みたいな感じでやれるとか何も言わず、その当時のプロデューサーに言われた通りのキュルキュルな感じでやっていて。
Nao+:もぎたてフレッシュ! みたいな。
キラナ:私としても、アイドルってそういうもんだよな、そうじゃなきゃ逆にちょっとダメかもみたいな感じだったから、笑顔を絶やさずに行ったんですけど。
-結果的に、お互いの第一印象が"怖い"になったと(笑)。
Nao+:すごかったんですよ。私は別にアイドルさんを否定してるわけじゃないんですけど、自分の好みかと言われたら別に好みじゃないわけですよ。でも、ロックの片鱗を全く見せずに完全アイドルで来たから、この人はアイドル曲しか歌わないんだろうなぁって勝手に思ってたんです。それから2~3年後ぐらいかな。"本当はバンドをやってたんです。その当時の曲やります"ってやったのがクソかっこ良くて! "お前できんじゃん! やれんじゃん!"みたいな(笑)。
キラナ:はははは(笑)。たしかにそこから仲良くなったかもね。
Nao+:私、露骨に音楽で好きになるタイプなんですよ。外見とか中身とかもあるけど、言っても中身なんてみんなそんなに分からんから。楽曲がマジで刺さったんで、"かっけー!"ってめっちゃ言ってたもんね?
キラナ:そうそう、初めてぐらいの感じで言われた(笑)。
Nao+:ははははははは!
キラナ:私もプロデューサーも、1回ロックが出ちゃうと完全にそっちになっちゃうから、まずは1回"かわいい"を突き詰めてみようと。それでいわゆるファンサだったり、目を合わせて歌うことを学ばせてもらったり、ダンスしながら歌うのとただ突っ立って歌うのは全然違うから体幹を鍛えたりして。それを経て、そろそろロックやりたいなっていう。結局そこに戻るつもりで始めていたので、そのときに昔のバンドの曲をやったら、たぶん(Nao+が)ファンよりも泣いてた(笑)。
Nao+:ボロ泣きしちゃって。食らったぁ......と思って。マジでかっこ良かったっすね。しかも私よりも芸歴が長いことが分かって、おい先輩かよ......みたいな。そこから急に敬語(笑)。なので、"ロックを一緒にやりたい"って言われたときに、私にとって(キラナは)ロックの先輩やから、ぜひ! みたいな感じではあったんですよね。
-なるほど。お2人ともバンド経験があるとのことでしたが、もともとそういう音楽が好きだったんですか?
Nao+:いや、私、ルーツはR&Bなんです。Christina Aguileraさんとか、Whitney Houstonさんとかが好きで。歌って踊れるソロ・ヴォーカリストになりたかったタイプですね。
-そこからどうやって今の道に?
Nao+:これめっちゃ話長くなっちゃうなぁ(苦笑)。
-全然大丈夫ですよ。
Nao+:18歳のときに単身上京してきて音楽活動を始めたんですけど、完全にノリで出てきちゃったんですよね。"音楽やるなら東京だ!"って。で、とりあえず弾き語りぐらいはできんといかんかと思って、ギターを買ってもらって弾いたりしてたんですけど、ライヴハウスへの出方も、ライヴのやり方も何もかも分からなかったんです。じゃあとりあえず一旦路上ライヴだ! と思って、錦糸町で1回やってみたんですよ。そしたら謎の中国人に"アナタ歌ウマイ! 僕ノライヴ出テ!"って言われて。これマジっすからね?
-はい(笑)。
Nao+:今だったら絶対断るけど、18歳だったんで、"やった! 東京ってこうやって声掛けてもらえるんだ!"って。で、その方の主催が下北沢のmona recordsであって、ちゃんとしたライヴだったんですけど、共演者の方から"お前めっちゃおもろいやん。俺たちのコーラス・チーム入ろうぜ"って誘われて、Unreal Projectっていうコーラス・チームに入って。そこから音楽の知り合いがどんどん増えて、今に至るって感じなんですけど。だから、R&Bがやりたかったんだけど、オリジナル楽曲がなかったから弾き語りを始めて、そこから弾き語りのシンガー・ソングライターっていう形で2年ぐらいやって、いろんなバンド界隈に出たりして。R&Bどこ行った? って感じですね(笑)。
-ロックなものが好きになったきっかけみたいなものはあったんですか?
Nao+:初めてヴォイトレに通ったときに、"あなたはNOKKOになりなさい"って言われたんですよね。"REBECCAだよ、あんたは"って。"そっかぁ。じゃあバンド聴くか。ONE OK ROCKかっこよ!"みたいな感じでした。別にR&Bだけが好きだったわけじゃなくて、いろんなジャンルが好きだったから、"私バンドもいけるのか。やってみようかな"みたいな。そこから徐々にっていう感じでした。
-バンドはどれぐらいやっていたんですか?
Nao+:結局1年ぐらいしかやってなかったですね。ミクスチャーな感じというよりは、ゴリゴリの生サウンドでオラオラ! みたいな感じのバンドだったんですけど、私が煽りとかが全く分からなかったんですよ。全然できなくてメンバーに怒られながら、よく分からんなぁと思いながらやりつつも、結局やめちゃったから、自分の中でロック・バンドっていうものができなかったんです。それを完璧にやれる女(キラナ)がいて。今でも煽りはキラナのほうが上手いんですよ。私、"エヴィバディいけますかー!"とか言えなくて(笑)。"エヴィバディいけますか"!? かっこよ! みたいな。私ずっと"フォー!"しか言ってないから、フロアの盛り上げ方みたいなものがすごいですね。












