INTERVIEW
THE PRIMALS
2024.09.19UPDATE
2024年09月号掲載
Member:祖堅 正慶(Gt/Vo) GUNN(Gt) イワイ エイキチ(Ba) たちばな テツヤ(Dr)
※マイケル・クリストファー・コージ・フォックス(Vo)は欠席
Interviewer:菅谷 透
なんだかんだ10年やっているから、目を合わせると、何が言いたいかライヴ中はだいたい分かるんですよ
-ファン・フェスティバルは東京ドームで行われましたが、実際にライヴをされての感想や印象はいかがでしたか?
イワイ:今まで観に行ったことはあったんですけど、(舞台に)立ったことはなかったので。お客さんの数に感動した面もあり、"ちゃんとやらなきゃ"って思いもありましたね。
一同:(笑)
イワイ:映像作品になってやっと冷静に観られて、上手くいったなと。
-映像作品の特典映像にステージ側から客席を映した映像が入っていましたが、ペンライトの海が全方向を覆っているような状況になっていましたよね。
イワイ:あれこそ普通は見られる風景じゃないですよね。"誰かのライヴの映像を観ているのかな......あ、でも俺がやっている"って(笑)。
たちばな:これまでも、例えばラスベガスだったりロンドンだったりで(ライヴを)やってきていて。それも数回出演させていただいたりしていたんですけど、やっぱり東京ドームだけはちょっと雰囲気が違いましたね。ただ、やっている側としての感覚で言うと、中音やそれぞれの楽器を聴いて演奏するっていう部分のやりづらさはちょっとありまして。だから若干ストレスのかかる場所なんだなって経験というか、"東京ドームってこういう場所なんだ"みたいな感じはありましたね。あとは、景色的には本当にたくさんの光の戦士たちが集まっているんで、すごいなっていう印象があったんですけど。イワイ君と一緒で、ディスクになって初めて冷静に観て"ちゃんとやっていて良かったな"と思いましたね。
祖堅:雲を掴んでいるようなライヴで、実感がないというか。それは"夢のような世界"ってことじゃなくて。ライヴって演者側はお客さんの反応とか声とか、何か感じるものがあるじゃないですか。で、それに呼応してプレイしていく。その受け答え――コール・アンド・レスポンスは見た目と耳で分かっているけど、ライヴってそれ以外にも感じることがあるじゃないですか。それが一切シャットアウトされた状態でやっている感じだったから、雲を掴んでいるというか。要は"届いているのかな?"と。よく見てみると届いているからたぶん大丈夫なんだろうな、いやいやでも本当に届いているのかな、みたいな堂々巡りがずっと繰り返されて。で、結局ディスクになって、やっと"ちゃんと伝わっていたんだな"っていうのが分かったっていう感じです。
-お客さんの反応とかも、収録されている映像を観て再確認されたと。
祖堅:そうですね。我々のパフォーマンスだったり、もちろんお客さんの反応だったり、明かりの具合だったり、映像だったり。それも全部フワフワして"ちゃんとできているのかな"みたいな。練習も打ち合わせもたくさんしたし、しっかり準備はしてきたはずだから、それを信じてやろうって最後までやり切ったんですけど、本当にそれがちゃんとやり切れていたかどうかの判断は結局映像ができるまで分からなかったという、不思議なライヴでした。
-たしかに特典映像の中にも音響を気にされている様子等が収められていて、そうした準備をすごく入念にしてらっしゃったのではないかと思いました。
祖堅:どんなに中(の音)を頑張ろうが、最終的にアウトプットされる音が結局お客さんの耳に入る音だから、そこがダメだともう何をやってもダメじゃないですか。だからそこは自分の耳と、信頼できる後輩たちにしっかり見てもらって、納得いくまで全部調整するっていうのをどの会場でも心掛けていて。出口はいつも気にしていますね。THE PRIMALSに限らず、自分が担当している音楽興行に関しては、最後の出音をできる限り納得できるところまでしっかり持ってくっていう。もう(会場内を)走っていって聴くとか。めちゃくちゃ大事だと思います。......中がダメならダメだけどね(笑)。でも、僕らが一回ステージに立って始めちゃったら、外のことはコントロール不能ですから。だから、せめてやる前にしっかり調整しておくっていうのは最低限やらなきゃいけないことだと思っています。
-では、最後にGUNNさんはいかがですか?
