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INTERVIEW

TOYSNAIL

2024.06.24UPDATE

TOYSNAIL

TOYSNAIL:キリ(Vo/Gt) しこやま(Ba/Cho) たなえり(Dr/Cho)
HOTSQUALL:チフネシンゴ(Gt/Vo)
Interviewer:フジジュン

-なるほど。1年目はがむしゃらに行動することで下地を作ってきて、それを周囲に認められ始めたことで、具体的な目標や自分たちへの自信が生まれてきたと。

しこやま:振り返るとそうですね。結成前からのバンド仲間とライヴをやり続けて、"シーンを盛り上げていこう"みたいな気持ちもありながら、TOYSNAILの居場所も作って。

たなえり:それぞれの活動の中で培ってきた周りとの関係性が、TOYSNAILになって合致したみたいな記憶もありますね。しこやまが作ってきたバンド仲間とは今も仲がいいし、うちらが一緒にやってきた先輩後輩とも仲がいいしっていう関係性ができて。そこは珍しいパターンなのかな? と思いますけど。

-そして、しっかり地盤が固まった頃に必然か偶然か、HOTSQUALLと出会って。

チフネ:その頃合いをサイトウヒロシが狙ってたとしたら、ヤバいですね(笑)!......って冗談みたいに言いましたけど、ああいう人たちってライヴハウスに長くいるから、嗅覚ハンパなくて。俺らもそういうふうに出会わせてもらったバンドがいっぱいいたし、全国ツアーを回ってるバンドが来るときは、千葉の地元バンドとして"ここ出とけよ!"みたいに声を掛けてくれたから、本当にそうだったかも知れないですね。

-そんな初対バンを経て、ONION ROCK RECORDS所属へと至るわけですが、ONION ROCK RECORDSって、HOTSQUALLのためのレーベルといった印象で。いいバンドがいたら一緒にやりたいとか、若手を育てたいって気持ちはあったんですか?

チフネ:ありましたけど、頭の片隅にあるくらいでしたね。最初は"地に足つけてバンド活動したいから、自分たちのためにレーベルを作ろう"って。そういう先輩バンドたちもたくさんいたし、パンクでDIYでやってる人たちに憧れてたから、ONION ROCK RECORDSを作ったんです。いろんな人たちの力も借りながらここまでやってきて、自分たちでワーッと駆け抜けるのに精いっぱいでしたから、"若いバンドと一緒にやりたいな"という気持ちはあっても、実現に至らなくて。それがコロナ禍もあって、自分たちも25周年っていういキャリアになって、千葉にいいバンドがたくさん出てきてっていう、いいタイミングで、若いバンドにも目が向くようになって、頭の片隅にあったことがだんだんリアルになってきた感じでした。

-そこでTOYSNAILに声を掛けた理由や決め手はあったんですか?

チフネ:TOYSNAILは立て続けにライヴを観る機会があって、気になってたんですが、"うちでやりなよ"って言うほど、レーベルとしてちゃんとしてるとは思わないから、"もしどこかレーベルに所属してやりたいとかあったら相談に乗るよ"とか話してたら、"ONION ROCK RECORDSって、そういうのやってるんですか?"と聞かれて、"やろうと思えばやれるよ"みたいな会話があって。そのあと、"話がある"って地元の西船橋で呼び出されて、なんだろう? と思って行ったら"一緒にやりたいです!"と。それを聞いて、ちょうどそういうことを考えてたときだったし、俺たちが培ってきた知識や経験を何かに生かせたらと思って、うちに所属してもらうことを決めました。

-へぇ! "うちのレーベルでやらないか?"って、チフネさんからスカウトしたんじゃなくて。TOYSNAIL側からお願いしたんですね。

キリ:そうなんです。チフネさんがちょろっと隙を見せてくれたんで、"あれ? これイケんじゃねぇの!?"と思って(笑)。

チフネ:あはは(笑)。でも、そんな感じのことは言った気がしますね。最初は"行きたいレーベルがあるなら、俺が紹介してやるよ"くらいの気持ちだったんですけど。"まぁ、俺たちも一応、レーベルやってるけどね。ケラケラ"みたいな(笑)。

-そのケラケラに隙があったんですね(笑)。で、その話を受けて、TOYSNAILは3人で話し合って?

キリ:もう、熱く語り合いましたね。"こんなことを言ってたけど、行かない手はないんじゃないか?"ってふたりに話して。

しこやま:僕はそれを聞いて、"千葉を背負えるなら"って気持ちもあって、"ぜひやりたい!"と。

キリ:それで"だったら男らしく、自分たちから告白しよう"って、思いを伝えました。

-お~、カッコいい! 機会があったらどこかレーベルに所属したり、活動の場をもっと広げたりしたいという思いはあったんですか?

