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INTERVIEW

Jien Takahashi(VIOLET ETERNAL)×冠 徹弥(THE冠) 対談

2025.05.16UPDATE

2025年05月号掲載

Jien Takahashi(VIOLET ETERNAL)×冠 徹弥(THE冠) 対談

-ライヴをやったことで、Ivanというヴォーカリストや、このバンドの持つ可能性に改めて気付いたんですね。

Jien:Ivanの魅力はDERDIANでも当然余すところなく伝わると思うんですが、DERDIANはイタリアン・メタルやクサメタルとしてブランドが確立されてるので。先入観で敬遠しちゃう人がいるのも確かで、そんな人がフラットな状態でIvanのヴォーカルを聴いたとき、"めちゃくちゃカッコいいじゃん!"と改めて思ってもらえるってことは前回のライヴでよく分かりました。そこで究極のメロディック・メタルで、ものすごくいいヴォーカルをやってるってことを伝えようと思ったとき、今回の(対バンの)組み合わせに辿り着いたんです。

-Jienさんが求めてた"究極のメロディック・メタル"の形が見えてきたとき、今度はそれをどう広げていくか? と考え、冠さんのような存在と掛け合わせる面白さに気付いたと。

Jien:はい。自分たちよがりになってしまってはダメで、シーン全体に視野を広げたとき、自分たちだけが広がっていってもしょうがない。そこで自分たちが共感できるバンドにも広がりを持ってほしいと思ったとき、"どうせならワンマンじゃなくていいバンドといい形でライヴができたら"と考えたんです。だから、お互いのきっかけになって広がりがあってほしいと思ったのは自然の流れだったし、全員が還元してシーンを盛り上げていくっていうのが一番大事だと思うし、いつだって若い世代がシーンを牽引していく動きがなきゃダメだと感じていて。

冠:いや、これはメタル・シーンにとって嬉しい発言ですよ? やっぱり若い人にメタルを広めるパワーがないとダメなんです。俺等はヘヴィ・メタルの火を絶やさないように頑張ってやってきたけど、やっぱりどこかでボッと燃えるときがないと。それを若い力に期待したいし、いつかボワッと燃やしてやろうという気持ちは自分にもあります。

-ヘヴィ・メタルの火を絶やさないようにと活動を続けてきたTHE冠は、1stアルバム『冠祭』リリースが2005年ですから、CDデビュー20周年になります。

冠:そうですね。THE冠を名乗ってからは22年になります。今年の7月には新しいアルバム『MY NAME IS HEAVY METAL』を出しますよ! だから一緒にライヴをやる頃には新しいアルバムができてるはずです。

Jien:お~、素晴らしいです!

冠:前作『日本のヘビーメタル』がコロナ禍の2020年リリースですから、5年ぶりのアルバムになるんですけど、まさに今レコーディングの真っ最中で、もうね、らしさ全開のめちゃくちゃ楽しいアルバムになりますよ。今までやってきてないことにも挑んでますし、王道のこともやってますし、メタル好きな人は絶対楽しめるし、そうじゃない人も歌詞やメロディやサウンドを楽しめると思いますし。僕は変わらず、メタルの架け橋になれればと思ってますので、そういうアルバムになると考えています。

Jien:VIOLET ETERNALも6月にライヴ盤(『Under The Violet Tokyo』)を出すんで、お互いにリリースがあってのライヴになるんですが、サブスク主流の現在ですけどCDも出します。昨年リリースした1stアルバム『Reload The Violet』も無理してCDを出して、ヨーロッパ盤を出したんですが、それをきっかけにバンドを知ってくれた人がめちゃくちゃ多くて。そういうジャンルなのかも知れないですけど、"デジタル・リリースしかしてないバンドなんて、俺は聴かない"っていう偏屈なメタル・ファンも多いんです。

冠:そうかぁ、メタル・ファンにはいるかぁ。

Jien:いるんです。"日本盤しか出さないなんて、お前等は日本にしか存在しないバンドなんだな"って人もいますし(笑)、日本のファンの人でも"輸入盤買いました"って人もいますし、無理してでも出す価値があるんです。逆にCD盤しか出してないと、"お前等はジュラシック・メタルだな"って言う人もいるんで、そこはいいところどりで使い分けて。本来だったら自分たちの音楽を知ってくれてたはずの人に知らせないというのは、アーティストとして責任を果たしてないことになりますからね。

