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INTERVIEW

MAD JAMIE

2024.10.31UPDATE

MAD JAMIE

Member:感情線 あくび

Interviewer:山口 哲生

10月7日、Zepp Shinjuku (TOKYO)にてワンマン・ライヴ"All you need is Fxxk!"を開催したMAD JAMIE。昨年12月に行った渋谷CLUB QUATTROでの単独公演でZepp公演実施を発表して以降、同ワンマンへ向けた一連の活動を"Fxxkin' Project"と題し27日連続ライヴ、2デイズ・サーキット・イベント、初のヨーロッパ・ツアー、ミュージック・ビデオの連続公開と様々に行ってきた。今回のインタビューでは、Jamie(※ファンの呼称)と共に駆け抜けた怒濤の10ヶ月と、かねてより1つの目標として掲げていたZeppのステージにどんな思いで立ったのか、感情線あくびにじっくりと振り返ってもらった。

-Zepp Shinjuku (TOKYO)で開催されたワンマン・ライヴ"All you need is Fxxk!"から約1週間が経ちましたが(※取材は10月中旬)、少し冷静に振り返られるようになってきた頃でしょうか。

たしかにそうかも。ライヴが終わった直後は、最高だったっていう気持ちと、すぐに反省したい気持ちが生まれるタイプで。それはどんなライヴもそうなんですけど。Zeppのときもいつも通り"やりきった!"という気持ちと、"もっと頑張らなきゃ......"って気持ちが直後からずっとあった。でも、ライヴ終わりは冷静じゃないから(笑)、とりあえず今日は良かったことをたくさん噛み締めたほうがいいなと思って。

-いつも通り、終わった後にすごくポジティヴな気持ちで反省点が出てきたと。

そうですね。もともとあくびは表現をすることがすごく好きだし、それが楽しいなって思っていて。Zeppへ向けて駆け抜けていくなかで、もっとそれができるようになりたいと思ったし、大きな舞台だろうと、どこでもありのままをたくさん出せるようになりたいなって。

-その気持ちはいつもよりもさらに大きそうな。

うん。気持ちの総量みたいなものはやっぱり大きくて。それを抱きかかえるのに大変だった。

-今日はまず、Zepp 公演に向けて行ってきた"Fxxkin' Project"について振り返っていこうと思います。第1弾として行われたのが、1月26日から2月21日までの27日連続ライヴ"The 27 Dayz"。前回のインタビュー(※2024年2月号掲載)で、この企画は"27クラブ"に掛けて、自分は"死なないロック・スターになるんだっていう覚悟と決意も込めて"開催するというお話もされていましたが、実際に27日間連続で人前に立って歌ってみていかがでした? 今、説明している途中でくすくす笑われていましたけど(笑)。

ははははは(笑)。

-改めてとんでもない企画ですよね(笑)。

たしかに(笑)。ものすごく未知だったし、走っている最中もどうなっちゃうんだろうって思いながらやっていて。でも、途中でバグってきたというか。感覚を説明するのが難しいんですけど、ずっと5日目が続いてるみたいな感じだった。

-へぇー! 5日目が。

初日、2日目、3日目ぐらいは全然よくあることではある。4日目も全然いけるな。5日目、"あ、大丈夫大丈夫。いけるいける"みたいな。この5日目の感覚(笑)。いろいろなものを感じながら、でも毎日やってるから同じものを届けたくない気持ちもあるし、明日はどうしようかなってことも考えながら、だけど感覚はずっと5日目。エンドレスファイブ。

-"エンドレスエイト"ならぬ。

そうそう(笑)。MCで言うんですよ。"今連続ライヴ中で、今日は20日目です!"とか。でも、そう言ってはいるんだけど、自分の感覚ではそんなにやってきたって感じがほとんどなかった。もちろん大変な面もあったんだけど、それを一緒に味わってくれるJamieもいて、一緒に走り抜けて楽しかった。本当にやって良かったですね。やらなかったらこの感覚は絶対に味わえなかったと思う。

-体調や喉は大丈夫だったんですか?

前半は本当に調子が良くて。でも、こういうのって1回壊したら直すのが大変だなと思ってたので、後半は騙し騙し、気合と根性で(笑)。とにかく気を抜かないことが一番大事だろうと思って。

-たしかにちょっと気を抜くと一気に崩れていきそうな。

そうそう。それが怖かったから。本当に"気合だけは入ってるな、自分"って実感しました。今までは主催とか、仲のいい人とやることが多かったんですけど、新しい場所に飛び込んでいくこともこの期間は多くて。そこに呼んでくれた方もそうだし、そこにいるファンの人もそうだし、こういう機会だから出会えた人も結構いました。"狂った企画やってて明日もやってるならちょっと行今ってみようかな"みたいな(笑)。やっぱり27日間ずっとやってるから来やすかったのもあったみたいで、それで仲良くなれた人もいましたね。

-そんな出会いもありつつ、第2弾は3周年を記念した2デイズ・サーキット"TOKYO FUCK CITY"。4月29日は新宿club SCIENCEとShinjuku HEIST、4月30日は渋谷CLUB QUATTROと渋谷チェルシーホテルで開催されました。MAD JAMIEは両日トップ・バッターとトリを務めるタイムテーブルになっていましたが、こちらはいかがでしたか?

MAD JAMIEの3周年という日をこんなにも温かくお祝いしてくれるんだって、初日のトッパーで出たときにすごく感じてびっくりしたというか。おかしな話なんですけど(笑)。

-なぜまた驚いたんです?

