INTERVIEW
グラビティ
2024.02.20UPDATE
2024年02月号掲載
Member:六(Vo) 杏(Gt) myu(Gt) リクト。(Ba) 社長(Dr)
Interviewer:杉江 由紀
キラめく輝きには、無論裏づけがある。今回グラビティが両A面作として発表する15thシングル『キラキライフ/推幸せに』は、昨年中にギタリスト myuが療養期間に入っていたタイミングで作られていたものだというが、試練を経るなかで彼らが新たに獲得した結束力や大事な気づきといったものが、ここには音や詞として具現化されているのである。キャッチーな感覚と尖った音像を絶妙に両立させながら、"君と生きるキラキライフ"がどれだけ尊いものかを知っているからこその説得力。"推幸せになっちゃえばいいじゃん"と言い切ってしまえる、頼もしい潔さ。確かな意思を礎にグラビティの放つ光はすこぶる幻惑的だ。
-今回の15thシングル『キラキライフ/推幸せに』は、両A面シングルとなるそうですね。まずは「キラキライフ」についてうかがいたいのですけれど、グラビティは出している音の華やかさもさることながら、見るからにキラびやかでもありますし、前作シングル『終わっちゃんちゃん!』(2023年リリース)についての取材(※2023年9月号掲載)ではリクト。さんから"グラビティは自分たち自身で「キラキラバンド」っていうことを言ってる"との発言もありました。そうしたことを踏まえると、「キラキライフ」はグラビティの持ち味をよりブーストして具現化したものとなりそうですね。
六:自分たちの持ってるキラキラ感をより強く出していこう、っていう気持ちは確かにあったよね。曲を作ってたときからそうだったんでしょ?
myu:うん、作曲者としてもその意図はありました。イメージ的には、自分たちのライヴの最後にやるような明るい雰囲気の曲にしたいなと思って、キラキラした要素を意識しながら作っていった感じだったんですよ。そもそも、自分もキラキラ系のバンドは昔結構好きでしたしね。自分が思いつくキラキラ感をここには詰め込んだんです。
社長:この「キラキライフ」に関しては、デモを聴いた段階から自分もすごく好きな曲調だなという印象が強かったですね。それと同時に、きっとグラビティっていうバンドに対する世間のイメージにもすごく合うだろうな、って感じてました。あと、個人的にはこの曲のギター・ソロが特に好きなので、最近のライヴではドラマーとしてそこが一番気持ち良く聴こえるように叩くことを意識してたりもします。
-"キラキラバンド"としての真髄を音として表現していく際に、リクト。さんがべーシストとして心掛けられたのはどのようなことでしたか。
リクト。:初めて弾いてみたときに、このコード進行からライヴのエンディングっぽさは僕もすごく感じたんですよ。開放感があるし、聴いてて感動する曲だなというか。ライヴでやったときにみんなで楽しい気持ちになれる曲になったらいいな、と思いながらレコーディングしていきました。
杏:ほんと、これはグラビティっぽさがよく出た曲になってるなと僕も思いますね。作曲者としてmyuがどういう気持ちで作ったか? っていう話もあらかじめ聞いてたから、だいたいの方向性とかも見えやすかったです。ただ、ちょうどこの曲をレコーディングするタイミングでmyuが入院しちゃったんですよ。
-そうでした。年明け("グラビティ 1発目 ONEMAN")にはライヴ現場へ復帰されたものの、昨年末まではしばらく療養期間に入られていらっしゃいましたものね。
杏:方向性自体はわかってても、ギターのフレーズの割り振りとかについては何も話し合ってない状態でmyuが入院しちゃったんで、そこからはちょっと大変でしたね。しかも、今回は制作進行の都合もあって、曲のレコーディングが終わる前にmyuを除いた4人でMVも先に撮らなきゃいけなかったんですよ。だから、流れ的に俺がソロの部分で映像として抜かれる場面が出てきたんで、結果的には俺がレコーディングでもまずはソロを弾いたあと、そこにmyuが重ねてハモることになりました。
myu:曲自体は入院前にできてましたけど、それをメンバーのみんなに送った直後に僕が入院しちゃいましたからね。そこからはしばらくみんなとも会えなかったし、体調的に連絡もまともに取れないような状態になっちゃってて、携帯もなかなか触れないくらいのレベルだったんです。まさに、その間にMV撮影があったっていう感じでした。
-それはつくづく大変でしたね。その状態から復帰されたとは何よりです。
myu:さすがにそういう感じだと周りも気を使ってくれて、みんな連絡するのを遠慮してくれてた時期もありました。そこからちょっと良くなってメンバーがお見舞いに来てくれたときも、バンドの活動がどうなってるかっていう話はあんまり出なくて、みんなが僕のいないところでしっかりいろいろと進めてくれていた感じだったんで、とてもありがたかったです。そして、幸い1月からはライヴにも復帰してるんでもう大丈夫です!
