INTERVIEW
odd five
2017.10.11UPDATE
2017年10月号掲載
Member:中 拓史(Vo) 今来 淳平(Gt)
Interviewer:山本 真由
-odd fiveの音楽性には多国籍な魅力があるので、海外でも幅広く受け入れらそうな気がするのですが、海外での活動に難しさは感じましたか?
中:"JAPAN EXPO THAILAND 2017"で一番難しく感じたのはトラブルが起きたときの対処ですね。リハーサルにとても時間がかかりました。円滑に言葉のキャッチボールができないぶん、日本では5分で済むような作業も10分、15分と時間がかかってしまって、結果かなり余裕を持っていたタイム・スケジュールもギリギリになってしまい、冷や汗をかきました。日本人は特に時間管理にストイックな人種だと思うので、海外に行くときは大らかな感覚が必要になると感じました。ライヴに関して言うと、シーンや客層にもよると思いますが、日本と乗り方の文化も微妙に違っていたので、もっと勉強していくべきだったなと痛感しました。
今来:たしかにそういう技術的な困難はありましたが、いざライヴが始まったら全然関係ないな、と思いました。"どういうものが海外ウケするんだろう?"とか変に考えすぎていたんですが、自分たちがいいと思ってやっていることにはみんな反応してくれました。そういう意味では"やっていけそうだな"と思いましたね。
-また、今年3月から3ヶ月連続で配信リリースをしていますが、1曲ずつ配信という形でリリースした理由は?
今来:前回リリースした『奇奇奇奇』のツアーが終わってすぐに新譜に向けての曲作りをスタートしたんですが、次のミニ・アルバムは構成まで始めからこだわりたい、という想いが強くて。そういう作り方をしていたら自然とこの曲は入れないでおこう、というアウト・テイクの曲も出てくると思うんです。でもリリースの流れは止めたくないので、連続配信という形になりました。だからと言って手を抜いていたわけじゃなくて、配信曲はどれもリード級にパンチのある3曲で、全部お気に入りです!
-配信楽曲は、今作のアウト・テイクとのことですが、配信曲も含めてリリースしようということにはならなかったのでしょうか?
今来:実は、配信3曲は『Road to the Temple』の布石になっているんです。配信曲のアートワークは僕が描いたんですが、3枚とも"道"をテーマにしたものになっていて、『Road to the Temple』のアートワークと合わせて"長い道のりの果てに辿り着いた境地"というストーリーになっています。『奇奇奇奇』から1年、バンドとしてもいろいろあった旅路を経てできた作品たちなので、ぜひ配信曲と合わせて『Road to the Temple』を楽しんでもらいたいです。
-今作はいつごろから制作されていたのでしょうか? 配信楽曲と同時に制作を始めたんでしょうか?
今来:まさにそうですね。ただ少し『Road to the Temple』の方があとにできた曲が多いです。「エキゾチックマイナー」は最後にできた曲で、レコーディングも迫るなか、大急ぎで作ったんですが、結果的に今までで一番パンチのある気持ちいい曲になりました(笑)。逆に「SKA SHARAKU」は『奇奇奇奇』のツアーが終わった時点でデモができあがっていたぐらい早くできた曲です。聴き比べると僕の音楽の趣向の変化がわかるかもしれません。
-アートワークとタイトルは仏教的でもありつつ、ストーリーを感じさせるものがありますが、何か物語のようなイメージがあるのでしょうか?
今来:"Road to the Temple"というタイトルは僕が考えたもので、アートワークも僕が監修させてもらいました。自分がいつも思っている音楽に対するアティチュードとして"人生はすべて修行だ"というものがありまして。僕が思い描いている音楽の理想像を表現するためなら、身を粉にして捧げよう、どんな困難でも修行と思って受け入れよう、と思っているんです。その"修行"を"Road"、"理想郷"を"Temple"という言葉で表現したんです。だからこの作品でその旅は終わるわけではなくて、バンドを続けていくうえでずっと道しるべになる作品だと思ってます。
-作品のリリースに先駆けて、「MONKEY MAGIC」のミュージック・ビデオが公開されていますが、この曲はゴダイゴの名曲のカバーですね。民族楽器を用いたエキゾチックかつヘヴィなアレンジという斬新なカバーになっていて、昔から聴いているはずの楽曲なのにとても新鮮に感じました。この楽曲は70年代の楽曲ということで、20歳くらいのみなさんからすると、だいぶ昔の曲になるんじゃないかと思いますが、どうしてこの曲を選んだのでしょうか?
今来:実は僕の母がゴダイゴのファンで、なんと僕がお腹の中にいるときにもゴダイゴのコンサートに行ったことがあって、生まれる前の僕はその音を聴いて興奮したのか、お腹をドンドン叩いてたらしいんです(笑)。まさに原体験ですよね(笑)。そのこともあって物心ついたときからゴダイゴの曲はとても馴染みがあり、カバーに選んだんです。でも今思うとあの70年代当時にあれだけプログレッシヴなことをやっていたのはかなり斬新で挑戦的だと思います。そのゴダイゴの楽曲を、今の僕たちがカバーするということは、その革新的なマインドまでカバーするつもりで、誰も聴いたことがないアレンジにしようと思って作りました。