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INTERVIEW

TAKE NO BREAK

2020.04.07UPDATE

2020年04月号掲載

TAKE NO BREAK

Member:淳(Vo) シン・マナヒロ(Gt) 朋(Ba) デスヲ(Dr)

Interviewer:山口 哲生

今まで秘められていた自分の魅力に本人が気づき出したのかな


-(笑)シンさんが作曲された「Ultimate Bug」には、前作にも参加されていたGARIのYOW-ROW(Vo/Prog)さんが編曲で入られていますね。

淳:今回リードにする曲を「Ultimate Bug」か「Sing it」かで、かなり迷ったんですよ。俺は「Ultimate Bug」のほうが、TAKE NO BREAKが目指す音像に近くなるんじゃないかなと思ったんで、YOW-ROWさんに"デジタルな感じにアレンジしてほしいです"ってお願いをして。すごくパワーアップさせて返してくれたんですけど、結局どっちにするかもうわからなくなっちゃって、どっちもMVを撮ろうっていう話になっています。

朋:俺とシン君は「Sing it」を推してたんですよ。TAKE NO BREAKって今までちゃんとしたMVを撮ったことがなくて、ライヴ映像のリリック・ビデオとかだったんですよね。で、今回はMVを撮ろうという話になったときに、新体制になったし、一発目は名詞代わりになるかっこいい曲で映像を撮るとなると「Sing it」かなって。あと今のTAKE NO BREAKを表しているというか、進みたい方向が見えるのがこの曲かなと思ったので、こっちを推しました。

-どちらも大きな会場を揺らせる曲になっているから、たしかに迷いそうですね。シンさんとしては、「Ultimate Bug」はどういうものにしようと作り出したんですか?

シン・マナヒロ:僕は拳を上げたり、お客さんが歌ってくれたり、四つ打ちではないけど、飛び跳ねる感じの曲だったり......まぁ、言葉を選ばないで言うと、LINKIN PARKが好きなんですよ(笑)。

淳:ははははは(笑)。

シン・マナヒロ:だから、LINKIN PARKみたいな曲が欲しいなと思って作りました。

-たしかにその感じありますね。「Sing it」の幻想的な始まり方もいいですね。

シン・マナヒロ:歌を録っていくなかで、僕が淳君の歌にイメージしていた以外のこと──例えば、抜いて歌ったり、少しがなったり、いろいろと変えて歌おうと思えば歌えるんだっていうことに気づいたんですよね。だから、素直に歌うと"炎系"というか、"パワータイプ"になるんだけど、そういったものとは違うものをパっと聴いた人にわかりやすく体感してもらえるような曲を作ろうと思って書きました。

淳:そこは前作から模索しながらレコーディングやライヴをしていたんですけど、あまり明確にできなかったところなんですよね。そのなかでシン君が入ってきてくれて。シン君はもともとヴォーカリストなので、レコーディングのときにいろんなアドバイスをくれるんですよ。"もうちょっと抜いてから張ってみよう"とか、"張ってから抜いてみよう"とか、"ここはあまりビブラートを入れないようにしてみよう"とか。

-そのアドバイスがかなり大きかったと。

淳:どこの現場でもそうですけど、アドバイスを貰ったとしても、ヴォーカリストだった人の意見じゃないから、言われてもいまいち入ってこないというか、わからないときがあるんですよ。でも、やっぱり歌っている人から言われるとわかりやすいし、自分ではわからなかったところ、気づけなかった部分に気づけるようになったんですよね。だから、このアルバムで、前よりも明確に歌やニュアンスの違いを見せられるようになってきたと思います。

-ヴォーカリスト視点ならではのキャラクターの立たせ方というか。シンさんとしてはそこが明確に見えていたんですか?

シン・マナヒロ:そこはやりながらっていう感じではあったんですけど、僕は基本的に主旋律さえ良ければオケはどうでもいいっていう極論作家なんですよ。絶対に歌を一番いいものにしたいから、いつもオケのアレンジができたあとに、この中で歌を引き立たせるためにはどうすればいいか? っていうので、最後にメロディを入れていく作り方をしていて。だから、歌をどうすればいいのかは、だいぶわかった気がしましたね。

-面白い作り方ですね。デスヲさんとしては、今作の淳さんの、歌の変化をやはり感じましたか?

