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INTERVIEW

VOLBEAT

2021.12.01UPDATE

2021年12月号掲載

VOLBEAT

Member:Michael Poulsen(Vo/Gt)

Interviewer:山本 真由

すべて広く門戸を開けておきたいんだ――ルールなんてものはスキップして、ハートからストレートに出てくるものをやる


-またこの楽曲は、アメリカのメタル・バンド JUNGLE ROTのDave Matrise(Gt/Vo)がゲスト参加したバージョンも収録されていますね。こちらもすごく楽曲にマッチしていて、よりハードな仕上がりにもなっていますが、彼にヴォーカルを頼んだ理由は? たしか以前共演経験もありましたよね。

まず、「Shotgun Blues」を書いたときにJUNGLE ROTにインスパイアされていたのは間違いない。JUNGLE ROTというのはアメリカのデス・メタル・バンドで、Daveがフロントマンを務めているんだ。Daveとは仲がいいから、"ボーナス・トラックに参加してもらいたいんだけどどう思う? 大事な役割を務めてもらいたいんだ"と頼んで、曲を聴かせたら完全にぶっ飛んで、"最高に俺好みだよ。やろうじゃないか!"と言ってくれたよ。すごくいいバージョンだと思うし、たくさんのメタル・ヘッズが共感してくれるんじゃないかな。俺がその昔デス・メタル・バンドをやっていたことはみんな知っていて、その時代の歌い方に戻ってほしいと言ってくれるファンも少なからずいる。でも俺にとっては、自分で歌うよりも、今もグロウルしているDaveみたいなシンガーに参加してもらうほうが楽しいんだ。あるいは昔「Evelyn」という曲(2010年リリースの4thアルバム『Beyond Hell / Above Heaven』収録)でやったみたいに、NAPALM DEATHのBarney(Mark "Barney" Greenway/Vo)とかね。俺がインスピレーションを受けた人たちとやるほうが俺にとっては楽しい。彼らのような人たちが自分のアルバムに参加してくれるなんて本当に恵まれているよ。

-ゲスト・ヴォーカルと言えば、「Dagen Før」のStine Bramsenも素晴らしかったですね。こちらは、すごくポップな楽曲で、VOLBEATのポップ・サイドが前面に押し出された楽曲となっています。彼女にヴォーカルを依頼した経緯は? 彼女もデンマーク出身ですし、昔から知り合いだったりしたのでしょうか。

彼女はデンマークのALPHABEATというバンドでフロント・ウーマンをしていたんだ。......実は俺はあまりデンマークの音楽についていっていなくてね。正直な話、俺が聴くタイプの音楽じゃないんだ。

-なるほど。

デンマークのバンドで聴いているものもいくつかあるけど、その人たちは英語で歌っているんだ。MERCYFUL FATEやKING DIAMONDみたいなレジェンド的なアーティストだね。でも、デンマーク語で歌っているバンドを聴くことは滅多にないんだ。それでもStineは好きなデンマーク人シンガーのひとりだった。才能も声も素晴らしいと思う。いつかはデュエットしてみたいなと思っていたけど、しかるべきときにと考えていた。それで、このアルバムの曲を書き終えたときに、フィアンセにこう聞かれたんだ。"この前書いていたポップ・ソングはもう書き終わった? Stine Bramsenにあれに参加してもらえばいいんじゃない?"って。"あ......あれはまだ"と答えたら、"書き終えておいたほうがいいわよ、あの曲なら彼女にぴったりだから"と言われてね。"わかった。何ができるか考えてみるよ"と答えたよ。というのも、アルバムの曲の大半はもっとヘヴィで、それが俺の気分だったから、そうじゃない曲のことはあまり考えていなかったんだ。でもフィアンセは"絶対完成させたほうがいいわ。すごくいい曲だから"と。それで地下室に行ってギターを手に取って......30分で書き終えたよ。

-30分!