GUNN:今の最終アウトプットもそうですけど、祖堅君の仲間たちがライヴをやっている最中もずっと見てくれていて、そういうのって僕らも本当信頼できるなと思います。だからDAY1で最初に曲が出るときの音をずっとチェックしているのも見させてもらっていたんですけど、すごくいい感じにまとまって良かったなと。DAY1のピアノ演奏を観たときにお客さんがバーッて喜んでくれた反応が超嬉しかったですね。あとは皆さんが言っているように東京ドームって特殊性があるのかもしれなくて、ライヴ中はもう僕は信頼して"大丈夫だよね。俺も、みんなも"っていう感じで。それを"みんなで楽しもうぜ"のほうへ持っていこうと思って演奏していましたね。
-ライヴの中で印象に残っているシーンや、映像を観て新たに気付いた部分等もあれば教えていただけますか?
祖堅:意外とお客さんの声が出ていたってことですかね。
GUNN:後でスタッフの方から"客席の盛り上がりがすごかったよ"って教えてもらったんですけど、ドームの造りのせいか僕らがいるところだと全然そこまで聞こえなくて。そういうのもあったから、やりながら不安もあったけれど、顔を見れば本当に楽しんでいるのが伝わったので、"大丈夫だよな"って感じで演奏していたんですよね。
-今回のライヴは久しぶりに声出しOKのライヴになったと思うんですけれど、そういった面で何か感じた部分はありましたか?
祖堅:いや、それが届かないもので(笑)。演奏の合間のMC中に"盛り上がってるか?"ってやると"ドワーッ"って来るから、たぶんこれが演奏中に出ているんだろうなっていう想定のもとやっていたので、ほとんど聞こえていないですね。
-そうだったんですね。たちばなさん、イワイさんは映像を観ていかがでしたか?
たちばな:きっちりやれていたことが良かったなっていうのはあるんですけど、それよりも、お客さんが想像以上に盛り上がっている感じが撮れていたので。そこは非常に嬉しいし、泣きましたね。......ごめんなさい、嘘つきました(笑)。でも、本当に嬉しかったですね。リアルで演奏しているときに声が届いていたらもっと嬉しかったんでしょうけど、そこは建物や音響の状況があったと思うので。
祖堅:でも、ドームはあれくらいでちょうど良かったのかもしれないですよね。
たちばな:まぁね。アガりすぎると良くなかったかも。
GUNN:ドッシリとして、ちょっと冷静さもあってね。
祖堅:ライヴハウスでやっているときの"オラーッ!"みたいな感じだと、ちょっと滑稽に見えたかもしれない。
GUNN:"空回りのおじさんたち"みたいなやつね(笑)。
祖堅:"大丈夫、大丈夫"ってやっている感じが、外側から観たらたまたまドッシリ演奏しているように見えたかもしれない(笑)。
-そういった確認や"大丈夫"みたいな声掛けはライヴ中によくされているんでしょうか?
