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INTERVIEW

Tom Morello

2018.11.15UPDATE

2018年11月号掲載

Tom Morello

Interviewer:山本 真由

伝説的バンド RAGE AGAINST THE MACHINE、AUDIOSLAVE、そして現在はPROPHETS OF RAGEで活躍する天才ギタリスト Tom Morelloが、初のソロ名義でのアルバム『The Atlas Underground』をリリースする。これまでにもTHE NIGHTWATCHMAN名義でソロ作をリリースしてはいるが、THE NIGHTWATCHMANでのアコースティック・サウンドを基調としたアプローチとはまったく異なり、今作ではバキバキのEDMサウンドとのコラボレーションにチャレンジしている。コラボ・アーティストは、ロック・シーンからMarcus Mumford(MUMFORD & SONS)やTim McIlrath(RISE AGAINST)、ダンス・シーンからSteve AokiやKNIFE PARTY、そしてヒップホップ・シーンからはRZA & GZA(WU-TANG CLAN)やBIG BOIといった錚々たるメンツが揃い、それぞれの個性がTomのギターとぶつかり合った、新しいロック・サウンドを展開している。今回のインタビューではそんな、まさに2018年の今、Tom Morelloだからこそ作り上げられた今作の成り立ちについて、Tom本人に語ってもらった。


とにかくラウドなアルバムを作りたかった。モッシュ・ピットとダンス・フロアの双方を熱狂の渦に巻き込むようなアルバムをね


-今年の春には、PROPHETS OF RAGEのメンバーとして来日し、"Vans Warped Tour Japan 2018 presented by XFLAG"(3月31日、4月1日に幕張メッセ 9~11ホールにて開催)への出演と単独公演(3月30日になんばHatch、4月3日にZepp Nagoyaにて開催)も開催していますが、来日公演はいかがでしたか?

春に行ったPROPHETS OF RAGEのライヴは、今までやってきた日本でのライヴの中で最も気に入っているもののひとつだよ。昔は、日本のファンは"ライヴで大人しい"という定評があったけれど、前回のライヴではそんなことは一切なかったね。PROPHETS OF RAGEの単独(日本)公演は、世界中のどこのファンにも引けを取らないほどの熱狂ぶりだった。

-PROPHETS OF RAGEとしても新曲を発表するなど多忙ななか、どうして今ソロ・アルバムを制作しようと思ったのでしょうか?

実は何年も前からBruce Springsteen(※Tomはギタリストとしてライヴや作品のレコーディングに参加)やPROPHETS OF RAGEのライヴを挟みながら密かに『The Atlas Underground』のアルバム制作に取り掛かっていたんだ。『The Atlas Underground』で聴けるような新しいジャンルのロックンロールを作り出すことを自分の使命としてここ数年やってきたんだよ。俺がマーシャルで鳴らすリフとクレイジーな音をドデカいEDM的なサビと掛け合わせたかった。多様なアーティストが企む音の陰謀で、未来に向かっているギター・アルバムを作りたかったんだ。

-これまでにもTHE NIGHTWATCHMANとしてソロで活動をしていますが、アコースティック・サウンドが主体だったTHE NIGHTWATCHMANとは、今回はまったく違うアプローチとなりましたね。なぜ今回は、ここまでダンス・ミュージックやヒップホップをフィーチャーした音楽性となったのでしょうか?

とにかくラウドなアルバムを作りたかったんだ。モッシュ・ピットとダンス・フロアの双方を熱狂の渦に巻き込むようなアルバムをね。WU-TANG CLANからMarcus Mumford(MUMFORD & SONS)、BASSNECTARからKILLER MIKEまでに至る多様なコラボレーションを実現させることによって、2018年らしい、堂々としたロックンロール・アルバムを作り上げたんだ。

-そんなクロスオーバー・ロックが実現した今作には、ロック・シーンのみならず、DJやラッパーといった、ヒップホップ/エレクトロ・アクトなど、様々なジャンルのアーティストが参加していますが、どういう基準でゲスト・アーティストを選んでいるのでしょうか?

このアルバムには、多様なジャンル、人種、年代、そして性別のアーティストが参加していて、それをこの分裂している時代に実現させたことにだけでも意義があると思う。WU-TANG CLANやMarcus Mumfordなどは古くからの友人。K.FlayやVic Mensaなどは新しくできた友達だ。このレコードを導いたテーマは、"社会正義的なゴースト・ストーリー"。つまり過去のヒーローや殉教者が、現代で抱える問題に助言することによって、人道的な未来のために新しい世代に火をつける役割を果たしてくれることを願っているんだよ。

-こういうラインナップを見ると、ダンス・ミュージックには普段から親しんでいるのかなと思ったのですが、実際はいかがですか?

"いいな"と思えるEDMシーンのアーティストを発見したのはごく最近なんだ。何年も前に、仲良かったメタルの友達からKNIFE PARTYの存在を教えてもらって。彼らの音楽には俺が大好きなロックンロールにあるのと同じ攻撃性、グルーヴ、緊迫感と開放感があった。そこからヘヴィなギターを駆使したエレクトロニックの新ジャンル開拓を思いついたんだよ。

-"The Atlas Underground"と題された今作のテーマやタイトルの示唆するものについて教えていただけますか?

"Atlas"とは、天空を双肩に担いだ神話上の人物アトラスのことだ。"Underground"は、(社会的な)不安を扇動する秘密組織。それらをふたつ合わせて、俺がやろうとしていることをうまく表現しているんだ。

-アルバムのアートワークもまた印象的ですね。ギリシャ神話のアトラスの力強いイメージとも重なりますが、なぜ"羽の生えたカバ"というデザインになったのでしょうか? また、このアートワークはどなたが手掛けたのですか?

アートワークはJonny Joyceが手掛けた。重々しい要素、そして重力を感じさせながら美しく思えたアイディアを俺が提案したんだ。それに、予期せぬ要素の組み合わせってアートとして非常にパワフルだろう? まさに俺が音楽でやろうとしていることそのものだ。