そう、30分で書けたんだよ! たまにそういう自然な流れでどんどん書けるときがあるんだ。すごくいいものができたからStineに電話して、この曲の話をしたらすごく喜んでくれた。彼女は素晴らしい仕事をしてくれたよ。しかもスタジオでもとても仕事が速かったね。とてもプロフェッショナルだった。

-フィアンセさんはあなたの音楽の素晴らしい批評家なのですね。このアルバムにポップな面をもたらすのに成功したわけで。

ヘヴィなものが何かとかよく知っているわけじゃないけどね(笑)。でも、この曲がアルバムに入ったのは間違いなく彼女のおかげだね。彼女が話題に出してくれなかったらアルバムにはきっと入っていなかっただろうから。

-全18曲というボリュームもすごいなと思いました。VOLBEATにしかできないような、幅広いチョイスのカバー曲も楽しめる充実した内容ですね。カバー曲はどのようにして選出したのですか?

さっきの話になるけど、俺は常にインスピレーションを得ているから自分で曲を書くネタに困ったことはないし、初めからいろんなタイプの音楽を聴いてきた。ただ、両親が50年代や60年代の音楽をよく聴いていたことが、VOLBEATの音楽の大きなインスピレーションになっていると思う。50年代や60年代の要素が聴いてとれるからね。同時に10代のころは......というかティーンになる前あたりにヘヴィ・メタル・シーンの存在を知ったんだ。好みの幅が広いから、VOLBEATの曲を書くときもそういうのをミックスすることが俺にとっては自然なことでね。すべて広く門戸を開けておきたいんだ。ルールに縛られるのは好きじゃない。もし音楽にルールがあったら、正直になったり反抗心を表現したりはできないだろうと思うしね。ルールなんてものはスキップして、ハートからストレートに出てくるものをやる。だから俺にとってはWOLFBRIGADEとRoy Orbisonの曲を同時にピックアップするのも極めて自然なことなんだ。俺が聴くのが好きな要素だし、どちらのスタイルからも影響を受けやすいからね。VOLBEATの音楽の一部分だってことなんだ。

-本当にそうですよね。特に、Roy Orbisonの「Domino」をTHE CRAMPSのバージョンでカバーするのが、VOLBEATらしいと思います。聴いた感じは、クセの強いTHE CRAMPSとオリジナルの中間くらいで、聴きやすいカバーになっているなと。

俺たちのバージョンは間違いなく、Roy OrbisonよりTHE CRAMPSから受けたインスピレーションのほうが強いね。Roy Orbisonも好きだけど、曲をピックアップしたときに頭にあったのがTHE CRAMPSだったんだ。あのクレイジーでイカれた歌い方!

-わかります。ばっちり再現してますよね(笑)。

サイコビリーでTHE CRAMPSときたらやっぱりイカれてクレイジーな感じじゃないと(笑)。あのヴォーカルを録るのは楽しかったよ。録ったのを聴くのも楽しかった(笑)。あの手の音楽を知らなくてあのカバーを聴いたことのある人たちは、"いったい何があった? 大丈夫か?"と心配してくれたけど(爆笑)。

-そして、日本盤にはボーナス・トラックとして、ライヴ・バージョンの「I Only Wanna Be With You」も収録予定です。こちらは、往年のポップス・ヒット・ソングということで、大合唱の臨場感も魅力的です。VOLBEATの来日公演も待ち望んでいる日本のファンにプレゼントですね。BAY CITY ROLLERSの曲として日本人にも親しみのある曲なんですよ。あの曲はどうやって選ばれたのでしょうか。たしか昔カバーしていた曲だと思いますが、今でもライヴでよくやっているのでしょうか。

そう、メドレーによく入れているよ。1stアルバムに収録されているんだ。あのときは1stアルバムだし、誰でも知っている曲を入れたかったというのがあってね。オリジナルはDUSTY SPRINGFIELDだけど、あまりにたくさんのアーティストがカバーしてきたから、オリジナルを知らない人も多いんだ。カバーするのがものすごく楽しい曲のひとつだったんだよね。誰でも知っているからノリやすいし、あんなヘヴィな音でカバーするのは意外性があるしね。VOLBEATのモットーとして"ルールは破るもの"というのがあるから、60年代の曲をカバーするなら、それがドゥーワップであろうとなんであろうとヘヴィでやろうと。結果、最高のものができた。今でもライヴでうまくいく曲のひとつだし、みんなが心から楽しんでくれる曲なんだ。

-ライヴと言えば9月からは約2年ぶりのツアーが実現しましたが、久々のツアーはいかがでしたか?

