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INTERVIEW

Qtwins

2025.10.29UPDATE

2025年11月号掲載

Qtwins

Member:キラナ(Vo) Nao+(Vo)

Interviewer:山口 哲生

納得いくものじゃなきゃ歌いたくない。探しながらっていうのがうちらのテーマに合ってる


-キラナさんはもともとロックが好きだったんですか?

キラナ:もともとは小学2年から中学2年までNHK東京児童合唱団に入ってたんですよね。そもそも音楽が好きだったのと、いろんな習い事をやった中で音楽しか続かなかったっていうのもあるんですけど。で、中高女子校に通ってたんですけど、軽音部に入りたかったんです。でも高校生にならないと入れなかったから、そこまでは適当に過ごして高校生になってようやく入れて。めっちゃ楽しいんですけど、もっと本格的にやりたいなと思って、高校卒業してからガチガチのバンドを始めました。 で、今はカスカスですけど(笑)、声が結構かわいい系だったので、"似合う曲を用意したよ!"って言われる曲が、だいたいポップな曲で。音楽はそういう曲もどのジャンルも好きなので、歌えるの楽しいなみたいな感じでやっていたんですけど。バンド・メンバーとしてはロックな曲がやりたかったらしく、見た目も声もロックな、自分とは全然違うヴォーカルと入れ替えというか、遠回しでクビにされたんですよ。

-おぉ......。

キラナ:それがめちゃめちゃ悔しくて! "はぁ? ロックできないと思ってんの? かっこいいのできないって遠回しに言われてる?"って。だからロックは見返したい精神から始まってるんです。"私だってかっこいいのできるけど?"っていう。そこから2個ぐらいバンドをやって、結構いいところまで行ったんですけど、当時は上の世代の人たちみたいにメンタルがちゃんとできていなかったというか。それで、バンドの解散をきっかけに1度音楽をやめたんです。解散するってことは、音楽をやめるぐらいのつもりで言わないと失礼かなと思って。 でも、普通に働いていても全然面白くなかったんですよね。ただ、本気で音楽をやるとなると、楽しいだけじゃやっていけないのを散々味わってきた数年だったから、趣味で音楽をやっているって考えればやれるかなと思って、曲作りを始めたんです。

-そのタイミングから作詞作曲を。

キラナ:最初は、バンドを解散する前に最後に出す曲がメンバーから送られてきたときに、なんかちょっと気に食わなくて。メロと歌詞を担当させてほしいと初めて言って作ったのが「泣ナミダ」という曲で、今でもアコースティック・ライヴで歌っているんですけど。それを経て、"案外曲作れるんだ。じゃあ自分で作ってみるか"と思って、アコースティックで活動を始めたんですけど、性格上、趣味でもやり始めたら、自分が求めているところまで行かないと結局納得いかないんだろうなぁって。それで、最後にやるならバンドをやりたいと思って、ソロ名義でサポート・メンバーを入れて、昔やってたバンドの曲を許可を貰ってやっていたんですけど、1人でサポート・メンバーを迎えて月7本とかライヴを打つと、正直ギャラの支払いとかヤバいじゃないですか。

-かなりキツいですね。

キラナ:そのときバイトを3個とか掛け持ちしていて、ラーメン屋で玉ねぎを切りながら、なんのために音楽やってんだろう......みたいな。もちろんどんな仕事も素晴らしいですけど、私は音楽で食べていきたいのに、ギャラを払うためだけにバイトしてるな......って。それで、今いる界隈じゃフロアは盛り上がるかもしれないけど、動員には繋がらない。私を一番に選んでもらえないなというのが分かったタイミングで声を掛けられたのが、アイドルだったんですよ。"絶対キラナちゃんはアイドルをやったほうがいいよ"って。長年やってきたこの感じでどこにその要素があるの? って思ったんですけど(笑)、当時やっていたことって、かっこいいを無理やり作っていた感じだったから、本当に自分がかっこ良かったかと言われると、普通の女の子だったんですよね。 だから、声を掛けられなきゃやらなかったけど、思い切って挑戦しようと思って始めたのが、2020年でした。

