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INTERVIEW

FEVER 333

2024.10.03UPDATE

2024年10月号掲載

FEVER 333

Member:Jason Aalon Butler(Vo)

Interviewer:菅谷 透 Translator:安江 幸子

Mike ShinodaとLINKIN PARKがいなかったら、FEVERは生まれなかったかもしれない


-「$wing」ではソングライターのクレジットにMike StringerとJosh Gilbertの名前がありましたが、SPIRITBOXのメンバーのMike Stringer(Gt)とJosh Gilbert(Ba)ですよね? 少し意外なコラボだったのですが、彼等が参加した経緯や役割について教えていただけますか?

そう、SPIRITBOXの2人だよ。当時俺はROC NATIONにマネージメントされていて、彼等も同じマネージメントだったから、マネージメントを通じて繋がったんだ。同じ部屋に集まって、気が合って、気が付いたら曲を書き始めていた(笑)。

-ちなみに歌詞の中に"Swing batter batter(バッターよスイングしろ)"と出てきますが、皆さんの中に野球ファンがいるのでしょうか?

(笑)俺は子供の頃、いろんなスポーツをやっていたんだ。もちろん野球もね。だから何かに賭けて打って出る、みたいなことを表現するのにああいう表現を使ったんだ。

-「Tourist」、「Nosebleeds」ではMike Shinodaの名前がクレジットされていますが、あのLINKIN PARKのMike(Vo)ですよね? 2020年にFEVER 333で「In The End」をカバーしていますが、その際に交流が生まれたのでしょうか。

実は彼の方から、俺の当時のマネージメントにアプローチがあったんだ。俺としては信じるまでに時間がかかったよ! みんなもそうだけど俺も大ファンだからね。もっと言えば、彼と彼のバンドがいなかったら、FEVERは生まれなかったかもしれない。LINKIN PARKがいなかったら俺たちもいないんだ。彼との仕事は極めてスムーズだったよ。なぜあのバンドがあんなに成功したのか、なぜ彼がクロスオーバー・ミュージシャンの中でも最高の部類に入るこの世代のプロデューサーでソングライターだと言われているのか、全てが改めて腑に落ちたね。彼は素晴らしいし、クリエイティヴな頭もものすごく冴えているし、聡明なんだ。ヒップホップ、ラップ、ファンクの俺の考えを正確に理解してくれて、なおかつロック的な面も理解してくれる彼みたいな人と仕事をすることができたのは、本当に恵まれたことだったね。

-「In The End」をカバーしたときは、このコラボが起こることになるとは思っていなかったということでしょうか。

そうなんだよ。クレイジーだろう? Mikeはそれを聴いて連絡をくれたんじゃないかな? いろんな作業を一緒にすることができて心から感謝している。しかもLINKIN PARKが復活することになったから、彼は今後そっちに深く携わることになるだろうし、その前にこういうチャンスを貰えて本当に良かったよ。

-彼が関わっても、彼があなたをLINKIN PARKライクな音にしなかったところも良かったですね。FEVERの音をリスペクトして、そこにプラスしただけといいますか。

その通りだよ! 実際、彼はそういうことを強く意識していたんだ。だからクリエイターとしてとても尊敬しているよ。俺たちらしさを維持することを意図してくれたからね。

-「Desert Rap」はUKロックを思わせるようなハイテンションの楽曲です。この曲についても伺えますか?

あの曲もまた、独りでに生まれた感じの曲だったな。俺が友達何人かと、文字通り砂漠(=Desert)にいて、その状態から何が生まれるか試していたときにできた曲なんだ。

-砂漠ですか!?