GUNN:もう目配せ一発ですよね。"うん"とも言わないし。
たちばな:最後までそれでしたね(笑)。
祖堅:10年やっているから、目を合わせると何が言いたいかライヴ中はだいたい分かるんですよ。例えばテツさん(たちばな)がこっちをギロッて睨んだら、"お前もっと行け"だなってことで"ヤベッ"と思って(笑)。阿吽の呼吸じゃないですけど、あるじゃないですか。"大丈夫だよ"、"大丈夫っす"みたいな目配せがずっと。
イワイ:わりとこの3人(祖堅、GUNN、たちばな)でやっているよね(笑)。だから"よし、俺はちゃんとやろう"と。
-(笑)もしかしたら確認をする必要がないくらいの信頼があるのかもしれないですね。
イワイ:必要なくはないですけど。特にそこの2人(祖堅、GUNN)がわちゃわちゃやっているので、もう"行ってこい"って思っています。だって俺もこんな(わちゃわちゃに)なったら、たぶん最悪なものになるんで。みんなわちゃわちゃしちゃう(笑)。
祖堅:あ、ライヴで印象的なシーンを1個言い忘れてた。東京ドームでお客さんがきっと2万人くらい入ってたと思うんですけど、その約2万人が我々の"時間停止"と共にビタッて止まっている姿を観て。そのときは我々も止まっているから客席を見られないんですけど、映像で観ると"おおーっ"ってなりますね。
たちばな:あれだけの人数が静止するってなかなかないよね。
祖堅:それまでブワーッて演奏して、お客さんもウワーッてやっているのに、止まる瞬間が来たらビタッて止まって、みんな微動だにしない。スタッフの人だけ"なんだこれ!?"みたいな。何も知らない運営スタッフとかが"えぇ!?"みたいになっていたのがすごく面白かったですね。
-たしかに、映像で観ても圧力を感じるほどのものになっていましたね。
祖堅:止まった後、復帰するときの"俺たちやってやったぞ! THE PRIMALS、どうだ!"みたいな光の戦士の反応は、映像を観るとちょっと泣いちゃいますね。......嘘つきました(笑)。でも、グッと来ます。ドームなのに、あんな人数いるのにそんなことができちゃうんだな、光の戦士はすごいなって。それに尽きますね。
-たしかにそうですよね。ところで、特典映像の中で祖堅さんがプレイヤーと交流しているシーンが印象的でしたが、どういった思いから行動されていたのでしょうか?
祖堅:いや、単純に"回ってこい"って言われて(笑)。面白そうな人を見つけて、いきなり隣に座って、"どう?"みたいに声掛けて。だいたい1発目は"うわっ!"って驚かれるんですけど(笑)、でも同じゲーマーだし、"FFXIV"を楽しみに来たわけだし、同じ気持ちなわけですよ。だから普通に初めての人でも話がすげぇ盛り上がるし、みんなも最初は驚くけど、でも"気のいい兄ちゃんが来たな"ぐらいな感じでフランクに話してくれて、めちゃめちゃ楽しかったですね。そういうコミュニケーションが1個ずつあって、みんながいろんな思いでこの会場に集まっているんだなっていうのを感じられて、いい機会でしたね。この4人+コージはミート&グリートとかで、海外も含めてお客さんと話をすることも多いんですけど、ミート&グリートをすると海外でもたくさんお客さんが並んでいて、1人ずつ我々のところに来るんだけどガチガチの状態なんですよ。だからまともなことも喋れず終わっちゃうんですけど、こっちから突撃して、普通にステージを楽しそうに観てる人の横にスッと座って、"やってるね~"って一緒に楽しむみたいなことができて、いつもと違う接し方ができて良かったなと思いました。すごくいい空間でしたね。
-たしかに映像だけでも、皆さんが"FFXIV"を愛している空間だというのがすごく伝わってきました。
祖堅:GUNNさんとか、いろいろ行っていましたよね。
GUNN:結構行ったね。アクティヴィティとかも行ったし、ゲームみたいなので一緒に遊んだりとかして。楽しいね、ああいうの。
祖堅:なんか会話とかなかったんですか?
GUNN:みんな一生懸命ゲームしているから(笑)。光の戦士たちと一緒にアクティヴィティに挑んだとき、"そこ飛んで!"、"ちょっと、俺も飛ぶから!"で、俺がやられる。"何やってんだよ、このおっさん......"、"すんません......"とか、そういうやりとりはありましたね。楽しかったです(笑)。
-(笑)海外でもかなり公演をされていますが、海外のファンからの反応はどういったものがありますか?
祖堅:"いつTHE PRIMALSはうちの国に来てくれるんだ"ってよく言われるんですよね。求められているのかなって気はしますけど、なかなか行けてなくて、相当熱い声はたくさん......というか、もうミート&グリートすると半分ぐらいの人に言われるんですよ。"来てください"じゃなくて"なんで来ないんだ"が多いです(笑)。
GUNN:まぁUSツアーかな、そしたら。行きたいですね。
祖堅:USしかり、南米も最近めちゃくちゃすごい声上げていますよね。"なんで来ないんだ"って。何か悪いことしたかな(笑)?