INTERVIEW
グラビティ
2023.07.04UPDATE
2023年07月号掲載
Member:六(Vo) 杏(Gt) myu(Gt) リクト。(Ba) 社長(Dr)
Interviewer:杉江 由紀
理想を追求しながら、偏見や誤解を打破していくという高難度ミッションを遂行してきているグラビティは、ある種の戦略を持った理知的なバンドだと言えよう。刺激的なサウンドに、今っぽさをふんだんに含んだ歌詞、そしてきらびやかなヴィジュアル。グラビティの持つ引力は本日7月4日に発表された13thシングル『キュートアディクション』の音源やMVでも遺憾なく具現化されているが、一方でライヴ・バンドとしてのグラビティにも彼らは強い自負を持っているのだという。来たる9月25日にZepp Haneda(TOKYO)で開催される"グラビティ -TOUR FINAL 6 ANNIVERSARY ONEMAN- Want to Taste of GRAVITY"でも、きっとその勇姿を拝めるはずだ。
-このたび13thシングル『キュートアディクション』を発表されることになったグラビティですが、激ロックには初登場となるそうですね。そこで、今回は最初にグラビティとは何者なのか? というお話からさせていただきたく思います。もとを辿ると、このバンドはいつどのような経緯で始動することになったのでしょうか。
六:最初のきっかけは、僕が高校生のときにいろんなバンドを観ていた中で"自分だったらこうするな"と感じることがいろいろあったんですよ。で、ちょうどその頃にギターのmyuとは通ってた学校は違ったんですけど、共通の知り合いを介して友達になったんですね。myuとはすごく感性が合うなと当時から感じていたというのも大きくて、そこから一緒にバンドをやろうよっていう話になりました。そのあとはヴィジュアル系セッションを何度か繰り返しながら、リクト。、杏、社長の順でメンバーが集まって、2016年に今のグラビティになった感じです。
-なるほど。ちなみに、きっとインタビューやトークの場では何十回と聞かれているとは思うのですけれど、社長さんは実際に社長さんの立場でいらしゃるのですか??
社長:ほんとにインタビュアーのみなさんには毎回聞かれるんですが、これは僕が自分で名前をつけたわけじゃないんですよ。
六:"社長"っていうのはメンバーみんなで考えた名前ですね。その頃ってレペゼン地球とかのYouTuberが爆勢いがあった時期だったんで、DJ社長とか、はじめしゃちょーとかがいたじゃないですか。"そういえば、ヴィジュアル系に「社長」っていないよね"っていうところから、普通で言うと一番目立ちにくいドラマーを"社長"って呼ぼうということになったんですよ。そうしたら、実際こうして必ず突っ込まれますからね(笑)。
-まんまと質問をさせていただいてしまいました(笑)。
六:策略通りです(笑)。
-なお、2016年に現体制となって以降のグラビティは精力的な活動をここまで展開してきており、今年4月にはZepp DiverCity(TOKYO)でのワンマン("47都道府県ONEMAN TOUR FINAL「電撃スクリーンショット」")も開催されておりますし、来たる9月25日にはZepp Haneda(TOKYO)での"グラビティ -TOUR FINAL 6 ANNIVERSARY ONEMAN- Want to Taste of GRAVITY"も決定しております。そうしたなかで、今グラビティはここからどのような存在になっていきたい、と考えていらっしゃるのでしょうか。将来的なヴィジョンについてお聞かせください。
六:どこかのステージに立ちたい、日本武道館やドームでやりたい! みたいな気持ちでバンドを始めたわけじゃないんですよ。純粋に自分の理想を叶えたいんです。高校生のときに感じてた"自分だったらこうするな"っていうあの感覚を、ひとつずつ形にしていけるような力が欲しいと思ってますし、グラビティではそれを実現していけるようにここまで活動を続けてきてますね。
-だとすると、そんなグラビティの中で各メンバーのみなさんは"自分のバンドの中での存在感や役割"というものをどのように自覚されているのでしょうか。
六:舵取り、かな。うちはリーダーとかいないバンドで、まとめ役みたいなことをしてくれてるのはmyuなんですよ。彼は先見の明もあるから、いつも"こうしたほうが良くない?"、"そっちのほうがいいね"ってそのつど言ってくれるんですけど、だいたいいろんなアイディアを最初に出したり、そこから最終決定をするのが僕なんです。
myu:まぁ、僕はマネージャーっぽいポジションというか役割かもしれないですね。"これの締切が迫ってるけど大丈夫?"とか、各メンバーに対しての連絡役とか調整役をすることがわりと多いです。
-つまり、相当しっかりしていらっしゃるのだとお見受けします。
myu:たぶん、そういうことなんじゃないでしょうか。うちは5人いるんで、ひとりくらいはそういう人間がいたほうがいいんじゃないかと思ってます(笑)。
六:myuはそれだけじゃなくて、プロデューサー力もあるんですよ。
-対して、もうひとりのギタリストである杏さんは?