六:まぁでも、そんないろいろあった時期に僕はこのハッピーな「キラキライフ」の詞を書いてたわけですけどね(苦笑)。
-やはり、ネガティヴな状態でポジティヴな歌詞を書かなければならなかったのは難しいことでしたか。
六:いや、逆にドラマチックになったところがあると思います。myuから"ライヴの最後でやる曲にしたい"っていうオーダーがあって、その直後にいきなり入院しちゃったわけじゃないですか。当然、そこからのライヴを考えるけど、グラビティは走らせたい意志がmyu含め全員にあったので、myuがいない状態でやっていくことになったんですが、そうなるとどうしても埋まんない穴っていうものの存在を、ファンの中にもわしらの中にも日々感じちゃうんですよ。そこはもう、わしら4人がいくら頑張っても絶対に埋まらないんですね。それはきっと誰が欠けてもそうなることだし、「キラキライフ」の詞はライヴでこそ今後、歌に気持ちが入るものができたね。
-それは"キラキライフキラキライフ/もう君がいなきゃ楽しくない"、"キラキライフキラキライフ/君じゃなきゃ埋められないCOLOR"といったあたりのことですね。
六:実は、myuがいなかったときのことは別の曲で詞にしたいなと思ってたんですけどね。だけど、時期が時期だったから書いてて自然とこうなっちゃったんです。そういう意味で、これはあの時期にしか書けなかった言葉じゃないかなぁ。
myu:僕はこの詞を最初に見たとき、"君がいてこそ光る/君と色づいていく"っていう言葉とかあるし、これはお客さんたちのことを歌ってるんだろうなと思ったんですよ。でも、この間MVが先行公開されたときに"これはmyuさんに対しての曲なんですね!"っていう感想がファンの子たちからめちゃくちゃいっぱい来て、初めてそこで"えっ? そうだったの???"ってなりました(笑)。
六:もちろん、ラストの曲といったらーと思って、ファン向けな形で書いてたつもりだったんだよ。ただ、途中から現実の出来事に引っ張られちゃった(笑)。でも、みんながそれに気づいてくれたというか、こっちから説明とかしたわけじゃないのにちゃんとそこがみんなに伝わったっていうのは、ある意味理想的なことだと思います。
myu:今回はほんとファンのみんなに教えられました。そう思ったら、この「キラキライフ」は自分にとってより大事な曲になりましたね。
-素敵な逸話です。ぶっちゃけ、バンドに対する"キラキラ系"という呼び方は華やかさを意味する一方、場合によってはキラキラ系=チャラいと誤解されがちなところがあったりするではないですか。この「キラキライフ」をグラビティが提示することにって、世の中における"キラキラ系"に対する認識が変わってくれると嬉しいですよね。
六:そこはだから、自分たちのファンに伝わるだけじゃダメなんだよね。ちゃんとリアリティのあるバックボーンもあって、リアルなメッセージを持った「キラキライフ」みたいな曲こそ、もっといろんなところに広く届けたいなと思ってます。
-ちなみに、今回やむなく4人で撮影されたという「キラキライフ」のMV撮影時にも、かなりエモいエピソードがあったそうですね。
杏:myuさんがいなかったぶん、myuさんの使ってるギターだけでも映しとこうと思って、myuさんのギターが撮影に参加してくれてます。
myu:杏もだけど、社長も弾いてくれてるよね。
社長:勝手に弾いちゃいました(笑)。あれは小ネタみたいな感じのシーンなんですが、よかったら観てみてください。
リクト。:グラビティのMVとかアー写って、いつもはヴィジュアル系らしくカッコつけることが多いんですよ。でも、この「キラキライフ」のMVはふざけてるわけじゃないんですけど、みんな無邪気で楽しそうな表情をしていて、結構素に近い俺らが映像になってるという点で新しいと思います。
六:"myuがいないとしても、見応えのあるものにしなくちゃ!"って思ってたからね。初めのうちは普通に撮ってたんだけど、途中から"これじゃつまんないじゃん"と思って、カメラマンからカメラを奪い去って僕がメンバーを撮影しまくりました。あと自撮りしたり。メンバーにもカメラを持って走り回ってもらったんですよ。
-そんな、渾身のMV「キラキライフ」に対するmyuさんのご感想は?
myu:めちゃくちゃ微笑ましいし、すっげーいいMVだと思いました。何より、楽曲と歌詞とMVのすべてがすごくマッチしてるなって感じるんですよ。俺が曲を作り始めたときに予想してたのを遥かに超えた、完成度の高い作品になったと思います。
六:myuにそう言ってもらえて良かった。いろんなことを話し合う余裕がないなかで進めてたことばっかりだったんで、myuにそう思ってもらえるのはすごく嬉しいです。