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INTERVIEW

ADAM at

2025.01.29UPDATE

2025年02月号掲載

ADAM at

Interviewer:石角 友香

ライヴを始めた13年前は、こんな方々と一緒にできるとは思ってなかった


-ところで、今回再録されている楽曲は、いわゆるジャズが好きな人も好きそうな演奏だなと思ったんです。

どうなんですかね(笑)? 本当に"なんちゃって"をずっと繰り返してきた10年なんで。

-プレイヤー人口は増えてると思うんです。

もし若い方が、僕のものを選択肢の1つに入れてくださっていたら嬉しいなと思いますね。でもジャズ方面への目配せの意識は全然ないです。こっち来ないほうがいいぞって(笑)、ちゃんとしてるバンドを見てそっちをやりなさいと思います。

-そんなことないですよ(笑)。

いやもう本当に、インスト・バンド/ジャズ・バンド界隈で唯一セキュリティが欲しいバンドになってるので。

-ファンの間で共通認識があればそんなに危険じゃないのかもしれないですね。

最近はもう分けてます。上手/下手で分けて、暴れたいやつは上手に、自分の頭の上に人が通ってほしくない人は下手に来いって。ダイブが嫌な人を貴族って呼んでて、ダイブを楽しんでるやつはもうそういう生き物だから"お前等は部族だ"みたいな感じで分けてるんで(笑)、その結果けが人が出てないというのはありますね。

-貴族と部族(笑)。

言い方がどうか分かんないですけど、でも同じ家族じゃないかって。"アダムス・ファミリー"みたいなこと言ってます(笑)。

-(笑)INST盤のラインナップは玉田さんの予想と違ったかもしれないですが、ADAM atの入門編としては非常にいいバリエーションで。

そうですね。今、インスト・バンドが1つもいない対バン・ツアー("ADAM at Live Tour 2024 - 2025 「アダムの創造」")をやってて、そのバンドのお客さんなんかが入りやすいラインナップだと思います。

-そしてVOCAL盤のほうは、他では聴けないカラーの曲が10曲収録されています。

ライヴを始めた13年前は、こんな方々と一緒にできるとはまず思ってなかったですし、KYONOさんやFRONTIER BACKYARD、SKINDREDとかFEEDERなんかもってのほかですし。ただ続けてきたのと、お会いできてない方もいますけど、一緒にライヴハウスで音を鳴らして一緒にお酒飲んで"今度やりましょうよ"って言ってきたのと、"興味がないジャンルだから対バンは観ない"を一切してこなかった結果やれてるのかなと思ってますね。

-「Silent World feat. KYONO, Ryu (Ryu Matsuyama)」のような、KYONOさんとRyu(Ryu Matsuyama/Pf/Vo)さんという異なる個性のヴォーカルの曲って他にないですもんね。

どちらが欠けてもダメだったというか、画竜点睛を欠くじゃないですけども、お2人が入ってようやく完成したような感じですよね。もともとは歌を入れようと思ってなかったので、最初にできた曲はただのインストだったんです。でもこれは歌が入ったらいいな、これは誰が適役なんだろうっていうふうに考えたときに、KYONOさんがこういう曲で思いっきり歌ってくれたらこれ程光栄なことはないと思いつつも、この部分はKYONOさんの声じゃないんだよな、Ryu君のあのきれいなファルセットが入ったら、とか考えて。自分が知ってる中で一番合った方にお願いしたら、それがKYONOさんとRyu君で、いい曲になりました。

-声も楽器的に捉えて?

まさにその発想ですね。僕は歌詞が書けるわけでも歌えるわけでもないんで、曲を作ってみて、今おっしゃったように声という楽器が欲しくなったんだと思います。

-VOCAL盤には"声という楽器"タイプじゃない曲もいっぱいあって、それも面白いですよね。

ちゃんとゴリゴリ歌ってもらってる曲もありますしね。SECRET 7 LINEに関しては演奏もシャウトもしてもらってて、それも面白いなと思ってます。

-逆に言うと、"このバンドにピアノが入るんだ"っていう面白さもあります。

そうですね。メロコア、パンク、メロディック界隈はピアノとは無縁かもしれないですけど、個人的には音圧も出るし(笑)、これからどんどんそっち側に行きたいと考えてます。でも、皆さんがそういった機会をくださっているんだと思ってますね。

