INTERVIEW
Jared James Nichols
2019.11.29UPDATE
2019年11月号掲載
Interviewer:荒金 良介
USブルース・ロック・ギタリスト、Jared James NicholsがBUCKCHERRYのオープニング・アクトとして初来日公演を果たした。そこで彼のパワフルな歌声とギター・プレイに魅了された人も多かったに違いない。ブルースを通過しながらも、ハード・ロックの熱きエナジーに満ちた音色は最高以外の何者でもなかった。今回は、Epiphoneから彼の最新シグネチャー・モデル[Jared James Nichols"Old Glory"Les Paul Custom Outfit]が発売中ということもあり、Jared本人の音楽ルーツをひもときつつ、最新モデルの魅力について大いに語ってもらった。
-先日はBUCKCHERRYのオープニング・アクトとして初来日公演を行いましたよね。僕も観させてもらいましたが、とてもパワフル且つエネルギッシュなステージングで引き込まれました。まずはライヴの感触から教えてもらえますか?
アメイジング! 素晴らしかったよ。最初は日本のファンからどんな反応を貰えるのか、まったくわからなくてね。だけど、みんな温かくて優しかったし、僕自身も興奮したからさ。またいつか再来日できることを願っているよ。
-Jaredさんはライヴ中も観客を積極的に煽ってましたが、あれもよくやることなんですか?
時々かな。今回は初めてやる場所だし、人を惹きつけるために自分の思いをちゃんと伝えたかったんだ。日本のロック・ファンは最高だったよ!
-来日前の日本のイメージはどんなものでしたか?
日本はレコードを通して知り得た情報しか持ち合せてないんだ。Ozzy Osbourneの『Live At Budokan』、CHEAP TRICKの『At Budokan』、SCORPIONSの『Tokyo Tapes』とかね。日本はロックやギターに関して興味を持っている人が多いと聞いていたけど、ライヴでもまったくその通りの反応を貰えたんじゃないかな。
-なるほど。DEEP PURPLEの『Made In Japan』なども聴いてました?
あぁ、もちろんさ! まだ若かった頃にLYNYRD SKYNYRDの『Street Survivors』、DEEP PURPLEの『Made In Japan』の、日本で作られたバージョンをアメリカで買ったんだ。ガレージ・セールみたいな場所で売っていたレコードなんだけど、未だにそれは大切に持っているよ。
-Jaredさんはかなりの音楽好きなんですね。
あぁ。LOVE、LOVE、LOVEさ!
-(笑)ライヴではMOUNTAINの「Mississippi Queen」を披露してましたよね。ほかにもBLACK SABBATHの「N.I.B.」、Ted Nugent(ex-THE AMBOY DUKES)の「Cat Scratch Fever」のカバーを披露している動画を観ましたが、カバー曲はよく取り上げるんですか?
ひとつのショーで1曲カバーを披露することにしているんだ。初めて観る人の中には"誰だ、こいつは?"と思う人もいるだろうからね。みんなが知ってる曲をすると、盛り上がってくれるし、ライヴで親密な関係性を築けるんだ。
-Jaredさんがレスポールを持ち、髪を振り乱して弾く姿は若い頃のZakk Wylde(BLACK LABEL SOCIETY/OZZY OSBOURNE BAND)を彷彿とさせました。
あぁ、そうだね(笑)。Zakk Wyldeとは親しい友達なんだ。
-そうなんですね! そういえば、Zakkモデルのレスポールを動画でも弾いてましたよね?
あのギターはZakk本人から貰ったものなんだ。彼はとてもいいやつだよ。
-彼から受けた音楽的影響というと?
ギター・プレイが攻撃的でタフだし、音もダイレクトで、顔面をパンチされているような、あのストレートさには大きな影響を受けているよ。もちろんブルースやクラシック・ロックも好きだけど、Zakkのようなヘヴィな音楽も大好きなんだ。
-実際のライヴを観ても、ブルースのフィーリングはありつつも、ハード・ロックの熱量のほうが上回った激しいパフォーマンスでした。
そうだね。エネルギーに満ち溢れた攻撃的なプレイは常に心掛けているつもりだから。
-ちなみにZakkの音楽に初めて触れたのは、やはりOzzy Osbourneバンド時代の作品ですか?
