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INTERVIEW

Emily Sugar

2019.05.31UPDATE

Emily Sugar

Member:Shown(Vo/Gt) Mongol(Ba/Cho) Amari(Dr)

Interviewer:山口 智男

-何曲か候補曲がある中から選んだのでしょうか?

Shown:原案は何個かあったんですよ。っていうのは、結構迷走した時期もあって、EDMみたいな曲をやろうとかって......主に僕が言ってたんですけど(笑)。

Amari:そういう意味では、「wolfgang」は難産だったかもしれないですね。ぽーんと出てきたわけではないから。

Shown:ただ、何曲か作ってみようっていうよりは、1曲決めて、それをブラッシュアップすることに集中してたと思います。そこに時間を割こうという感じでした。

-どんなふうに作っていったんですか?

Shown:最初に僕が作った僕が原案では、もっとBPMが速くて、ギターもピロピロしてたんですよ。それを持っていったときに、Amariが"これをこのままやっても、今までと変わらないんじゃないか"って。たしかにそうかもって思ってはいたんですけど、ちょうど僕がスランプで、やりたいことはわかってきたけどそれを形にするパワーがなかったこともあって。で、Amariにいろいろアドバイスを求めたところ、それに応えるなかでAmariも自分がやりたいことがどんどん見えてきて、導いてくれたんですよね。そこからHiiro(Gt)とMongolが"じゃあ、こういう音を乗せたらどうだろう?"ってアイディアを加えていってくれて。そのひとつひとつに対して、"面白いね"と思えたんです。

-Amariさんは、最初に曲を聴いたとき、どうしていったらいいと考えたんですか?

Amari:Emily Sugarに足りないものってなんだろうって考えたときに、世界観なんじゃないかって思って。じゃあ、ダークな感じにして、シーケンスも多めに入れつつ世界観を出してみようって。結果、うまい具合に融合はできたと思います。もちろん、もっと追求していかなきゃいけないとは思うんですけど、最初にしては結構いいものになったんじゃないかな。

-そのときにはすでに歌詞はあったんでしょうか?

Shown:サビだけちょっと固まっていて、それ以外は何も考えてなかったです。正直、"この曲はどんな方向に行くんだろう?"って思ってたんですよ。今までは自分の中にやりたいことがまずあって、そこからの歌詞だったんですけど、今回は曲が固まってから考えました。

-曲からインスピレーションを貰ったわけですね。「wolfgang」にはどんなメッセージが込められているんですか?

Shown:今までは応援歌というか、聴いてくれる人たちの背中を押したいというのがあったんですけど、今回はもっと現実的というか。"頑張れ"と言われても頑張れないときは頑張れないし、そういう絶望的な状況で、失うものが何もないからこそ、ここからがスタートだって思えるんじゃないかっていう。だから、視点も今までとちょっと違いますね。つらいからこそ逆にできることがあるんじゃないかというメッセージになっています。友達に言われたんですよ。"頑張れない状態の人に「頑張れ」って言っても響かないよ"って。それを聞いたとき、"あぁ、そうだな"って思って、そういう視点で書いたら面白いんじゃないか、でも前向きに進みたいという気持ちはどこかで表現できないかなって、ちょうど感じていたタイミングだったんです。

-"wolfgang"ってドイツ語ですよね。

Shown:そうですね。人の名前にも多いし、もしかしたら僕の記憶違いかもしれないですけど、狼の道って意味もあるらしいです。"Sense8"っていう、"NETFLIX"でやっていたドラマが好きで、それのキャラクターの名前なんですよ。ウォルフガング・ボグダノフっていう、かなり絶望的なキャラなんですけど、すごく前向きで。でも、誰かを応援するタイプではなくて、全部失っているからこそ進むんだっていう。それが僕がちょうど書きたかったものと重なったので、曲のタイトルとして借りました。

-この曲の聴きどころは?