-ミュージシャンもいろんな方が参加していて。この接点の多さはライヴ・バンドならではって感じですね。

そうですね、ライヴハウスで知り合った方々なので。「六三四」では、この(資料に記載されている)クレジットのグレートマエカワ(フラワーカンパニーズ/Ba)さんから井上和也(SKA PUNK ZOMBIES/下北沢RéG)さんまでに"打ち取れ!"っていう掛け声を言ってもらってるんですよ。皆さん、野球好きバンドマンでございまして。マエカワさんは中日(ドラゴンズ)ファンだったり、HUSKING BEEの磯部(正文/Gt/Vo)さんは広島(東洋カープ)ファン、モリスマン(モリス/四星球/Dr)はソフトバンク(福岡ソフトバンクホークス)ファンであったりとか。

-こういうところがADAM atの音楽性ならではですね。

これだけいろんなバンドさんと対バンさせていただいてるんだなっていう、このクレジットだけでも今までの軌跡なのかなとか思ったりしますね(笑)。

-本当にいろんな方とコラボをしてらっしゃるんですが、「シャイン☆センゲン feat. きのホ。」ではついにアイドルが登場して。きのホ。さんとのコラボの経緯はどんなものだったんですか?

「シャイン☆センゲン」は、静岡のユピテルプラスっていう会社に葵わさびさんというご当地VTuberがいらっしゃって、この方の曲を僕が書かせてもらったんです。すごく光栄なことだったんですけど、自分的にも非常にいい曲ができたので、ベスト盤に入れたいなと思って。そのときに、ユピテル(プラス)さんも宣伝できるように、ライヴをたくさんやってるアイドルだったらいいなと。曲的にも絶対アイドルの曲なので。それで、きのホ。さんはバンドマン的な動きをされてるアイドルだったので、めちゃめちゃいいなと思ってオファーをした次第でございます。ライヴにも来てくださったりして。

-この楽曲も働く人の歌になってますね。

そうなんですよ。この曲の歌詞自体は葵わさびさんの作詞で、ユピテルプラスの社員の方でもあるので、ADAM atの「定時で帰ろう feat. TOTALFAT」みたいな曲、歌詞をオマージュしてくださったんです。ADAM atと言えば猫だよねとか、そういったものも入れてくださって。

-王道のアイドル・ソング的な構成は書いていて楽しいですか?

そうですね。もともとはインスト曲で作ったものに、何か足りないなと思って歌を足すことがほとんどだったんですけど、歌モノを作ろうっていうのは今回ほぼ初だったし、僕はほとんど歌わないので、歌う人の気持ちをあんまり考えられてないところもあったんですよ。でも楽しかったです。アイドルの曲を作るのってスパイス・カレーにちょっと似てるというか、足して足して足してすごい豪華になればなる程輝くので、めちゃめちゃ楽しかったですね、アレンジも含めて。主役は歌ってるアイドルの方なので、見え隠れしない部分で自分の個性を出したり、ここに気付くかなとちょっとギミックを入れてみたりして、それはやっぱ楽しいですね。

-この曲が入ってることで俄然幅が広がりましたね。

"お仕事お待ちしてます"って書いてください。ははは!

-ベスト・アルバムとしてまとめてみて、改めて自分の音楽の特徴に気付かれたことってありますか?

我ながらたくさん曲を作ってこれたなっていうのがまずあります。さっきも言ったんですけど、自分が好きな曲が入ってなかったっていうのも半分嬉しいですよ。"なんだよお前等"とか言いながら、そういうことを言えるのも楽しいですし。あとは書いたところで出せなきゃ意味がない、これまでリリースできたからここにあるわけで。聴いてくれる皆様、CDを買ってくれる皆様、音源を聴いてくれる皆様がいたから次が決まってきたんです。そう思うと僕の曲はどうであろうと、みんなと一緒に歩んできたわけですし、その歩んできた方々が"ADAM atに勇気付けられました"みたいなことを言ってくださってるのもやっぱり嬉しいんですけど、とにかく出せたことに対してもう感無量ですよ。

-ライヴも随時増えているようなので、SNS等をチェックしていただくといいかもしれないですね。

日本全国、津々浦々行脚しますので、ぜひライヴハウスでお会いできたら嬉しいなと思ってます。