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INTERVIEW

グラビティ

2024.02.20UPDATE

2024年02月号掲載

グラビティ

Member:六(Vo) 杏(Gt) myu(Gt) リクト。(Ba) 社長(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

自分も"推し"に力を貰って生きてきたから、推しが人に力を与えている事実と、人が推しに力を与えている事実の両方を描きたかった


-さて。ここからはもう1曲の表題曲「推幸せに」についてもうかがって参りましょう。こちらは、どのような背景を持って生まれた曲になるのでしょうか。

六:これは僕が書いた曲ですね。今のところグラビティのことを知ってる人っていうのは、「推し推し!!推し事!!」(2018年リリースの3rdシングル『人生カワタニエン』自販機でコーヒー押したらおしるこが出てきちゃった盤収録)と「糞客粉砕CHANGE希望!!」(2019年リリースの4thシングル『一生十TAX』A-TYPE収録)から知ったっていうパターンが多いんですけど、それは対バンのライヴで聴いて好きになったみたいな人が多いんです。あともうひとつのケースとしては、「推しガチャ!」(2021年8月リリースの9thシングル表題曲)とか「キュンキュン警報」(2021年2月リリースの8thシングル表題曲)をTikTokで知りましたっていう人も結構多くて。その2曲はすごくキャッチーだし、僕ら自身が振付して踊ってるんだよね。あと、「電撃衝撃ライトニング」(2022年リリースの11thシングル表題曲)なんかはおおしま兄妹さんっていうインフルエンサーが使ってみたりもしてるし、今回も両A面にするなら片方は"そういう曲"にしたかったんですよ。ということで、この曲はサビから作り出しました。そして、この曲では今までグラビティでは使ったことのなかったコード進行を新たに導入してます。

-それだけ「推幸せに」は狙いが明確な曲だったのですね。

六:サビ後半の"推幸せに推幸せになっちゃっていいですか!?"のところなんかは、ずっと半音ずつ上がり続ける展開になってるんですよ。我ながら、これは面白い曲になったなって感じがしてますね。

-今や"推す"という行動原理は社会に定着してきていて、企業によっては"推し活休暇"や"推しロス休暇"を認める例もあるそうですが、六さんが作品を通して"推し活"における人間模様を幾度となく描かれてきている理由とはなんなのでしょうか。

六:それはやっぱり、自分も"推し"に力を貰って生きてきたからですね。推しが人に力を与えている事実と、人が推しに力を与えている事実の両方を描きたかったんです。

-なるほど。この「推幸せに」は誰かを推したこともあれば、今では推されている立場でもある六さんだからこそ書ける詞なのですね。ちなみに、もし差し支えなければ六さんが力をいただいてきた推しについて教えていただくことはできますか?

六:ヴィジュアル系だとViViDやDIVとかユナイト、vistlip、LEZARDあたりですね。最初にハマったのはYouTubeで観たthe GazettEだったし、lynch.とかもライヴを観に行ってたな。それから、ロック・バンドだったらUVERworldも。どこからどこまでを推しっていうのかは難しかったりもするけど、自分はそのすべてに救われてたところがあります。そして、当時はバンドを組むっていうこと自体が自分にとってはもはや夢だったんだよなぁ。だから、今の時点ですでにひとつはもう夢が叶ってるんです。

-それもまた素敵なお話ですね。せっかくですので、楽器隊のみなさんの推しも教えてくださいませ。

myu:俺はRoyzです。いろいろ聴いてたけど、高校生のときにファンクラブに入ってバシバシに好きだったのはRoyzなんですよ。あとはお姉ちゃんがKAT-TUNのファンなので、中学のときから年に1回は一緒にライヴ行ってました。というか、今も行ってます(笑)。

杏:僕はずーっとthe GazettEさんです。今でも大好きです。the GazettEの葵(Gt)さんをリスペクトしてますし、葵さんに憧れて、葵さんみたいになりたくて東京に来ました。

リクト。:当時は推しっていう言葉がまだなかったんですけど、人生でファンクラブ入ったことあるのはvistlipさんだけです。毎回リリースが楽しみで、発売日に絶対買いに行くみたいな感じでした。あれは今で言う推しだったんだなって思いますね。