冠:俺も最近はサブスクで聴くことが多いけど、サブスクだとどの国でどれくらい聴かれてるかってところまで分かる喜びもあるし、CDはジャケットのアートワークからも作品のイメージが伝わるし、ライナーノーツも見てほしいし、どっちの良さもあるよな。

Jien:ブックレットのスペシャル・サンクスからバンドを知ることもありますよね。

冠:あ~、最近書いてないなぁ! 昔は友達バンドの名前をいっぱい書いてたし、人のアルバムでそれを見るのも楽しみやったけど、最近は制作に携わってくれた人しか書いてない。

Jien:大事ですよ。僕はNOCTURNAL RITESのアルバム買って、スペシャル・サンクスに書いてあるバンドなら間違いないと思って端から聴いたら、なぜかブラック・メタルばかりでした(笑)。

冠:すげぇなぁ。そんな掘り方するんや(笑)。

-Jienさんと冠さんは、どんな音楽を聴いて育ってきたとか共通するルーツとか特に影響を受けたバンドとか、ガッツリ話したことってあるんですか?

冠:ないですね。飲みに行ったことないもんな? ライヴハウスで話すくらいで、こうやってちゃんと話すのは初かも知れないですね。今いくつやったっけ?

Jien:26歳です。

冠:26歳がどういう音楽聴いて育ったか分からんもんな~。VIOLET ETERNALを聴く限りは、ヨーロッパのスピード・メタルやメロディック・メタルを聴いてきたんやろうなと思ってて。俺等はHELLOWEENとかBLIND GUARDIANとかが大好きやったけど、新しいのはそこまで聴いてないから。

Jien:ギターを弾き始めた頃はGUNS N' ROSES、Ozzy OsbourneとかKISSとか、スタンダードなところから入って。一般的な26歳って基準には絶対ならないと思います。

冠:そうやな。俺と一緒やもん(笑)。

Jien:違うのは当時YouTubeがあったので、KISSの関連動画にOzzyが出てきてGUNS(N' ROSES)が出てきてみたいな流れがあって。ただ、僕が本当に特殊な世代だなと思うのは、まだTSUTAYAが全然レンタルをやってた時代で、ブックオフも今よりいっぱいCDが置いてあって、実店舗と動画の狭間の世代なんです。CD屋さんで長髪の外国人がギターでキングギドラと戦ってるジャケットを見て、"なんだろう?"と思って聴いてみたら、1曲目「You Don't Remember, I'll Never Forget」でガツンとやられたり。

冠:出ました! Yngwie Malmsteenの『Trilogy』や。

Jien:それで『Eclipse』とか『The Seventh Sign』とか他のアルバムを聴いて、(Yngwie Malmsteenのバンド・メンバーのMike Vesceraが)"LOUDNESSのヴォーカル!? 日本のバンドで歌ってたんだ"って広がるとか、Yngwie Malmsteenのバンド・メンバーが、元HELLOWEENのRoland Grapow(Gt)のアルバムに参加してるらしいけど、どこにもないから御茶ノ水のマニアックなCD屋さんに行こうとか。

冠:探究心すごいなぁ(笑)! また今はそれをネットで調べられるからな。

Jien:そうですね。僕の2歳下くらいになると2000年生まれでCDを買ったことがないって人がいて、20世紀なのか21世紀なのかで世代差があるんですよ。

冠:俺からしたらどっちも最近やけどな(笑)。俺等は高校生のときにCDというものが誕生して、初めてDOKKENの『Back For The Attack』を買ったんやから。

Jien:僕はCINDERELLAの関連動画にDOKKENが出て、"「LOUD PARK 16」に出るらしい"って聞いて観に行きました。当時からWikipediaは充実してたんで知識はあって。"Yngwieのバンド・メンバーのJens Johansson(Key)がやめて、今STRATOVARIUSにいる"って知って、じゃあ観なきゃと思って観て、STRATOVARIUSの昔の曲がめちゃくちゃカッコいいから、TSUTAYAに行ってCDを借りて"俺のやりたい音楽はこれだ"と思ったり。

冠:......お前、メタル好っきやなぁ! 嬉しくなるわ(笑)。こんな話したら朝まで喋れるやつやろ? 最高やな!!