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INTERVIEW

BugLug

2022.06.29UPDATE

2022年06月号掲載

BugLug

Member:一聖(Vo) 一樹(Gt) 優(Gt) 燕(Ba) 悠介(Dr)

Interviewer:清水 素子

側面だけを見てほしくないんですよ。俺らの進化していく姿を直に見て、 判断してほしいんで、ちゃんとライヴに来たうえで聴いてほしい


-ヴォーカルも従来に比べ、感情の抑揚だったり、その波が細かい気がしました。

一聖:めっちゃ細かいですね! 僕もAメロから常にフルスロットルで歌いがちなんですけど、今回は心から響かせたかったので、落ち着いた感じで歌いました。

優:歌録りも今までで一番時間かかったよね。そもそも最初は「ひとりごと。」じゃなく、カップリングの「ハラキリ」(※通常盤のみ収録)をシングルで出すつもりだったんですよ。これは1年前から作ってた曲なんで。ただ、なんとなく俺らの中で引っ掛かるものがあったんで、今回のリリースを告知した3月の12周年ライヴ("BugLug 12th ANNIVERSARY ONEMAN LIVE 『小六』")でも、具体的な発表はせず......。

一聖:とりあえず"乞うご期待"的な感じにして、何を出すかは告げなかった。

優:そこからシングルじゃなく、7曲入りのミニ・アルバムを作ろうっていう話に変わり、曲も出揃ってレコーディングまで進んだんです。その中で「ひとりごと。」も生まれて、メッセージ性が強いからアルバムの最後に置こうとしたんですけど、"それって普通じゃない?"っていうことになって。サウンド的に新しいものを作れたという自負もあったし、やっぱり言いたいことはシングルでやろう! って決めたのが、4月の中旬かな。

一聖:もう変化に次ぐ変化で、自分の中でも意味がわからなくなってた。マジで"何が正解だ!?"って(笑)。

優:でも、あれはBugLugの歴史に残る英断だったと思うよ。

燕:よくよく考えたら「絶交悦楽論」(2011年リリースの3rdシングル表題曲)もそんな感じだよね。本来はカップリングとして作っていて、表題で出す予定ではなかった。

-現在のアグレッシヴな方向へとシフトするきっかけになった、BugLugにとって最初のターニング・ポイントとも言える曲に、そんな逸話があったとは!

優:言われてみれば、そのときの感覚に似てるよね。今回のシングルは、ホント"ニュー BugLug"な3曲って感じだし、気づいたらテンション上がってた。

燕:うん、もしかしたら、これがいいきっかけになっていくのかも。

-カップリングの「MaMa」も「ひとりごと。」と同じラインにある、シンプルを極めた曲ですよね。

燕:当初はミニ・アルバムに入れる予定の曲で、もともとはすごくヘヴィな曲だったんですけど、もう原型がない!

優:ヴィジュアル系らしい特色とか、ライヴのノリとか関係なく、俺ら自身が聴いて"お!"ってなれるシンプルにカッコいい曲を、1回作ってみようっていう話になったんですよ。で、もとにあった「MaMa」の出だしがカッコ良かったから、そこを生かして再構成して、「ひとりごと。」と同じく、今までのBugLugの常識は全部排除しました!

一樹:こういうグランジ・ロック的なギターには憧れがあったから、今回やれて良かったです。

燕:俺もつい動きたくなっちゃうタイプなんだけど、今回はルートでカッチリ決めて。でも、改めて聴いてみて"ベースって本来こういう楽器だよね"って思ったし、ライヴになったらメンバー同士で"カッコ良くね?"って言い合えてる画が見えるなぁ。

悠介:ドラムもほとんどスネアとキックだけで、クラッシュとかもサビまで出てこない。かなり挑戦的な引き算だったんですけど、この曲はこれが一番カッコいいんだろうなと。

-ちなみに"MaMa"というタイトルの由来は?

一聖:これも根っこは「ひとりごと。」と同じで、去年の自分は甘えすぎてたな、まるで赤ちゃんみたいだったな、っていうところからの"ママ"ですね。自分がやりたいこともやれず成長、発展、進化することもできずに閉じこもってチマチマ過ごしていた自分が、本当に情けないんですよ! その想いを本来消化できるはずの音楽もやれていなかったから、もう鬱憤だけが溜まっていったんですよね。

-ライヴは難しいにしても、なぜ音源のリリースをしなかったんでしょう?

一聖:なぜでしょうね? 無理にリリースしなくてもバンドは維持できるっていう、変な安定、安心志向があったのかもしれないし。

一樹:ライヴをやれてなかったから、歌いたいことが見つからなかったんじゃない? ツアーとかライヴを重ねることで、日々感じることを曲にしてきてたから、それがないと曲を作ろうと思えなかったのかもしれない。

-それも"この状況だから仕方ない"と言い訳して流してしまう人が大半だけれど、一聖さん的にはそれこそが甘えだと。

一聖:そう! だって甘えたり弛んだりしてると、人間って不満しか述べないんですよ。努力したり"頑張ろう"っていう精神力があったりするから、"明日はこうしよう"っていう希望をどんどん述べていけるわけで、今までの自分はそうだったと思うんです。それが真逆な人間になっちゃって......っていうのが、この曲が生まれたきっかけですね。

-今やれる最善は尽くしていると当時は信じていたけれど、今から振り返れば、もっとやれただろうということですね。ちなみにサビの"暗暗"は、もしや国民的アニメの主題歌と引っ掛かってたりします......?