デスヲ:明らかに感じますよね。このアルバムにも入ってますけど、去年シングルとして出した「Infinity」のAメロのアプローチが、めっちゃ低いところから始まるんですよ。これってライヴではたぶん歌いにくいだろうなと思ったけど、そういうアプローチがどんどんできるようになってきたんですよね。そういう部分があることで当然成長するだろうし、表現の幅を広げようとしていることは端から見ていてもわかるし、それを引き出そうとしているんだろうなっていうのも理解できて。おそらくこれからライヴでやるとなると大変だろうなとは思うけれど、そこは非常にいいチャレンジだなとも思いますね。バンドとしてさらにもう一歩、ヴォーカリストとしてさらにもう一歩、レベルアップしていける曲が揃ったんじゃないかなと。

-朋さんも同じく変化を感じます?

朋:ひしひしと感じます。もともとTAKE NO BREAKは(淳が)喉をやってしまったところから始まったと言うとおかしいけど、スタート地点がそういうところからだったので、歌がめちゃくちゃ良くなってきているのが単純に嬉しいし、今まで秘められていた自分の魅力にも本人が気づき出したのかなって。その気づきってやっぱり大きいと思うから、ここからもっとすごいヴォーカリストになっていくんじゃないかっていうワクワクや、可能性を感じてます。

-そして、本作のリリース・ツアー(4月25日より開催する[TAKE NO BREAK 3rd Anniversary & アルバム発売記念Tour "A.G.A.G"])も決定しています。このアルバムを持ってのツアーとなると、これまでとは違ったものがよりわかりやすく提示できるものになりそうですが、どんなものにしたいですか?

淳:TAKE NO BREAKのライヴは一曲一曲をしっかりやっていくスタンスなんですよ。でも、例えば、この曲とこの曲の間でもうちょっとノらせるようなものがあってもいいんじゃないか? とか、そういうライヴでしか感じられないもの、見れない部分をもう少し増やしたほうがいいっていう話を今みんなでしていて。今回のツアーは部分的にですけど、そういうところもちょっと取り入れて見せられたらいいなと思ってますね。

朋:もうちょっとバンドとしてわかりやすいものというか、曲を知らずに観ても、楽しめる要素がもうちょっとあったらいいなと思ってるんですよ。

-デスヲさんがおっしゃっていた、ライヴのクオリティを上げていくというところに繋がることですね。

デスヲ:普通に曲しかやっていなくてもライヴだし、めっちゃ崩していろんなことをやるのもライヴじゃないですか。本当にセッションみたいな感じでライヴをやるようなバンドもいて。ただ、打ち込みが入っていると尺的な部分の変更はわりと難しいし、打ち込みが入っているバンドの課題ってそこだと思うんです。

-なるほど。

デスヲ:打ち込みが入っているとライヴの分数まで自由自在に操れるじゃないですか。"42分で終われ"って言われたらその時間通りに終わることもできるんだけど、じゃあ1時間のステージとして、残りの18分で何ができるのか? っていうのは非常に考えなければならない難しいところだなと。そういうところでX要素を入れてやっていくのが、たぶん本来のライヴではあるんでしょうけども。

-楽曲そのものというよりは、プラスアルファの部分をどうするかという。

デスヲ:実際の曲には入っていないけど、みんなでクラップしたり、掛け合いをしたりしていて、時間が決まっていないところでみんなが楽しめる何かがあればいいんだけど、じゃあその中でいったい何が一番楽しいのか? っていうのは、正直僕の中ではまだ見えてない。

朋:まぁ、このアルバムを主軸にしたツアーになるので、そこからまた進化していけたらいいなとは思ってますね。

-そうですよね。今回入ってくる要素でまたできることが増えそうですし。

デスヲ:こうやっていつも戻ってくるんですよ。"まぁいいか、ライヴで曲の演奏がちゃんとできれば!"っていう(笑)。

一同:ははははは(笑)!

-(笑)まぁ、いい曲をしっかりやるというのが一番大事なことではありますから。

シン・マナヒロ:完全再現ライヴとかもありますからね。

デスヲ:そうそう。人によっても違うんですよね。CD通りきっちりやりたい人もいれば、曲によってはめっちゃ崩したい人もいるから、どれが正解っていうのもないとは思っていて......まぁ、そこはもうちょっと話します(笑)。

淳:そうしましょう(笑)。

朋:下手なこと言うとやらないといけなくなっちゃうから(笑)。

シン・マナヒロ:僕が加入させてもらってから4本目のツアーになるんですけど、回数を重ねるごとにメンバー間のモチベーションって言えばいいのかな。パートナーシップ感というか、リレーションシップ感というか。

淳:各地で飲んでグルーヴを高めてきたからね。

シン・マナヒロ:そうそう。それもあって、そういう部分がすごく高まっているんじゃないかなって。そういうのってステージ上に意外と出るじゃないですか。だから、かなりいいメンバーだし、いいバンドなんだなって感じて、お客さんも楽しんでもらえるようなツアーになると信じてます。