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INTERVIEW

VIOLET ETERNAL

2025.06.03UPDATE

2025年06月号掲載

VIOLET ETERNAL

Member:Jien Takahashi(Gt)

Interviewer:フジジュン

"究極のメロディック・メタル"を体現すべく、Jien Takahashi(MAJUSTICE)がIvan Giannini(DERDIAN/THE 7TH GUILD/ex-VISION DIVINE)と共に結成。昨年4月に1stアルバム『Reload The Violet』で衝撃デビューを果たしたVIOLET ETERNALが、昨年10月に開催した初来日公演の様子を、余すところなく収めたライヴ・アルバム『Under The Violet Tokyo』を完成させた。"ライヴ盤フェチ"と自負するJienが、作品のこだわり、バンドへの愛と情熱をとことん語る。

-VIOLET ETERNALが、初となるライヴ・アルバム『Under The Violet Tokyo』をリリース。昨年10月25日、SHIBUYA CYCLONEで行われた初来日ライヴ("Under the Violet Tokyo")を完全収録したライヴ盤ですが、まずは作品完成しての感想はいかがですか?

ライヴをやろうって時点でライヴ盤を作ろうというのは念頭に置いてたのですが、完成した作品を改めて聴くとやっぱり感慨深いものもありますし。あのライヴがバンドにとっても、ヴォーカルのIvanにとっても、他のメンバーにとっても、もちろん自分にとっても、一つの転機になったというか、ターニングポイントになった部分もあるので、その瞬間を形に残せるっていうのはすごく大きいことだと思っていて。アルバムと言いますけど、こうして形に残すことで、いつでもそのときのことを思い出せるコンテンツになったし、自分たちやファンの皆さん、あるいはこれから自分たちを知るような人たちにも残せたので。家族間の写真アルバムのように記録として思い出を残す役割のある作品を残せたかな? と思ってます。

-先日のTHE冠との対談(※2025年5月号掲載)の際も、このライヴをやって、VIOLET ETERNALを自分の核としてやっていきたいと思ったと話していましたが、最初はライヴをやる予定もなかったんですよね?

最初はライヴの話もなかったんですが、うちとは別にIvanがやってるDERDIANの来日公演が決まったという話を聞いたんです。"おめでとう"と話してたら、"俺はこのタイミングで、VIOLET ETERNALもライヴをやるべきだと思う"とIvanから提案があって、アルバムのリリース時期くらいに、あっという間に10月のライヴが決まったという流れがありまして。まだアルバムも出てない段階では私はライヴの実現は夢にも思ってなかったんですが、"Ivanがこのバンドにそこまで手応えを感じるならやろうか?"と話を進めて、結果としてやって良かったとすごく思ってます。

-アルバムの曲作りのときには、ライヴで演奏することは考えてたんですか?

そもそも"ライヴで再現できないようなことはしない"というのは常にあって。そこの垣根を超える方もいるんですが、手が5本も10本もないと叩けないドラムや弾けないフレーズは避けようと。難しいところですが、ある程度浮世離れしてないと神秘性を感じないのも分かるけど、あまりに浮世離れしてるものって聴いてて親しみが持てないし、理解してもらえないと思うんですよね。
私は好きなんですが、Allan Holdsworthとか典型的で、世界でもトップクラスの技術を持っているけど、彼は実力に見合った評価は決して得られてないですよね。Allanって、Eddie Van Halenが"大好きなギタリストだ"と言って、"俺が全部なんとかするから"ってワーナー(Warner Bros. Records/現Warner Records)からメジャー・デビューさせたのに、売れなかったという人だったりするんですが。あまりに浮世離れしたものって、大衆は理解を示してくれないし、それでも自分の信念を貫くってよっぽどメンタル強くないと無理だと思うし、そこのバランス感が大事だと思うんですよね。そこで例えば、METALLICAとかってそのバランスが完璧だと思ってて。

-技術や信念もあるし、大衆に受け入れられるポピュラリティも持ち合わせてて。

そうなんです。私は4枚目の『...And Justice For All』が好きなんですけど、浮世離れしながらもギリ理解できるみたいな狭間を行ってる感じがあって。"これ、俺にもできるかも"と思わせるラインと、"これは俺には無理だな"って思わぜる絶妙のラインを踏めるか? というのは、私も強く意識しているんです。Ivanの歌に関しても、曲作りや自分のギターや他の楽器回りのアレンジに関してもそこは意識しているので。ライヴ感というのは自ずと意識してた部分がありましたね。
そんな気持ちでレコーディングを進めている最中、Ivanから、"機会があれば日本やイタリアでライヴしたい"みたいな発言が出るようになって。彼の中でこのバンドにカチッとスイッチが入った瞬間が分かったし、そこからすごくポジティヴな感じになったし、実際ライヴをやって自分の向いてたベクトルと周囲の反応がバシッとハマったとき、"俺はこれでやるんだ"って気持ちが確信に変わったんだと思います。

-10月のライヴ以降、今作に至るまではライヴや作品制作といった公の場での活動はないですけど、Ivan以外のメンバーの意識や関係性も変わりました?