一聖:いや、全然違います! たしかにBugLugにスネ夫をモデルにした曲はありますけど、もしかして、のび太君みたいに未来からの道具に甘えすぎて......ってことですか?

悠介:そういうことにしちゃおう!

一同:(笑)

-失礼しました! そして「ハラキリ」はすでにライヴではおなじみの1曲で、"今を生きろ"というラスト・フレーズがとにかく印象的ですが、できあがった音源を聴くと、どうもライヴで聴いていたものとは印象が異なるような......。

優:音源の「ハラキリ」がバージョン6だとしたら、5までは同じテイストなんですよ。

一聖:5から6で究極進化した。それまでのアグレッシヴでノリがいいイメージを、1回ブッ壊したんです。ノリじゃなくて"心"だろうと、メロを変えた箇所もあるし、省いた部分もあるし、リフも歌詞も違う。

一樹:以前の「ハラキリ」はザBugLugでしたけど、「ひとりごと。」と「MaMa」ができてから、もうちょっと変えていこうってことになったんですよね。今までのBugLugだったら、もっとコミカルにしていただろうAメロも、グッと洗練されたものになりました。

悠介:前のバージョンよりスタイリッシュになった印象はあるよね。

一樹:そう。余計な贅肉は全部削ぎ落として、たくましくなってる。

燕:当然ライヴのノリも変わるだろうけど、また作っていけばいいから。

-ただ、何度でも仕切り直して、今を生きようというメッセージだけは変わらない。

一聖:「ひとりごと。」でも"終わりがないゴールでいいんだ"って歌ってますけど、結局そういうことですよね。だって、完成したら終わりじゃないですか。だから、一度自分が"嫌だな"と思ったら、もう"切腹じゃあ!"くらいの勢いで切り返せばいいんです。

-3曲通して、本当にメッセージは一貫していますよね。このシングルを引っ提げ、7月には東名阪ツアー("BugLug BRAND NEW TOUR 2022「ひとりごと。」")が開催されますが、ファイナルでは当日限定音源が配布されるとか。

優:どんどん曲を作っていって、このシングルで培った新しい感じを、もっと浸透させていきたいんですよね。ただ、側面だけを見てほしくないんですよ。俺らの進化していく姿を直に見て判断してほしいんで、ちゃんとライヴに来たうえで聴いてほしいです。

一聖:制作はこれからなんで、いい曲作ります!

-毎年恒例のフェス・イベント"バグサミ"も9月3日に行われますが、会場が秩父ミューズパークというのが想定外!

一聖:毎年やっていた新木場STUDIO COASTがクローズしてしまったんで、じゃあ、せっかくだから野外でやろうか? というアイディアが降りてきて。いつも3つステージ作っていたので、サブステージを設けられる秩父に決めたんです。

優:かなり冒険なんで、俺たちも相当気合を入れないといけないんですけど、めちゃくちゃいい場所なんですよ! 下見の段階で"こんなところでライヴやったら楽しいに決まってる"って思ったから、ホント来たほうがいい。

燕:マイナス・イオンをとても感じるところなんで、来たらテンション上がりますよ!

-ただ、秩父って都内から2時間くらいはかかりますよね......?

悠介:でも、それだけの価値はあると思う。むしろ電車で10分とかのライヴハウスよりも、遠足だとか小旅行みたいなワクワク感も味わえるだろうし。

一樹:俺はまだ行けてないですけど、みんなが絶対楽しめる内容にしないとなって思っています!

優:やっぱりお祭りなんでね。キッチンカーとかも出るし、出演者の中には俺たちが気になって声を掛けたバンドとか、初めて対バンするバンドもいるんですよ。当然盟友たちもいるし、その中でも"バグサミ"は初めてっていうバンドもいる。さっきも言った通り、今、ターニング・ポイントになる楽曲を出したときと似た空気感があるから、自分的にも"ちゃんとやらなきゃな!"っていう気持ちが高まっているんですよね。このインタビューで初めてBugLugを知ってくれた人もいると思うので、"ヴィジュアル系だから"とかって毛嫌いせずに、ぜひ一度聴いてみてほしいです。サブスクとかもありますから。

-激ロックの読者に、特にお勧めしたい曲とかありますか?

悠介:飛ばしながら聴くのが一番いいと思うんです。BugLugに関しては。

優:"ホントに同じバンド!?"ってなるからね。

悠介:そうそう。で、どんな曲が聴きたいのかも、そのときの気分によるじゃないですか。楽しいのか、センチなのかでも変わってくるけど、どんな気分のときでもBugLugなら、たぶん全部まかなえるんですよ。なので、今、好きな曲から入ってくれたらOKです。

燕:そのうえで、一番はライヴを観てほしい。正直、まだジャンルの壁を感じるところもあるので、BugLugきっかけで壁を壊してもらえたら。

一樹:とりあえず「猿」(『HAPPY BIRTHDAY KILL YOU』収録曲)を聴いてライヴに来い! っていう(笑)。ライヴ・バンドとしての自信も誇りもあるので、いつか激ロックに載っているバンドさんと対バンして、カッコいいバンドとして認識させたいですね。

一聖:12年間やっていても、BugLugを知っている人なんて日本に住む1億人のうち1割もいないじゃないですか。だから、もっともっとたくさんの人に知ってほしいんですよね。特にBugLugの表現は自由で豊かなんで、バンドとはいえ"人間"な気がするんですよ。人間に喜怒哀楽があるように、BugLugにもいろんな顔、いろんな楽曲があるから、どこから入ってもらってもいいので、BugLugというひとりの人間と友達になってもらいたいです。