あぁ。『No Rest For The Wicked』、『No More Tears』が最初だね。
-Zakkのギター・プレイは現在のBLACK LABEL SOCIETYと、Ozzy Osbourneバンド時代とどちらが好きですか?
実は彼がやっていたPRIDE & GLORYの『Pride & Glory』が好きなんだ。
-PRIDE & GLORYですか! Zakk Wyldeが初めて作ったソロ・アルバムですよね。あの作品のどこがお気に入りなんですか?
サザン・ロックとハード・ロックを融合させているところさ。
-あの作品はそのバランス感覚が抜群で、Zakkの持ち味がとてもよく発揮されてますよね。
特に自分が若い頃に出会った作品だからね。Randy Rhoads(QUIET RIOT)ももちろん素晴らしいギタリストだけど、Zakk、Tony Iommi(BLACK SABBATH)は特別な存在なんだ。
-そもそもギターを弾き始めたきっかけは?
ギターは15歳で始めたんだ。子供の頃は誰しもが勉強、スポーツ、音楽のどれかに熱中すると思うんだけど、エレキ・ギターを見たときに"これだ!"とピンと来て、それから友達とガレージで演奏するようになったわけさ。ギターに触れて、2週間後にはステージに立ったよ。すごく怖かったし、神経質になったものさ。そこで簡単なブルースを弾いたときにみんなが拍手してくれたから、ホッと安堵したことを覚えているよ。あのステージの感触は今でも忘れられなくてね。
-最初に聴いた音楽はどのへんになるんですか?
両親が聴いていたカントリー・ミュージックに触れたのが最初かな。Bob Dylan、Neil Young、Janis Joplin、Aretha Franklinなどが車の中でも流れていたからね。あと、Jimi Hendrixもかかっていたかな。それから自分でもクラシック・ロックが流れるラジオを聴くようになり、LED ZEPPELIN、PINK FLOYD、THE WHOとかに夢中になったんだ。それに加えて、当時はALICE IN CHAINS、STONE TEMPLE PILOTS、SOUNDGARDEN、PANTERA、NIRVANA、METALLICA、MEGADETHなどが同時に流れてて、それらの音楽に共通していたのは、すべてヘヴィなギター・サウンドが入っていたということさ。
-あなたが一番好きなギタリストというと?
初めて好きになったのはJimmy Pageなんだ。LED ZEPPELINのDVDを観て、彼のギター・ソロには本当に驚いてしまった。それからTony Iommi、David Gilmore(PINK FLOYD)、Pete Townshend(THE WHO)などに夢中になったんだ。Jimi Hendrixを経て、Stevie Ray Vaughanも好きになったね。
-あなたが好きなLED ZEPPELINの作品を挙げると?
どれかひとつの作品を選ぶのはとても難しいね。何せ彼らの作品は全部違うから。でもあえて選ぶなら『Led Zeppelin II』かな。
-ブルースとハード・ロックが拮抗したかっこ良さで言えば『Led Zeppelin II』がダントツですよね。あなたの好みがよくわかります(笑)。
『Led Zeppelin』はとてもブルージーだし、『Led Zeppelin II』はヘヴィだからね。『Led Zeppelin III』になるとまた作風が変わって、アコースティックを導入している。『Led Zeppelin IV』に関しては......もうエピックだよ!
-僕は『Presence』が一番好きな作品です。
もちろんそれもいいアルバムだよ! 『Houses Of The Holy』もいいしね。
-ポップでキャッチーですよね。
あぁ、ちょっと変わったレコードだよね(笑)。あと、生まれ故郷でStevie Ray Vaughanが亡くなったことが僕には大きくてね。15、16歳の頃にStevie Ray Vaughanが最後にプレイした会場で、ひとりでギターを弾いたことがあるんだけど、それも忘れられない思い出だよ。