間違いなく変わりましたね。最初、「The Echoes Of Time」って楽曲と共にVIOLET ETERNALの結成を発表したときは、Ivanと私のユニットで、"メロディック・メタル・デュオ"というキーワードで押し出していこうって話だったんですが。プロジェクトや企画モノだと思われるのも違うし、だったらバンドなのかと言われると微妙なラインだったので、その辺はファジーにしていこうと決めたんです。7月に控えたライヴ("THE VIOLET 冠")に参加するメンバーには"サポートと言っても正式メンバーと言ってもいいけど、バンドの創始者は私とIvanです"と言っているんです。

-ライヴ・アルバムのメンバー・クレジットに、"VIOLET ETERNAL 2024"と記されてますが、現段階での最高のメンバーがこのラインナップですよということだと捉えました。

おっしゃる通りです。だから基本はそういうグループなんですけど、やっぱりギターのAndy(Andrea Cappellari)とライヴをやって、Andyがいない状態で何かをやるというのは考えづらいなと思いましたし、言ってみればKISSとかそうじゃないですか? KISSと言えばGene Simmons(Vo/Ba)とPaul Stanley(Vo/Gt)だけど、Tommy Thayer(Gt)とEric Singer(Dr)がメンバーじゃないか? というとファジーで。そのへんすごくこだわる人もいるし、触れちゃいけないみたいなところもあるんですけど(笑)。結果としてそこが気にならないくらいいい音楽をやってたらいいじゃんと思うし、そこが気にならないくらいいい音楽をやろうと考えて、あのライヴでそこの峠は超えられたなっていうのがあったから、7月のライヴも"ぜひ参加してください"と声を掛けて、みんなにも快諾いただいて。

-そこは参加してくれたメンバーも10月のライヴで手応えややりがいを感じたからこそ、生まれた信頼関係ですし、メンバーもその先にある活動に期待してただろうし。

変な話、期待されたくてもされないバンドっていっぱいいると思うんです。売れる/売れないだけじゃなくて、たとえライヴにお客さんが5人しか来なかったとしても、その5人がライヴをめちゃくちゃ楽しみにしてて、すごい熱を持って応援してくれてるのであれば、それは期待されてるということで。その領域にまで辿り着けなくて悩んでるバンドっていっぱいいるじゃないですか? それはバンドに原因があるのか状況に原因があるのか、理由は分からないですけど。
VIOLET ETERNALは期待してくれてる人がたくさんいて、ビジネス的にも成り立っててメンバーの士気も非常に高くて、これだけ状況が噛み合っているのに、"アルバム出してライヴやってこれで終わりです"って判断をする人ってたぶんいないし。メンバーも"じゃあ次はどうしようか?"、"まずはライヴ盤をリリースして、それを絡めたライヴをやろう"って自然と決まっていきましたね。

-それを達成したら、また次の活動も自然と見えてくるでしょうし。

そうですね。情報解禁しちゃいますけど、もう2枚目のアルバムを作ってます。

-えぇっ! そうなんですか!?

明後日(※取材は5月上旬)からドラム録りが始まるんですが、すでに2枚目を作ってます。今日もここに来る前にドラム録りをする曲のアレンジを詰めてきたところです。前作は最初、アメリカ在住の有名なドラマーに生ドラムのレコーディングをお願いしたら、スケジュールの都合でNGが出てしまって。彼が叩いたデータを送ってもらって、こちらでエディットして使うという、生ドラムと打ち込みの狭間みたいな特殊な録り方をしたんですが。結果としてそれで良かったなと思うのが、1stアルバムを出してライヴ盤を出して、ライヴ盤でアルバムに入ってる曲をRyuyaの生ドラムでやり直せたから、バリエーションができて、ある種ライヴ盤こそが『Reload the Violet』の完全版と言える作品になったんです。

-なるほど、ライヴ盤で1stアルバムを一つ完結できたんですね。

そう。で、次のアルバムはYAMATO(Neu:NOIZ)さんの生ドラムで全部やるって決めてるので、前作よりもバンド然としたものを作ります。先日Neu:NOIZのライヴに遊びに行ったとき、YAMATOさんのスネア・ドラムの音がすごく変わってて。ライヴ終わりに話したら、"Jien君と一緒にやっていくなかで、こういうメタリックなスネアの音が絶対必要だと思って買った"と。"この音をJien 君が気に入ってくれたということは間違いないから、次のレコーディングもこのスネアを使おう"って話して。それを聞いたとき、"このメンバーをキープできるように真剣にやっていかなきゃダメだな"と改めて思ったし。このメンバーを維持していくためにもライヴ盤を出して7月のライヴを成功させて、最高の2ndアルバムを作ろうというところで気持ちが高まっているのが今の状態です。

-すごく高いモチベーションを持って、VIOLET ETERNALの活動に臨めているんですね。

はい。"7月のライヴでは絶対新曲をやりましょう"って話はしていて。我々はまだアルバム1枚しか出してないですから、2日間どうやって内容を変えるか? と考えたとき、新曲をやるとか、前回やりきれなかったことをやろうって話になりますし。ライヴに来る方は、今回のライヴ盤もしっかり聴き込んで来られる方が多いと思うので、"ライヴ盤のここが良かったよね"みたいなところはしっかり押さえつつ、そこを超えるところも見せたいし。このバンドが永続的に続くものだってことを、こちらから提示していかなきゃダメだと思うので、新曲は披露しようと考えています。