INTERVIEW
SLEEPING WITH SIRENS
2017.10.05UPDATE
2017年10月号掲載
Member:Nick Martin(Gt)
Interviewer:鈴木 美穂
フロリダ州オーランド出身の5人組、SLEEPING WITH SIRENSが、ニュー・アルバム『Gossip』を完成させた。2013年発表の『Feel』は、全米アルバム・チャートで3位というキャリア最高の成功を収め、2015年に前作『Madness』をリリース後、同年9月にONE OK ROCKのコンサートの前座として、初来日公演を行った。普段は洋楽を聴かない人たちも、Kellin Quinnの人並み外れた歌声とエネルギッシュなパフォーマンスに、度肝を抜かれたのではないかと思う。2年ぶりの新作では、まるで天使のようなハイトーン・ヴォーカルを自在に操るKellinが、最高に感動的でリアルな歌を、最高にキャッチーでポップでモダンなロック・サウンドに乗せている。一度聴いたら、すべての曲のメロディが頭から離れなくなるほどの傑作だ。ギタリストのNick Martinが、ニューヨーク公演の直前に電話取材に応じてくれた。
-現在、全米を回るツアー中ですが、ツアーはいかがですか?
すごく楽しいよ。今年の大半はスタジオで過ごしてたから、ついにツアーに出られたんだ。ニュー・アルバム『Gossip』からの新曲もプレイしてるんだけど、観客の反応が信じられないほど大きくて、圧倒されてる。すごくハッピーだよ。
-新曲の反応がいいのは、嬉しいですね。
うん、やってみるまで気に入ってもらえるかどうか分からないからね。みんなが、新曲でも昔の曲と同じぐらい大声で合唱してくれてるんだ。本当に、すごくポジティヴな反応をもらってるよ。
-『Gossip』についてうかがう前に、あなたの経歴を簡単に教えていただけますか? 2013年に新メンバーとして加入しましたが、どういった経緯で?
俺は長年の間、D.R.U.G.S.とか、ISLES & GLACIERSとか、たくさんのバンドに所属して、数多くのツアーをしていたんだ。それで、ツアーをしている間にSLEEPING WITH SIRENSのメンバーたちと知り合って、一緒にショーをやったことも何度もあった。それに、彼らのツアー・マネージャーが、以前は俺のバンドのツアー・マネージャーでグッズを売ってたんだ。だから彼らと共通の友人もいっぱいいてさ。ある日、Kellinが電話を掛けてきて、"ギタリストが抜けたから加入しないか?"って聞かれたんだ。その1ヶ月後に、フルタイムのメンバーになったんだよ。彼らと一緒に活動を始めてここまでこられて、本当に感謝してるよ。
-『Gossip』を聴きましたが、すべての曲がヒット・シングルになる可能性を秘めた素晴らしいアルバムだと感じました。あなたは、この新作をどう思っていますか?
そんなふうに言ってもらえて、感激だよ。ありがとう。長い時間をかけて、一生懸命作ったからね。プロデューサーが、最高の俺たちを引き出してくれたと思う。彼は俺たちの可能性を見抜いて、限界を広げるように背中を押してくれたんだ。このアルバムは、全曲、俺たちにとって思い入れのある曲なんだよ。本当に心を込めて制作したんだ。特別なアルバムになったと思う。過去数年間で、俺たちはすごく多くのことを経験したし、サウンドも歌詞の内容も、アルバムのすべての側面が重要な作品だよ。バンドのサウンドの限界を広げることができるって興奮するし、これからもその限界を広げていきたいよ。
-サウンド面では、バンド史上最高にポップなアルバムになっていると思いますが、それが新作の狙いだったんですか?
制作を始める前から、ポップなサウンドのアルバムにしようっていうアイディアがあったわけじゃないんだ。ただ、Kellin(Quinn/Vo)と俺って、ふたりともポップに影響を受けててさ、俺はTHE BEATLESに影響を受けたんだけど、THE BEATLESは俺からするとポップ・バンドだからね。それと、Kellinのヴォーカルがこのアルバムのサウンドを決定づけたと思う。彼の歌声はすごく多様性があって、あらゆるタイプの音楽を歌える。俺たちがどんな曲を書いても、彼はそこにメロディを加えて、彼にしかやれない曲にすることができるんだよ。彼のヴォーカルにポップな面があるのは確かだけど、意図的にポップ主体のアルバムを作ろうとはしていなかった。ただ、そういう曲が生まれただけなんだ。
-なるほど。今回、プロデューサーにDavid Bendethを起用したのはなぜですか?
まず何よりも、このバンドの大ファンの人をプロデューサーに選びたかったんだ。彼は4~5年前から、俺たちのプロデュースをしたがってたんだけど、タイミングが合わなかったんだよ。でも今回、俺たちが制作を始めるときに彼のスケジュールが空いてたから、一緒にやれることになった。彼は俺たちひとりひとりがミュージシャンとしてどの段階にいるかを見極めて、俺たちの限界を一緒になって押し広げてくれたんだ。
-ダンサブルでエッジーなアルバムのオープニング曲「Gossip」は、どのようにして生まれた曲ですか?
Kellinが、尖ってて深みのある曲を書きたがってたんだ。"人にどう思われてるかなんて、気にしない"っていう曲だよ。"俺たちのことは、好きなように言ってもらって構わない。でも俺たちは、作品に誇りを持ってるし、俺たち自身を誇りに思ってる"って言ってるんだ。そうやって、ネガティヴなことを全部、ポジティヴに覆そうとしてる曲だよ。
-あなたたちの公式FacebookページやTwitterで私が目にしたのは、ファンからの愛に溢れるコメントばかりだったので、あなたたちについてゴシップを言う人がいるっていうことに、少し驚いたんですが。
もちろん、悪口よりもずっと多くの愛をたくさん受け取ってるよ。俺は、俺たちのファンが大好きなんだ。それでも、ネガティヴなことを言う人たちはいるんだよね。俺たちにできることは、俺たちの音楽と行動で、ポジティヴなメッセージを広めることだと思う。だから、俺たちを嫌う人たちには、"好きにしてくれ、俺たちはポジティヴィティと愛を広めるよ"って言うよ。
-ポジティヴなメッセージとダイナミックなロック・サウンドが感動的な「Legends」のミュージック・ビデオでは、あなたたちのファンの写真やビデオをたくさん取り込んでいて、とても素敵なアイディアだと思いました。なぜこれをやりたいと思ったのですか?
俺たちはずっと、こういうことをやりたいと思ってた。「Legends」を発表したあと、この曲にインスパイアされた人が予想以上に大勢いて、その反響がすごく嬉しかったんだ。彼らは、それぞれにパーソナルな話をシェアし始めたんだよ。どんなにネガティヴな状況にいても、前向きにそこから抜け出したっていう話をね。それで俺たちは、"もうこの曲は俺たちについてのストーリーじゃない。それよりずっと大きな存在になってる。みんなのための曲にしたい"って思った。だから、このビデオに俺たちのファンを入れて、"俺たちのことをサポートしてくれてありがとう。それ以上に、君たちのストーリーをシェアしてくれてありがとう"って、彼らに伝えたかったんだ。俺たちがみんなをインスパイアすることもあるかもしれないけど、それと同じくらい、みんなは俺たちをインスパイアしてくれる。みんなの話を聞いて、俺たちのポジティヴなメッセージが素晴らしい形で誰かに影響を与えたことに、全員が感動してたんだ。