INTERVIEW
Emily Sugar
2018.05.31UPDATE
Member:Shown(Vo/Gt) Hiiro(Gt) Mongol(Ba/Cho) Amari(Dr)
Interviewer:荒金 良介
東京発のエモーショナル・ロック・バンド Emily Sugarが、4月、5月と2ヶ月連続で配信シングル「Hitori」、「Chapter Ⅱ」をリリース! Shown以外のメンバーを一新し、4人体制で動き始めた彼ら。2000年代初頭のエモを通過し、スクリーモの要素を取り込みながら、ポピュラリティ抜群のサウンドを紡ぎ出すセンスは、要注目の逸材と言っていいだろう。昨年9月の配信音源「J」に続く今回の新曲2曲は、どちらも英語と日本語を巧みに織り交ぜながら、色合いをはっきり分けた秀逸ナンバーで勝負している。メンバー全員に話を訊いた。
-1stフル・アルバム『Feel U』(2016年リリース)発表以降、昨年にShownさん以外のメンバーを一新して4人体制で動き始めましたよね?
Shown:そうですね。前の3人とはケンカではなく、この先のヴィジョンを話したときにそれぞれ違ったので、一緒にやれないということになったんです。今も仲はいいんですけどね。
Hiiro:うん、目指すところが違っていたという話を聞きました。
Shown:解散しようという話も出たけど、僕はまだまだやりたい曲が頭の中にあったので、それを形にしないとやめられないなと思っていたんです。去年2月にサバプロ(Survive Said The Prophet)とやった千葉公演(2017年2月18日に千葉LOOKにて開催された"FIXED TOUR 2016-2017")が前のメンバーとの最後のライヴで、それ以降はとりあえずメンバーを探そうと。
-なるほど。
Shown:それで知人にMongolを紹介してもらって、当時このふたり(Mongol、Amari)はLAST CALIXというバンドをやっていたんですけど、少し前に解散したみたいだから、一緒にやってみたいなと思ったんです。(Mongolの)見た目は怖かったけど、繊細で優しいから、気も合いそうだなと。
Mongol:俺がドラム(Amari)とは高校からずっと一緒だから、こいつがいいって言いました。
Amari:ほんとは就職しようと思っていたけど、(このバンドに)引っ張られました。
Shown:電話で口説きまくったら"俺もやります!"って。
-Hiiroさんは最後に加入して?
Hiiro:はい。僕はハードコア・バンドを立ち上げようとしてて――今もそのバンドをやっているんですけど、地元が一緒だったので共通の知人を通じて知り合いました。
-地元はどこになるんですか?
Hiiro:千葉の柏なんですよ。
-伝説のハードコア・バンド、NUNCHAKUを生んだ柏ですね。
Hiiro:そうです! 今はBLINDSIDEさんとか。
Shown:kamomekamome先輩も大好きなんですよ。
-柏は個性的なバンドを輩出してますからね、MAGNET COATINGとか。
Shown:うわー、やばい! DEEPSLAUTERもそうですね。
Hiiro:僕はお客さんとして、前のメンバーのときも(Emily Sugarの)ライヴをほぼ観てたんですよ。Shownはすごいなと思っていたけど、急に"気分転換でうちでギターやらない?"とLINEが来て。1ヶ月後にライヴが決まっているんだけど、5曲だけ覚えてくれない? って(笑)。それから初めてメンバー全員とスタジオに入りました。
Shown:みんなパーフェクトで、特に彼(Hiiro)は僕のバンドのCDも買ってコピーしていたので、話が早くて。
-Hiiroさんはハードコア・バンドを立ち上げようと思ったと言ってましたが、Emily Sugarとはまた音楽性が違いますよね?
Hiiro:もともと音楽が好きで、最初は鉄アレイ、THE STAR CLUB、THE TIMERSを聴いて育ったんですよ。それからCOMEBACK KIDとか海外のハードコアも好きになって、中学生ぐらいにUVERworld、ONE OK ROCKとか日本のロックを知って。ほかにELLEGARDENや、SAOSINとか2000年代のエモにハマって。Emily Sugarを聴いたときも、エモの要素があったので大好きになったんですよ。
-Emily Sugarの音楽自体はエモ、スクリーモを通過しているんですよね?
Shown:はい。SAOSIN、CHIODOS、FINCH、STORY OF THE YEARとか、メンバー全員が2000年代初頭のエモ最強! みたいな感じで共通してますからね。
Amari:SAOSINがどストライクだから、このバンドにもすんなり入れました。
Mongol:僕もSAOSINは大好きなんですけど、最初はONE OK ROCKを聴いて、それから漫画"デトロイト・メタル・シティ"を読んで、"デスメタルってなんぞや?"って思って。NILEという海外のデスメタル・バンドを聴いたり、ニコ動で"デスメタル"と検索したら、SLIPKNOTの「Before I Forget」が出てきて、みんな仮面を被ってるし"なんじゃこのバンドは!"ってびっくりしたりして。高校のころにはAmariからFACTを教えてもらったりもしました。あと、久石 譲とかジブリのBGM集を最近は聴いてます。
Shown:久石さんはロックなコード進行もありますからね。
Hiiro:俺とAmariが一番好み合うんじゃないかな。ポスト・ロック、エレクトロニカも趣味が一緒で、小瀬村 晶、toe、envyとかそのへんも好きですね。
-そういう意味では集まるべくして集まった4人という感じですね。Shownさんは、バンドを引っ張っていくうえで意識の変化などありましたか?
Shown:前は"楽しめればいいじゃん"って、初期衝動が強かったんですけど。メンバーが離れたこともあり、すごく考えるようになったんですよ。自分はなぜこういう曲をやりたいのかなって。今回の新曲2曲もそうですけど、新体制を発表した直後の去年9月に「J」(配信限定シングル)という曲を発表して、そこで歌詞がダイレクトになったんですよ。好きな人に向けて"好きだ!"とストレートに伝えるような曲なので、伝え方は変わりました。
-なぜそういうふうに考え方が変わったんでしょう?
Shown:メンバーが抜けてひとりになったときに、なぜ自分はバンドをやりたいのかなって考えたんです。つらいことばかりで逃げた方が楽じゃないかと思ったときに、自分がバンドをやるきっかけとして、大好きだったバンドの曲を聴いて、すごく励まされた経験があったんですよね。背中を押してもらっていたんだなと気づいたときに、自分が背中を押す存在にならなきゃいけないじゃんって思って。そのときに伝え方を変えないと、誰の背中も押せないなと。
-それは劇的な変化ですね。現在の4人編成になり、サウンド面で変わったところは?
Mongol:俺は今までのEmily Sugarっぽくない新しい要素が増えたかなと思います。
Hiiro:「J」を作ったときもShownがサビを持ってきて、適当に合わせたらできちゃったんですよ(笑)。そこは聴いてきた音楽のバックグラウンドが近いのと、個々の手癖がいい形で出たのかなと。
Mongol:「J」のラスサビの表に変わるパートとか、Shownがスタジオでこういう感じにと言いかけたときに、"これでしょ!"とAmariがその場で叩いて、"それそれ!"って。
Shown:以前と変わったところで言えば、制作過程ですね。前は僕がアイディアを出したら、それをそのまま形にする感じでしたけど。今はそのアイディアをメンバーひとりひとりが飲み込んで、自分で何ができるのかを考えてからアウトプットしているんですよ。だから、それぞれの個性が曲に出ているかなと思います。
Hiiro:今は誰かが持ってきたアイディアをジャムで作ることが多いですね。