あくびにとってMAD JAMIEはすごく大切で、大切だからそれを日々たくさんの人に伝えてる。それが一人一人に伝わって、その人にとっても大切なものにしてくれているんだなっていうのがすごく分かって。一緒に3周年を迎えられたということが、こんなにも嬉しいことなんだなって改めて感じました。

-たしかに、これだけものすごい勢いで走り続けているとなかなか立ち止まることもないでしょうし、そういう状況で"3周年おめでとう!"と言われると改めて感じるものも大きそうですね。

そう。来てくれてる人がみんなすごく嬉しそうにしていて。2周年のときは活動休止していたから、お祝いみたいなのももちろんなかったし、改めてみんなで生まれたことをお祝いできるってすごく嬉しいなって実感したのが一番大きかったです。

-2周年のときは活動休止をしていて、そこから活動再開しての1年間、凄まじい濃度でしたね。

ほんとに(笑)。こういう機会だから振り返れましたね。いろいろあったなって。あの日来てくれていたみんなの中にある"いろいろ"もそれぞれ違うと思うんですけど、それが新宿と渋谷に集まっていてすごく楽しかった。

-その喜びの直後、第3弾として発表されたのが初のヨーロッパ・ツアー("MAD JAMIE Europa Tour 2024")でした。5月にノルウェー、スウェーデン、イタリアの3ヶ国を回ってきたわけですが、海外ツアーはいかがでしたか?

去年スウェーデンでライヴさせてもらった("NärCon Sommar 2023")のが自分の人生史上初めての海外だったので、その次の年に1ヶ月も日本を出て飛び出ることがあるんだ! って思った(笑)。一番心配だったのは、英語を全くしゃべれないと言っても過言ではないから、自分が普段のライヴで大切にしてる"気持ちを届ける"ことを、言葉の通じない場所で果たしてできるのかっていう。そこにドキドキしてたけど、やるしかない! 体当たりするしかない! と思って。とにかく日本語のゴリ押しと、自分のボキャブラリーにある"Fxxk"だけで勝負したんですけど(笑)。

-ははははは! 唯一の言葉が"Fxxk"(笑)。

そう。"Fxxk"のみをポケットに入れて、何か困ったら"Kawaii は Fxxk!!"って言うのみ(笑)。でも、それでも伝わるものってあるんだなぁって思った。ライヴをやっていて、心が通じてるなって思う瞬間が本当にたくさんあって。すごく嬉しかった。

-でも、"Kawaii は Fxxk!!"って言ったら向こうの人たちってどんな顔するんです?

大多数は"Yeah!"みたいな感じ。時々照れ笑いしながら、(※恥ずかしそうに中指を立てる動きをする)こうやってる人もいて。"くくくく、Fxxkって言ってるよ......"みたいな(笑)。楽しんでもらえてましたね。

-Xを拝見したんですが、スウェーデンで入場待ちのお客さんがずらっと並んでいる会場(Polhemskolanで開催した"Kodachikon")もありましたよね。それこそ去年行ったことがあっても、それだけの人が来てくれたんですか?

ツアーを組んでくれてる人たちのサポートももちろんあって。日本のカルチャーが好きな方たちが集まるイベントだったんですけど、建物内の至るところにポスターが貼ってあって、それで気になって来てくれた人もたぶんいるんです。あと、前日にトーク・ショーをさせてもらいまして......日本でもまともにやったことないのに......(苦笑)。

-しかもボキャブラリーは"Fxxk"のみなのに。

はははは(笑)。もちろん通訳の方がいてくださったんですけど、そこにも人が結構集まってくれて。そこで少しパーソナルなことをしゃべって、その影響もあったのか、満員って言っていいぐらい人が入って、盛り上がっていただけました。

-現地でツアーを組んでくださった方々も、去年のライヴが良かったからそれだけ動いてくださったんでしょうね。

きっとそうですね。信じてくれているというか。それは本当にすごく感じた。

-旅先でカルチャー・ショックを受けたりもしました?

ツアーではライヴをして、特典会みたいなものもしていたんですけど、物販って順番待ちの列を作るじゃないですか。ノルウェーでもスウェーデンでも同じようにやったし、それが当たり前にできて。イタリアでも同じようにやろうとしたんですけど、日本語をちょっとしゃべれる現地の方がいて、その人が仕切ってくれてたんです。その人に"ここで物販をやって、こういうふうに列を作りたい"と言ったら、"あっ、イタリア人は列作れない"って言われて、そっかって。

-"そっか"って(笑)。

いや、もう受け入れるしかないから(笑)。

-じゃあもう整列する感じじゃなく、人が殺到して?

そう! それも日本のカルチャー・フェスみたいな感じだったんですけど、屋台みたいなブースが結構あったから、本当にそうなのか観察してたんです。そしたらやっぱり人だかりができていて。で、なんとなく"次、お前やろ?"みたいな感じで成り立ってるんですよ。譲り合いの精神みたいなものはちゃんとあって。空気でお互い譲り合うんだけど、列になって待つことはできない(笑)。

-なるほどなぁ。並ばなくてもその精神があるから成立しているというのは、それはそれで素敵ですね。

そうそう! 日本だと考えられないですよね。そういったカルチャーを現地で感じられてすごく面白かった。

-「baby star」のMVをヨーロッパ・ツアーの合間に撮影されていましたけど、あの映像もすごく素敵でした。これまではハードでパワフルなイメージの映像が多かったですが、柔らかい雰囲気があって。

ありがとうございます。