INTERVIEW
Lonesome_Blue
2025.03.25UPDATE
2025年04月号掲載
Member:野村 麻衣子(Vo) 広瀬 ゆうき(Ba/Vo) MIZUKI(Dr)
Interviewer:宮﨑 大樹
3人体制で新たに始動した"ロンブル"ことLonesome_Blueが、現体制初のフィジカル作品『The Three in One』を完成させた。本作はこれまでのロンブルらしさを大切にしつつ、メンバー3人の意志、想いを盛り込んだ意欲作に仕上がっている。"Queenism(=女王主義)"を掲げるバンドに、全曲余すところなく話を訊いた。
-3人体制になることが発表されてから1年半程経過しましたね。
MIZUKI:3人体制になって自分たちで決めることが多くなったんです。役割分担がしっかりできてきたし、まとまりもいいし、やりたいことが前よりは出せているから今はとても楽しくできているなと思います。
-それは楽曲の制作においても同様ですか?
MIZUKI:そうですね。今回の作品もそうですけど、"お客さんともっと盛り上がりたいからクラップ、振付、掛け声とかが入った曲を多めにしたい"みたいな。そういう意見を反映させてもらっています。
-これまでの作品はオーセンティックなメタルのイメージが強かったんですけど、今回はメタル要素がありつつも、ガールズ・バンドがやっている等身大の音楽という印象だったので、それを聞いて納得です。今作は約2年半ぶり、3人体制では初のフィジカル作品になりますけど、完成を迎えての率直な心境はいかがですか?
野村:一言で言うならば"やっとできた!"。今までのLonesome_Blueが出してきた曲やライヴを踏まえつつ、自分たちが意見を出しながら制作した初めての作品なので、純粋に嬉しいし、今まで以上に愛着があるように感じます。
MIZUKI:CDでリリースするのは前作の『Second To None』(2022年12月リリースの1stフル・アルバム)からだいぶ期間が空いたんですよね。『Second To None』には大好きな曲が入っているんですけど、そのときはあまり私たちが意見を出せる環境ではなかったんです。でも今回は意見を反映させた上でCDができたし、今回は自分が作曲した曲(「Final Calling」)も入れられたので、とても嬉しい気持ちです。
広瀬:本当に口出してめっちゃ良かった(笑)。MIZUKIちゃんが作曲してくれた曲以外でも、私たちから"こういう歌詞にしたいです"と提案して作詞家さんと練らせていただいたり、収録する曲の順番とか、"こんな系統の曲を入れたい"とか言ったりしてかなり試行錯誤をして作った作品なんです。それを去年の夏より前からずっと進めていたので、やっと出せて嬉しいですね。
-作品を通して聴いてみると、"自分たちはこうありたい"という内省的な曲と、"ライヴでみんなとこう盛り上がりたい"という想いを感じさせる曲が中心になっているので、これまでの作品とはだいぶ毛色が変わったというか、なかなかの新鮮さがありました。
MIZUKI:『Second To None』がすごく良かったので、そこから離れたくもないし、でも進化もしたい。そういう具合を「Elemental」という曲で保ちつつ、バリエーションとジャンルを広げた感じの作品になったんじゃないかなと。
広瀬:1曲目の「Queenism」という曲には、3人になったときに最初に打ち出した自分たちのイメージが詰まっているんです。"女王主義"という意味なんですけど、そういう孤高な感じで打ち出していったんですね。孤高な人って言っても、お高く止まってずっと上から降りて来ないわけではなくて、たまには降りてくるみたいな、そういう作品になっているのかなと思います。だから"一緒に手を繋いで歩いていこう"ではなく、"こうしてあげるから来いよ"、"私たちはこうするけど、みんなはどうする?"っていうイメージの曲が多い感じはしていますね。
-ちなみに、3人体制で"女王主義"を打ち出していった背景とは?
広瀬:打ち合わせのときに私が何か言ったのをスタッフさんが聞いて、"「Queenism」だと思った"と言っていた気がします。
-皆さんは"女王主義"とか"孤高"なイメージがしっくり来ている?
広瀬:意志の強さ、芯の強さみたいなところが私たちの"Queenism"だと思っているんですけど、2人はどう?