Shown:Graupelというメタルコア・バンドのヴォーカル、sota君にフィーチャリングしてもらってるんですけど、そこが僕らとしては聴いてほしいところではありますね。僕がsota君と一緒に歌っているパートと、彼のソロのパートがあるんですけど、そこはギリギリまで考えました。今までもフィーチャリングってあったんですけど、今回はどうしたら彼のヴォーカルを一番かっこ良く聴いてもらえるか意識したんです。

Mongol:ブレイクダウン・パートは、音を伸ばすのか、伸ばさないのか、伸ばすならどれだけ伸ばすのか、それとも切るのか、切らないのかをとことん考えたうえで、"こういう低音を入れたいんだけど"っていう話をして。音源になったとき、その低音がどこまで聴こえるのかわからないんですけど、感覚として重みは伝わるかなと思ったのでこだわりました。

-フィーチャリングと言っても、決してカジュアルなノリのものではないんですね?

Shown:そうですね。MongolとAmariは演奏面で、僕は歌の譜割をかなり意識しました。

Amari:めちゃめちゃ大変そうだったよね。

Shown:レコーディングの直前まで"やっぱりこっちの方がいいんじゃないか?"って思って変えたりしてましたからね。

-sotaさんに参加してもらおうっていうのは、どんなきっかけで?

Shown:「wolfgang」を作っていくなかで、だんだんヘヴィになっていったんですよ。そこで、ここまでヘヴィにしたなら、そのシーンで活躍している人と一緒にやってみたいと思って。そのシーンの人たちとコネクションを持っているHiiroがsota君と繋がりがあるって言うから、僕ももともとGraupelはかっこいいと思っていたので、"ぜひぜひ"ということでお願いしたら、びっくりするようなことがあって。

Amari:あれはね、びっくりだよね(笑)。

Shown:sota君と僕はレコーディングのときに"初めまして"だったんですよ。だから最初はお互いに緊張していたんですけど、レコーディングが終わったあと、みんなで飲みにいったところで打ち解けて。そしたら、"この喋り方、聞いたことあるな。あれ? ......sotaって、あのsota?"ってなって。実は小学生の頃に仲の良かった友達だったという(笑)。

-そうなんだ!

Shown:14年ぶりに再会しました。

Amari:すごいよね。

Shown:中学校が別々になっちゃったから、それ以来全然会ってなかったんですよ。なんでレコーディングのときに気づかなかったんだろうって。

Amari:ふたりともめっちゃ緊張してたからね。

Shown:当時は塾が一緒だったんですけど、音楽の話なんて一切しなかったし、まさかこんなふうに再会するとは思いませんでしたね。こんなに近い界隈にいたっていうのが面白かったです。

-じゃあ、余計に意味のあるフィーチャリングになりましたね。

Shown:かなり思い入れのある曲になりました。

-そんなsotaさんのグロウル、スクリームを始め、Emily Sugarとしてはヘヴィな魅力を打ち出した曲になったと思うのですが、ただヘヴィなだけではなく、静と動のコントラストがあるところも聴きどころですね。

Shown:僕は"これがやりたい、これもやりたい"って詰め込むタイプなんですけど、Amariは引き算がうまくて、それがかなり生かされた曲だと思います。今までで一番引き算されている。それが静と動の静に繋がっていると思います。

Amari:それに加えて、似たようなパートを作らない方がいいと思って、ドラムは各パート、ちょっとずつ違うことをやっているんですよ。そんなところにも耳を傾けてほしいですね。

-Mongolさんはベーシストとして、どんなアプローチを?

Mongol:今回の曲は激しいんですけど、ところどころでHiiroのリード・ギターが今までのピロピロした感じじゃなくて、浮遊感がある、例えば付点8分のディレイを使ったフレーズを入れたりしているので、そこをどう埋めるか、逆に、抜くところはどう抜くか、バランスを考えながら作っていきました。

-そんなところも含め、新しい魅力を打ち出した曲になったわけですね。

Shown:そうですね。さらに多くの人たちに気に入ってもらえるんじゃないかな。

-そんな自信は、さらに新しい挑戦に繋がっていきそうですね?

Shown:これまでは全力で演奏することが多かったから、聴き苦しいときもあったんじゃないかと思うんですよ。聴き苦しいというか、僕らの曲をすごく聴きたいときもあれば、"今はちょっと違うな"ってときもあったんじゃないかなって感じていて。これからは、曲がどんなにライトになろうと、ヘヴィになろうと、常に聴けるというか、常にそばにいられるっていうところは追求していきたい。それは今回の曲を作るなかで考えるようになりましたね。