あぁ。そこで作ったら、少なくともサウンドがどんな感じになるか聴いてみたかったというのがあってね。そのセッションで最初に生まれたサウンドをもとに作った曲だよ。それに砂漠というのはスピリチュアル的に元気が出る場所だしね。変化を起こそうとしている自分を内観して作った曲ではあるけど、それが他の人のスピリットや魂にどう作用するかを見てみたかった。変化を起こそうとしたり、それを理解しようとしたりしたときに、自己共感や自己認識をもってアプローチしたらどうなるかもね。そういうことはそもそもプロセスとして難しいだけじゃなくて、魂にとっても難しいことなんだ。

-砂漠のような隔離された環境に身を置くことによって、プロセスに集中できて生まれた曲なんですね。ちなみにどこの砂漠だったんでしょうか?

カリフォルニアのジョシュア・ツリー国立公園というところだよ。

-ジョシュア・ツリー国立公園ですか! その近くにスタジオか何かがあるんでしょうか。

近くに家を借りて、そこに自分たちの機材を持ち込んだんだ。

-日本では"パワー・スポット"という言葉があるんですが、砂漠もいろいろと創作意欲やパワーが湧きそうですね。この曲もハイ・エナジーですし。

そう、まさにパワー・スポットという感じだったよ! おかげでああいう曲ができたんだ。

-「Mob Music Pt 2」は、今作にも参加しているStu Brooksのソロ・アルバム『40Hz』に収録され、あなたがヴォーカルとしてフィーチャーされている楽曲「Mob Music」の続編のような感じなのでしょうか。

その通りだよ! あれは俺側からのアプローチみたいな感じなんだ。ずっと前にマイ・ボーイのStuと、Joshua Randy Freedmanと書いた曲でね。Stuがリリースしたんだけど、個人的にすごく惚れ込んだ曲だったんだ。頭の中でニュー・バージョンが聞こえてきて、もっとロック寄りになっていた。Stuに相談したら応援してくれたから、最初のバージョンで俺がラップした内容に別の解釈の曲を付けてFEVER用にして、ラップとロックの循環を継承していこうとしたんだ。あれは1人の人間の創意工夫について、"こうあるべきだ"みたいな考えを打破したい思いで作ったものだけど、もっと大きい枠で考えれば、人間はこうあるべきだというのを打破したいんだよね。俺たちがこうあるべきだと言われた、キャリアとか心の持ちようとか。そういう先入観的なものを打破することはとても大事だと思っているから、そんな意図もあってあのエネルギーが生まれたんだ。

-日本盤にはボーナス・トラックがありますが、この曲はアルバム本編の最後の曲ですよね。内容的に、1曲目の「New West Order」に回帰していくような、そんな印象がありました。

まさにそうだよ! 「New West Order」と「Mob Music Pt 2」でブックエンドみたいな感じになっているんだ。

-なるほど。それで、最後の曲を聴いたらまた最初から聴きたくなるんですね。内容を染み込ませたくなるといいますか。

そう思ってくれたら嬉しいね!

-今後の活動予定について伺えますか? 日本に戻って来る予定はありますか?

日本にはぜひ行きたいと思っているよ。なんとか実現したいな。まだ何も決まってはいないけどね。

-ぜひ実現してください。このアルバムは、アメリカ程、多民族でもない日本人が聴いても共感できる点がいろいろある内容ですし、自分たちや自分たちの社会を良くしていくことについて考えさせてくれるものだと思うので、ぜひライヴでも聴いてみたいと思います。

ありがとう! そういうふうにこのアルバムを見てくれることがとてもクールだと思うし、ありがたいよ。

-最後に、日本のファンへメッセージをお願いいたします。

日本のファンには心からありがとうと言いたいね。今まで何度も日本に行くことができているのもみんなのおかげだし、実際日本に行って、みんなの愛や応援の気持ちを肌で感じてきた。長年の間に世界はあまりに大きく変わってしまった。俺個人もいろいろな変化があったし、このプロジェクトにも本当に多くの変化があった。そんななかでも俺たちについてきてくれて本当にありがとう。俺だけじゃなくメンバー全員を強力にサポートしてくれているみんなに、早くまた会いたいと思っているよ!