キリ:ありました。自分たちだけでがむしゃらに活動して、出し切れることは全部やったとは言えないですけど、"ここに自分ら以外の脳みそが乗っかってきたとき、俺らはどうなるんだろうか? すげぇ面白いことになるんじゃないか?"って気持ちはあって、ガツンと行ってみたという感じですね。

-自分ら以外の脳みそが乗っかるってところで、楽曲制作について聞きたいんですが、これまで自分たちだけでデモCDを作ってきて、7月リリースのデジタル・シングルとか、第三者の意見やアイディアが加わることでの制作の変化はどうでした?

キリ:すごく面白かったです! 作曲は自分がしてるんですけど、俺の知らない知識をちょろっと言ってもらえるだけでも刺激的で。やっぱり音楽が好きでやってて、僕の場合はいろんなジャンルを聴きまくって、カッコいい部分を掴んで掴んで曲を作ってるんですけど、自分になかったアイディアをポンッと出してくれるんで、レコーディングはずっと楽しかったです。

たなえり:チフネさんはレコーディングのときにほぼ全日、足を運んでくださって。"こういうフレーズがいいんじゃない?"とか、全パートに意見を出してくれたので、"こんなにコードで変わるんだ!"とか、"あのフレーズがこう繋がるんだ!"とか、いろんな発見があって本当に楽しかったです。私にも難しいフレーズとかを提案してくださって、苦戦したけどすごく成長できたと思います。

しこやま:特にギターのコードにアドバイスをくれることが多くて。僕はベーシストなんですけど、家帰って聴き返して"これ、すげぇな"ってめちゃめちゃ弾いてました。

-チフネさんは今回、プロデュース的な立場でレコーディングに立ち会った?

チフネ:いや、今回はそこまでの気持ちではないですね。プロデュースだったら、もっと早い作曲段階から参加しなきゃですし。彼らが今まで作ってきたものもあるから、基本的には自分たちの好きなようにやったらいいなという気持ちで、そんなに口を出さないつもりでいました。だから、もっと引き出しを開けられると思うんですけど、それをやるのは次かな? と思ってます。"なんかないですか?"って素直に聞いてくるから、聞かれたときは答えるって感じで。それ以上のことはあまり言わないようにしていました。

-いろいろ口出しをして新しい色を着けるのではなく、本人たちの持ってる色をより鮮やかに見せるためのアドバイスをしてって感じですかね?

チフネ:そうですね。まずは自分たちのやりたいことをやらないと、今の時点で右にも左にも引っ張られちゃうのは嫌だなと考えて。とにかく自分たちの色を模索して、良いところ、悪いところを見つけて、"ここが足りないな"って自分たちで気づいたほうが成長に繋がると思うんですよね。ツアーもそうなんですけど、自分たちで一回くらわないと学ばないことってあるので。レコーディングに関しては、そんな感じでしたね。

-具体的に言葉にするのは難しいと思いますが、TOYSNAILのどんなところを引き出してあげたいと思いますか?

チフネ:デモのイメージで、メロディックなバンドだと思われてると思うんですが、それはそれでいいとして。十数年前、俺らの時代はそういうバンドが腐るほどいたんで、今の時代だからの表現というか、その奥にあるものが聴きたいなって感じでした。3人それぞれのバックボーンにある音楽、こういうロック、メロディが好きとか、それが垣間見えたらいいなと思ったし、そこからどんどんオリジナルになっていくと思うんですよね。みんな、最初は誰かのマネみたいなところからスタートするんだけど、TOYSNAILには"その先に何かがある"とずっと感じてて。キリの声といい、たなえりがドラムを叩いてるのもいいし、しこやまはドラムも叩けるしギターも弾けるしなかなかの音楽人で、そんな個性も全部、バンドの魅力に繋がると思うんですよね。今いいバンドがいっぱい出て来てて、圧倒的なオリジナリティが求められてると思うんだけど、"メロコア×新しい何か=TOYSNAIL"の答えが出たら、圧倒的なオリジナリティになるだろうし、彼らにはそれができると考えています。

-TOYSNAILから今の時代だから生まれる新しい発想が出てきたら、HOTSQUALLに刺激や影響を与えることもあるかも知れないですし、同じレーベルの先輩後輩として、互いに刺激を与え合える存在になれたらいいですね。

チフネ:本当にそうで、自分たちのためにもってところがあるんですよ。だから、このストーリーには、"自分たちにもいい刺激を与えてもらえれば"って期待もあるんです。