杏:俺は優しいですね。とても!!!
-癒し系キャラということなのでしょうかね。では、リクト。さんはいかがでしょう。
リクト。:ヴィジュアル的にも、キャラ的にも、自分はグラビティの中だとニュートラルな存在なのかなと思いますね。普段は舵を取ってくれてる六や、まとめてくれてるmyuに身を任せつつ、何か違うなと思ったり、ここは大事だなと思うようなときは自分の意見を言うパターンが多いです。
-社長さんは、どのような役割を果たされることが多いのでしょうか。
社長:僕は外部の関係者の方と連絡をとったり、ライヴだと同期周りの管理、あとは細々とした雑務なんかを担当してます。
-では、みなさんが自覚するプレイヤーとしての特徴/長所がどのようなところになるのかもぜひ教えてください。
社長:長所を自分で挙げるって結構難しいですけど......ライヴの場合、ドラムって後ろから会場全体を見渡せるのもあるのか、メンバーの中で一番そのときの空気感とか、メンバーの雰囲気、お客さんたちの様子を客観的に感じ取れるポジションだと思うんですよ。だから、自分としては常にメンバーやお客さんたちが安心した状態でライヴをやれるようなドラマーでありたいな、と思ってます。
杏:僕はどんなライヴでも緊張とかしなくて、周りをめっちゃ見れてることですかね。
リクト。:自分のパートはベースなんですけど、ヴィジュアル系では珍しく、立ち位置的には上手でひとりで弾いてるんですよ。そうなってくると、上手を一手に引き受ける身としてはやっぱり華がないといけないんで、ベースもちゃんと弾いたうえで見せ方も重視する、という音と動きを両立したステージングを心掛けてます。
myu:その点、僕はかなり自由にライヴをやってますね。曲を作ったりとかしてるんで、その曲に入り込んでるときはあんまり何も考えてないです。もちろん、バンド暦が長くなってきたぶん、演奏はちゃんとしないとナメられちゃうんでそこは気をつけてますけど。うちは踊る曲とかもあったりするし、見た目のイメージとかでも"どうせ演奏は微妙なんでしょ"みたいには思われがちなんですよね。でも、実際に観たらそういうふうには思われないようなライヴというのをやるようにしてます。
六:ヴォーカリストとして自分が大事にしているのは、間と生感かな。歌を丁寧に聴かせたいという気持ちはあるんですけど、綺麗な歌を聴かせたいだけだったらCDをかけるだけでいいわけじゃないですか。僕はライヴでだからこそ伝えられる歌を歌いたいし、ライヴではその瞬間に思っていることがリアルだと思うから、その場で歌詞を変えちゃったり、歌わずにしゃべっちゃったり、っていうことも時にはしますね。CDでは届けにくいところまで距離感を埋めて行くことができるのが、自分にとってライヴの場なんです。
-一方で、グラビティはこのたび13thシングル『キュートアディクション』を発表されることにもなっております。ここからは今作についてもうかがっていきたいのですが、9月25日にはZepp Haneda(TOKYO)での"グラビティ -TOUR FINAL 6 ANNIVERSARY ONEMAN- Want to Taste of GRAVITY"も控えているなか、このシングルをもって切り出したかったのはグラビティのどのような面になりますか。
六:Zepp Hanedaがあるからとか、先の展望を見据えてとかではなく、これは今やりたいことをそのまま形にしたシングルです。さっき、myuも"どうせ演奏は微妙なんでしょ"みたいには思われがちっていう話をしてましたけど、結局こういう見た目がキラキラなバンドって"音楽は適当なんでしょ"って思われがちだし、そこの部分に対してはコンプレックスも感じてるんですよ。それこそ、最近だとメン地下と混同されがちだったりもしますしね。そういう偏見とか誤解を打破したいという気持ちから、今回はあえて強めなザ・ヴィジュアル系! っていう曲を表題に持ってきました。