社長:あのー、すいません。音楽はいろんなのが好きなんですけど、僕はいわゆる推しっていうのはいないです。まぁ、バンドじゃなかったら"ガンダム"ですかね。全シリーズ好きですけど、最初は"機動武闘伝Gガンダム"から入りました。小学生のときは"いつかガンダムに乗りたいな"ってずっと思ってたんで。ガンダムには今も課金してます(笑)。

六:あぁ、課金率ね。それでいったら自分の場合はUVERworldだな。ライヴの回数一番行ってるし、ファンクラブも入ってたし。

-それぞれの推し体験も、この「推幸せに」にはきっと生かされているのでしょうね。なお、サウンド的に言うとこの曲はエッジーな仕上がりになっている印象です。

六:"過去曲と被らないように"っていう意識でこの曲は音を作っていったんですよ。

社長:イントロの激しめなカッコ良さと、サビとかでのかわいい感じをちょうどいいバランスで入れられた曲になったと思いますね。

リクト。:曲としては基本的にポップなんですけど、ベースも音としてはヴィジュアル系っぽい攻めたフレーズとか、ちゃんとカッコいいフレーズが入ってるし、譜割りの面でのバリエーションも多いんで、これはベースの練習曲としてもおすすめです。オクターブ奏法とかも入ってます。CDにはインストも入ってるんで、ベースをやってる方はぜひコピーしてみてください。

myu:これも入院中にできた曲なので、ギター・ソロも含めて六が作ってくれた通りに弾きました。

杏:流れ的には「キラキライフ」と一緒で最初は俺がソロを弾いて、そこにmyuさんがハモりを入れてくれた感じでしたね。

六:僕のこだわりとしては、とにかくイントロのギター・リフの音を重くしたかったんですよ。たぶん、そこがカッコ良さとして作用してるんだと思いますね。

-なお、今回のシングルには既発曲のハロウィン・ソング「ジャック・オ・ドキドキ」(※キラキライフ盤のみ)と、もう1曲カップリングとして「溶けない雪」(※推幸せに盤のみ)という美しいバラードが収録されております。この曲は純粋に詞も旋律も大変素敵ですね。

myu:良かったです、そう言ってもらえて。これに関しては冬っぽいきれいなバラードが作りたかったんですよ。

六:グラビティっていつも変化球のフックをいろいろ入れるじゃない? でも、これはそういうのが入ってない曲なんだよね。王道な感じの曲というか。こういうのをいいってもらえるのは、とても嬉しいです。

リクト。:myuがいい曲を書いてきてくれて、六もいい詞を書いてくれてるので、この曲ではそれを最大限に生かすように自分はプレイしていきましたね。

杏:僕はこの曲のために今回アコギを買いに行きました。渋谷CLUB QUATTROでワンマン("Xmas ONEMAN TOUR")があった日に、少し時間があったんで一瞬楽器屋まで行ったんですよ。時間もなかったし、エレアコのことは詳しくなかったんで、店員さんに薦められるまま買ったギターなんですけど、レコーディングだけじゃなく今ライヴでも使ってます。

社長:ライヴといえば、これは今まで自分があんまり叩いてこなかったタイプの曲なので、今まさにこういう繊細な曲は難しいなって個人的に感じてるところなんですよ。ここからのライヴでどう表現していくかは、自分にとってひとつの課題ですね。

-現在進行中のツアー("グラビティ [2days ONEMAN TOUR] 強火お祈りツアー -Pray4-")は3月21日のZepp DiverCity(TOKYO)公演"TOUR FINAL 52Hzの流星群"で締めくくられることになるそうですが、昨年からの厳しい試練も経つつ、グラビティはライヴ・バンドとしてさらに進化した姿を見せてくれることになりそうですね。

六:この間の仙台公演もそうだっんたですけど、今グラビティはとてもいい感じでツアーを回れてるんですよ。今回の両A面シングルはもちろん、11月に出した「52Hzの星空」も含めて、"TOUR FINAL 52Hzの流星群"では今の自分たちが表現したいことをすべて伝えられる場にしていきたいと思ってますね。最近はお客さんたちがほとんどの曲で一緒にサビを歌ってくれる感じになってきてるし、一体感もめっちゃあるから、すごくライヴをやってて楽しいんです。なんなら"隣の人の歌を聴きに来たんじゃねー!"っていうクレームが出るくらい、みんなで盛り上がれたらいいなって思うんで、ファイナルは今までで一番! って感じるようなライヴにしたいですね。