MIZUKI:自分自身はそういうタイプではないんですけど、強いという意味では共感もできたし、バンドの顔である麻衣ちゃん(野村)に合っているなと思います。
野村:そうですね。メンタリティというか、"自分でやるのでほっといてください"みたいな気持ちはベースとしてあって、根底には"Queenism"があるんだと思います。
広瀬:歌詞に"It' s just do or die"、日本語で言うと"やるか死ぬか"というところがあって。これは私が言ったことを麻衣ちゃんが提案して歌詞に盛り込んでくれたし、"We' re unbeatable"はMIZUKIちゃんが過去に言っていた"最強になりたい"という言葉から来ているとか、ロンブルなりの"Queenism"を麻衣ちゃんが提案して歌詞になったんです。
野村:2人が言っていた印象的な言葉を拾いました。ゆうきちゃんは"やるか死ぬか"みたいなことをよく言うんですけど、それってすごい考え方だなと思うんですよ。それが"広瀬ゆうき"という人間を表している言葉のような気がしていて。MIZUKIちゃんも"最強になりたい"ってよく言うんですけど、今までそんな人を見たことがないんですよ。衝撃だったんです。なので、それぞれの言葉を歌詞に入れてもらいました。
-本当に皆さんの意見が反映されるチームになったんですね。以前よりもずっと自分たちのバンドになっているんじゃないですか?
野村:そうですね、ありがたいことに。
広瀬:あと、「Queenism」では"Are you ready to kiss on my toes ?"って歌っているんですけど、私個人としてはむしろ触れてほしくなくて(笑)。それで生まれたのが「Touch Me Not」なんですよ。
-たしかに「Touch Me Not」のほうがより皆さんのパーソナリティに近いのかもしれませんね。この曲はDjentっぽいパートがあって演奏が――
MIZUKI:大変なんです(笑)。ラップっぽいところもあるので難しかったですね。でも、バチっと決められたらカッコいいので頑張りどころ。ライヴが楽しみです。
野村:「Touch Me Not」には口ずさむようなフレーズがあるんですけど、それがこの作品のレコーディングで一番時間がかかったところだと思います。言葉の置き方の気持ちいいところを見つけるのが難しくて。
-リード曲は「Go Nuts」ですよね。最初にデモが上がってきたときの印象はどうでしたか?
MIZUKI:めちゃくちゃキャッチーでいいなと思いました。楽器隊がハードなことをやりつつメロディはキャッチーなので、これはすごく盛り上がるんじゃないかって。
野村:キャッチーだけど楽器の皆さんに負担を強いている曲は、『Second To None』の頃からあって。そういう曲は絶対にやりたいって話で進んでいたので、まさにという曲で形になりました。振付まで入れちゃって。
-あぁ、ミュージック・ビデオでも皆さんが踊っていますよね。
広瀬:振付はMIZUKIちゃんが提案してくれました。
MIZUKI:お客さんともっと一緒に楽しみたいなと考えたときに、ちょっとした振付があったらもっと楽しくなるんじゃないかなと思って。一体感が欲しいなと感じたんです。ライヴで披露したときはお客さんも一緒に踊ってくれました。
野村:楽しかったですね。同じ動きをすると、人の気持ちを近づけるんだなと感じました。
-「Live It Up」もライヴ映えしそうな曲ですよね。聴いていて自然と身体が動きました。
MIZUKI:これはまだライヴでやっていないんですけど、ライヴでどうしたらいいだろうかとは考えています。何か一緒にできる感じかなと思っているので、ステップとかいいんじゃないかなって。
野村:レコーディングのときに歌っていて楽しいなと思ったのはこの曲ですね。アゲアゲ、テンション高めで録りました。
-「Final Calling」という曲ではMIZUKIさんが作曲を手掛けていますね。
野村:これはMIZUKIちゃんのキャラソンのようなものだと思っていて(笑)。Lonesome_Blueの活動を通してMIZUKIちゃんのことを知ってきたなかで、MIZUKIちゃんには"とてつもなく努力家で、気概がすごく強い人"という人物像ができていたんです。この曲では、そんな今日のMIZUKIちゃんに至るまでの経過を感じました。
-ロンブル以前からの自分を書いているんですか?
MIZUKI:そうですね。楽器を始めて、仕事を始めて、みたいなときに思ったこととかを書いています。作曲はずっとやりたいと思っていたんです。作詞はできないけど、せっかくだから、作家さんに相談して想いを全部入れてもらったらいいんじゃないかと思ったので、歌詞に自分の想いを入れてもらいました。仕事を始めたときはまだまだ若かったので、怒られたり、"全然叩けてない"と言われたり、結構ボコボコにされてきたんですよ(笑)。自分でも実力が足りないのは分かっているけど、"こうなりたい"ってイメージになかなか辿り着けなくて、もがき苦しんでいた時期があって。そのときの想いを全部詰め込んだ感じですね。大人に言われた嫌だったこととか(笑)、悔しい想い、それでも毎日ずっと練習を続けていたときのこととか、そういうのを吐き出したいなと思って。