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INTERVIEW

Mardelas

2018.05.11UPDATE

2018年05月号掲載

Mardelas

メンバー:蛇石 マリナ(Vo) 及川 樹京(Gt) 本石 久幸(Ba) 弓田“HOT”秀明(Dr)

インタビュアー:杉江 由紀

-なるほど。一方、ギターの及川さんは『Mardelas Ⅲ』の中で"歌舞伎町No.1ホスト"というポジションになるそうですが......昨今は実際の歌舞伎町でもバンドマン風のホストの素が数多く見受けられるせいか、ある意味では存在感に違和感がまったくありません。なんともこのキャスティングも絶妙だと感じます。

蛇石:彼は、そもそも普段からコレ系のファッションですからねぇ。これは素のキャラを存分に生かした設定なんですよ(笑)。

及川:No.1ホストにしてはそろそろイイ歳なので"違うだろ"っていうところはあるんですけど(苦笑)、でも自分からすると自然に演じられるキャラではありますね。

-資料としていただいたキャラクター・プロフィールには、"女遊びが激しく敵も多い"ですとか"幼いころに母に捨てられた経験により女性不信"との記述がありますけれど、そこも現実のご自身に当てはまるところがあるわけですか?

及川:どうですかね? とりあえず、俺に唯一ダメなところがあるとすると、そこは該当するところかもしれません。基本マジメだし、ギターの練習もしっかりするんですよ。ただ、マジメに頑張る代わりにそこで鬱積したものをつい女性に向けて発散してしまい、それによってトラブルを生じて多少ゴタつくということは時々あります(笑)。

-それも惹きつけられる女性がいて初めて起こるトラブルですから、及川さんの持つ魅力ゆえということなのでしょう。華やかなキャラ同様に、今作でのギター・プレイは全編にわたりヘヴィでありながらも流麗にして婉麗なフレーズの連続ですよね。キャラの醸し出す印象と、放たれる音像の質感が完全に一致しているように感じます。

及川:それは間違いなく自分でも意識しているところですね。自分はヴォーカルとイーブンなギタリストであるべき存在である、ということには以前からずっとこだわってきているんですよ。曲もほぼ半分くらい書いていますし、ギター・ソロについても"歌う"のと同じようなスタンスで弾くことを大事にしているんです。

-スター性のあるギタリストの存在は、つくづくバンドの魅力を底上げしますね。

及川:単にフレーズを弾くだけならそこそこの技術があるギタリストであれば誰でもできることだと思うんですけど、そこに+αして自分にしか出せないニュアンスでどれだけ弾くことができるか、という点を重視しています。特に、ウチの場合はヴォーカルが表現力に長けた歌を歌える人間だと僕は思っているので、その歌のあとに続くギター・ソロが普通にキッチリと音を並べただけのものでは、どうしてもギャップが生まれてしまいますからね。あくまでも、そこは歌とイーブンにわたり合えるようなギター・ソロになっている必要があるんですよ。僕自身は歌がヘタなので歌いませんけど、歌そのものは大好きなので、常に歌心を持ったギター・プレイを心掛けているんです。

-なお、ここまでヴォーカル、ベース、ギターときましたので最後はドラマー、弓田さんについてもお話をうかがいましょう。『Mardelas Ⅲ』の中では、"歌舞伎町で古くから親しまれているラーメン屋の息子だが、店を継ぎたくない想いを持っていたなかで女装癖に目覚めオカマ・バー経営を開始した"という、最も難しそうな役どころを任されているのが弓田さんになりますが、ご自身はこの希有で独特なキャラクター設定をどのように解釈していらっしゃるのでしょうか。

蛇石:まぁ、これはなかなかの役どころではありますよね(笑)。

本石:うん、相当ブッ飛んでる(笑)。

及川:でも、実際も設定どおりですもんね?

弓田:いやぁー、自分ではまったくそんなことは意識していないんですけどね。でも、どうやらお酒が入るとしゃべり方が急にオネェっぽくなるときがたまーにあるらしいんですよ。"でしょ? そうなのよぉー"みたいな感じで。

及川:そうそう。なってる、なってる!

-つまり、ポテンシャルはお持ちであったと(笑)。

弓田:不思議ですよね、至ってノーマルなんですけど。とはいえ、設定としてはすごく面白いので今回はそれでいこう! ということになりました。あと、ラーメン屋の息子というのも当たらずとも遠からずで、高校生のときには3年間ずっとラーメン屋さんでバイトをしていたことがあるんですよ。そういう意味では、僕もこれはなるべくしてなったキャラクターだと言えるような気がします。

-かくして、『Mardelas Ⅲ』は4人4様の際立ったキャラクターたちが繰り広げる劇的な世界が主軸となったアルバムとして仕上がったわけですが、コンセプトの土台を作られた蛇石さんとしては、この作品を通して聴き手に何を伝えたかったのでしょうか。

蛇石:これは何も極妻未亡人である蛇石マリナが主人公の物語というわけではなくて、この4人が新宿歌舞伎町を舞台に繰り広げる人間ドラマであり、それを音楽として表現した作品であると私は考えているんですよ。つまり、その中では誰がヒーローで誰が悪であるという構図にも決してなっていないんですね。例えば、2曲目に入っているリード・チューンの「World vs Honor -仁義なき世界-」には"愛を知り怨みを覚え/大義を叫ぶがいい"という歌詞が出てくるんですけど、これはきっと誰にでもありえることだと思うんです。誰かを好きになったがゆえに誰かを怨んだりするって、要は表裏一体なわけじゃないですか。もちろん、世の中にはラヴ&ピースみたいな言葉もあって、それって響き自体はとてもいいなと思うんです。だけど、それって本来両立できるものなのかな? とか、そこに矛盾はないのかな? と感じてしまうところもあるんですよね。

-世の中がきれいごとだけで収まりがつかないのは、世界のあちこちの様々な事象において残念ながら立証されてしまっていますものね。

蛇石:だって、自分の愛しているものを傷つけられて怒りを感じない人なんてそういないと思うんですよ。仮に"そんな怒りは感じなければいい"と言う人がいたとしても、人間はそこまで簡単に納得ができるものではないわけで、『Mardelas Ⅲ』ではそういった際に起こりうるヒューマン・ドラマや、同じ世界に生きているなかで4人がそれぞれに抱えている葛藤や、感じているであろう痛みを各曲を通して歌っていきたかったんです。