-そこから2人が出会うところに繋がっていくわけですね。

キラナ:なので、私の中でロックの始まりは、クビになったところからですね。

Nao+:その始まり、ロックだな(笑)。クビになったんでロックしましたって。

キラナ:私としては、アイドルをやらせてもらって、愛される場所だなと思ったんですよ。笑顔が生まれる場所だなって。アコースティックは、心の中にある何かを全部曝け出していい場所で、ロックは私にとって生き様だと思っているんです。Qtwinsを始めたのは、そういうものを全部出せる場所を作りたかったっていうのもありますね。ロックって人によって定義が違いますけど、私にとっては生き様だから、その中にかわいい要素があったり、弱い部分が入ったりしていてもいいと思うし、それを見せられる場所としてロックをやりたくて。今はいろんな活動を並行してやってるんですけど、Qtwinsは全てを出せる場所にしたかったし、さらに、そこに自分にないものを持っている、認めている人が入ったらより強いじゃん! って、それが希望に変わっていったというか。

-なるほど。

キラナ:言っても、今話したみたいに下積みが長いので、ここから自分1人でという感覚よりも、大人になっていたからというのもありますけど、今からでも一緒にやるって言ってくれる人がいるんだったら、それを守りたいなぁみたいな気持ちがめちゃくちゃ強いです。

-それぞれが一つ一つ積み上げてきたものが繋がっていった感じもありますね。

Nao+:アイドルを始めた理由も一緒なんですよ。私の場合は、謎の中国人が主催した対バンのときにいた方が、"オーディションやるけど出る?"って話を持ってきてくれたんです。それがバンドを解散した後だったんですよ。それでお互い、それぞれのプロデューサーに言われて、"アイドルっすか?"って。

キラナ:うん。それもあるし、私は武器が増えるならいいやんって思ってた。

Nao+:おぉ。すごい。

キラナ:バンドからアイドルになったら、やっぱり離れていった人はもちろんいたし、対バンしてた人からも"あんだけオラついてたのにどうしたん?"みたいな(笑)。

Nao+:はははははは(笑)。

キラナ:"どうしたん、めっちゃ自撮り上げてるやん"って。疎遠になった方もいっぱいいたんですけど、でも武器が増えるって良くない? っていう感じになってましたね。それも身に付けて全部取ってやるぞ! っていう気持ちのほうが勝った。

Nao+:アイドルってすごいよね。

キラナ:うん。本当にすごいと思う。やってみて思いますもん。

Nao+:私もほんと尊敬してる。自分がやったことによって、オタクとアイドルの素晴らしさに気付けたから。今までマジで舐めてたんで、アイドルのこと。こんなに歌もダンスも下手なのに、なんで負けてんだろうと思ってたんだけど、理由がマジでいっぱいあったなと思って。

キラナ:だからアイドル界隈で出会えて良かったなって思うし、一応うちらはお互いに全部通ってきてるつもりなので、全部分かった上でうちらにしか出せないものがあるかなと思って組んでいるのもありますね。今はどのジャンルのライヴにもQtwinsで出られてるんですよ。アコースティックも、アイドルの現場にオケで呼ばれても全然出られますよ、みたいな。だから、幅広くやれるところは武器だなと思ってます。

-たしかにどこにも行けますね。Nao+さんはR&Bとのことでしたけど、キラナさんが好きだった音楽というと?

キラナ:これが、音楽やってる人って普通あるじゃないですか。私、いい意味で何もなくて。好きになったものが好きっていう感じだからすごく難しいんですけど......歌がもっと上手くなりたいと思ったきっかけは、鬼束ちひろさんの「月光」を聴いてからなんですよ。

Nao+:おぉ。すんごい曲だね。

キラナ:もともとバラードが好きだし、カラオケで何歌うの? って聞かれたら大体バラードで。だからロックかと言われるとそうじゃないんだけど、一番グッとくるものはそれだから、ロック・サウンドでも歌詞が刺さるものにしたいっていうのは自分の中にあるかもしれないですね。

Nao+:日本語が一番好きなんじゃない? 洋楽あんまり聴かないよね?

キラナ:あぁ。洋楽は眠くなりますね。

Nao+:ははははははは(笑)。

キラナ:あとは、バンドをやっていたときに参考にさせてもらっていたのはUVERworldさんでしたね。"UVERworldの女版になろう"って言われてやっていたので。

-楽曲に関してはいつもどう作っていくんですか?