そう、アメリカに約3週間行ってきたんだ。またツアーに出られるのは嬉しかったね。もちろんまだ状況的に本調子ではない会場もあったけど、そういうところを盛り上げていくのも楽しかった。"これが俺たちの2年ぶりのショーだ!"ということを前面に出してね。何かうまくいかないことがあっても、理由がはっきりしているから仕方ないってわかるし(笑)。とにかく楽しんで様子を見ようという感じだった。最高の気分だったけど、アメリカの国自体はまだいろいろ制約もあって大変だったね。ヨーロッパみたいな状況に追いつくまでにはまだしばらくかかりそうだなという感じだった。来年また行くときにはもっと好転しているといいね。ショーは最高だったけど、ステージ以外はなかなかチャレンジングだったよ。移動とかね。

-来年にはスウェーデンのGHOSTとダブル・ヘッドライナーで、大規模なアリーナ・ツアーを予定しているとのことですが、こちらはどんなライヴになりそうですか?

もちろんとても楽しみだけど、ツアーとしては単純に"次のツアー"という感覚かな。もう何年もツアー生活をしているとそんな感じなんだ。でも当然、"次のツアー"があるのは素晴らしいことだよ。しかもGHOSTみたいなバンドと一緒なんてね! 俺たちはGHOSTが好きだし、ナイスなパッケージだと思うよ。VOLBEATとGHOSTのファンもこの組み合わせをとても楽しみにしてくれているんだ。何しろ超ユニークなバンドふたつで、どちらのサウンドもスペシャルだから、そのコンビネーションを気に入ってくれているみたいだ。オープニングはTWIN TEMPLEが務めてくれる。サタニック・ドゥーワップのグループだよ。楽しみだね。

-サタニック・ドゥーワップ!? そんなジャンルがあるんですね(笑)。

ぜひチェックすべきだよ! すごくいいよ。

-たしかTHE HUと一緒にツアーした日程もありましたよね。

ああ。彼らも素晴らしいバンドだったよ。オーディエンスもとても喜んでくれたんだ。

-ツアー相手だけをとってみてもVOLBEATの懐の広さがわかりますね。

そうだね。VOLBEATの場合はいろんな選択肢が考えられるところがいいと思う。俺たち自身がスタイル的にだいたいどことも合うからね。俺たちの曲が多彩だから、違うシーンにも合うんだ。

-それこそがVOLBEATの最高の個性だと思います。アメリカのあとにはきっとヨーロッパにも行くことになるでしょうから、少し先になってしまうかもしれませんが、ぜひ日本でのライヴも実現してください! 最後に日本のファンへメッセージをお願いします。

マネージメントには毎年、"いつまた日本に行けるんだ?"とせっついてるよ(笑)。日本には何度か行ったけど、毎回本当に楽しい時間を過ごしたし、ショーもいつも最高に盛り上がるんだ。単なるツーリストとしても大歓迎してもらえて、いつも素晴らしい経験ができている。ということで、毎年マネージメントにせっついているけど、行くからにはちゃんと理に適ったことにならないといけない。タイミングとかね。実現することを願っているし、実現に向けて関係者たちが動いてくれているのも知っているから、俺たちはじっと待っているんだ。......そうだ、日本のファンのみんな、ぜひVOLBEATのアルバムをたくさん買ってくれ! フィジカルとデジタル両方。VOLBEATの作品がたくさん売れれば、俺たちが日本に行かない手はなくなるからね(笑)! 今回もインタビューしてくれてありがとう! みんな元気で!