キラナ:私が作詞と作曲をさせてもらっていて、編曲はバンド・メンバーに力を借りながらなんですけど、最初は作りたいものを作ろうっていう感じだったんです。2人で歌ったらかっこいいと思うもの、Qtwinsに合いそうなものを作っていく感じだったんですけど、"どこを目指すかによって曲も大事になってくるよね"って周りに言われるようになり。 でも、それってめっちゃムズいじゃないですか。誰が売れる/売れないを決めるのか分からないし、誰かがいいって言ったら売れるのか? っていう話だし。でも、参考にはしないといけないなと思って、ちょっと現代に寄ったものというか。TikTokとかに流れてきそうなサウンドで作ってみたのが、最近作った「TRY GAME」っていう曲で。たしかにライヴで遊べるしみんな楽しそうだし、きっといいんだろうなって思うんですけど、じゃあ次に何を作ろうって思うと、めっちゃ難しいんですよね。そこが今は結構悩みというか。

Nao+:あぁ。うん。

キラナ:"生で聴いたほうが刺さった"っていうのはよく言われるんですよ。あと、「0Zero」が一番いいって言われるのって、やっぱりうちらが一番出したい言葉を全力でぶつけているから、生で聴いたときにより刺さるんだろうなと。そういう点では、やっぱりストレートな歌詞が一番いいのかなと思って。もちろん全部ストレートに書いているつもりではあるんですけど。

Nao+:流行りの曲がみんなかっこ良すぎて、何言ってるか分かんないもんね?

キラナ:あぁ。それもあるよね。

Nao+:歌詞覚えてます? 最近の曲の歌詞全然覚えてないんだよなぁ。マジ分からん。

キラナ:次の曲はサウンドにかっこ良さは残しつつ、もうちょっと歌詞に重点を置いて書こうかなとは考えてますね。本当はたぶん1回聴いたら歌えるぐらいの曲がいいと思うんですけど。

-キャッチーなものを。

キラナ:そうですね。ただ、そこも大事だけど、うちらだから歌える曲もやっていきたいから、演者が"こんなの歌えないよ!"って言うような感じの、"すげー!"って言われるようなものをテーマにした曲も今作ってます。

-始動以降、自分たちはどういう音楽をやるのが一番いいのか、1つずつ探しながらやっているというか。

キラナ:そうですね。これだ! っていう感じよりは。

Nao+:多様性だね。

キラナ:本来だったらこのインタビューの時点で言えるべきなんですけど、いい意味でまだ可能性を探ってる感じですね。模索しながら作ってる感じです。

-その模索はこの先もずっと続いていく気もしますし。

キラナ:そうですね。やっぱりうちらが納得いくものじゃなきゃ歌いたくないから、探しながらっていうのがうちらのテーマにも合ってるのかなって気がします。

-Nao+さんはキラナさんが作る楽曲にどんな印象を持っていますか?

Nao+:かっけぇー! がまず来るのと、もともと私自身がなりたかったヴォーカリスト像が、自分で作詞作曲をするんじゃなくて、いただいたものを自分で表現するっていうパフォーマーのほうなので、歌詞とか楽曲に対していちゃもんを付けることが基本なくて。だからもう率直にいいなと思いながら歌ってますね。そのなかで、Qtwinsはかっこよくありたいっていうのがデカいから、かっこいいに寄せたパフォーマンスをしてます。

キラナ:あ、そうだ。いつも歌詞を書くときは、Nao+だから映える歌詞とかメロディにするっていうのはすごく大事にしてるんですよ。1回試しに逆で歌ったことがあるんですけど。

Nao+:違うものになるよね。

キラナ:うん。今言われて思ったんだけど、たしかにそこは見どころかも。

-当て書きをしていると。

キラナ:そう。やっぱりまずはNao+に刺さらなきゃ世に出ないわけじゃないですか。だから、自分の中のテーマとして、まずNao+に刺さるものを書こうっていうのはあるかも。Nao+に刺さるってことはこういう人に刺さるとかじゃないけど、そこは様々な可能性がある中でも一番大事にしているものかもしれないですね。

Nao+:なんか今すごい責任を感じ始めたんだけど......!

キラナ:はははは(笑)。でも、Nao+が違うってなったら、それは違うんだろうなって思うかも。私としては、究極に、絶対にこれ! って完成してからじゃないと投げないんだけど。

Nao+:ぐうの音も出ないようにね(笑)。

キラナ:そうそう(笑)。きっとこれ好きだろうな! と思いながら投げてます。