INTERVIEW
妖精帝國
2017.06.02UPDATE
2017年06月号掲載
Member:ゆい(Vo) 橘 尭葉(Gt) Nanami(Ba) 紫煉(Gt) Gight(Dr)
Interviewer:荒金 良介
-ここ最近、海外のリアクションを肌でより感じる場面が増えたのでしょうか?
ゆい:我々のMVは海外の人のコメントがやけに多いので、今後はもっと海外でやっていきたいという野望が今作には表れている。私はInstagramをやっているのだが、海外のユーザーからの反応も多くて、何語かわからないコメントを翻訳しながら読んでいるからな(笑)。
-何か印象に残ったコメントはありました?
ゆい:だいたい、私を褒め称えるコメントばかりだからな。まぁ、我々のヴィジュアル面や曲は、海外にウケやすいと思う。
-妖精帝國の音楽のベースにメタルがあることは大きいですよね。
ゆい:日本よりも海外の方がメタルを聴く人口が多いのは確かだし......そこに日本人らしいヴィジュアルがマッチして、興味を示す人がいるだろうな。
-「flamma idola」はエスニックな新しいテイストを入れてますよね。これはNanamiさん作曲ですが。
Nanami:このバンドの作曲形態は、全員でデモを持ち寄って、この曲をベースにやろうかと言って、そこからみんなで作り込んでいくんですよ。エスニックみたいな要素は必須でした。
-お題があると、曲もスムーズにできるものですか?
紫煉:いや、この曲は1ヶ月以上かかりましたね。毎週、みんなでアイディアを出し合ったり、話し合ったりして。最初のSEも揉めに揉めて、シンプルに始めるのか、壮大に始まるかで考えましたからね。なので、ぜひ飛ばさずに我々の悩みの結晶を聴いてほしいなと(笑)。
ゆい:今回はギターのリフがかなりいいので、どうやってそれを最大限に生かすのか。そこで長いイントロがいるのかいらないのか、みんなで相当悩んだな。
-「flamma idola」はエスニックさもありつつ、クラシカルでシンフォニックな要素もあり、かといってヘヴィさもまったく失われてませんよね。
ゆい:今回は妖しさ成分は多めにしてある。それがもともと我々の持ち味だからな。それでコーラスを多用して、改めて我々のメタルと合わせてみようと。
橘:前はコーラスとストリングスが中心だったけど、今回はちゃんと強いギターがあるので、そのふたつを合わせられるようになったことが大きいですね。
-ヘヴィさとスケール感をうまく融合できたと。海外のシンフォニック・メタルの様式にも当てはまらない、強烈なオリジナリティが出てますよね。
橘:個性を出さないと埋もれるし、同じことをやりたくない気持ちはありますからね。
ゆい:最近はメタルの細分化が激しいので、新しいメタルの名前はないのかな、これ(今作)?
橘:ふふふふ。
ゆい:今あるジャンルには入らなそうだから(笑)。
橘:我々は同じアルバムの中に全然違うジャンルの曲を入れますからね。1曲の中でも様々なジャンルを入れたりするので......まぁ、ジャンルで言えば、かっこいいメタルです(笑)!
-ははは。「天鵞絨パピリオ」(Track.2)は橘さん作曲ですよね?
橘:最近は速い曲ばかり作っていたので、ゆっくりな曲を作ろうと。そのなかで恐怖や、ゴシックっぽい情景が浮かぶものにしたくて。最初の重々しいリフからロマンチックに展開していくんですけど、その対比が面白く出せたらいいなと考えました。あと、ギターの音もこだわって、オクターバーを多用してます。その説明を紫煉総長にお願いしてもいいですか?
紫煉:エフェクターで上や下の音を足すんですが、左右で同じ音を出しているかと思いきや、片方は上を足して、片方は下を足して、それで独特なサビの壁感を作ってます。オーケストレーションというか、それをいかに出すかを考えました。かなり研究したので、サビも広がりが感じられるかなと。だから、ギターをやってる人はそこを意識して聴いてみてください。
橘:ギターの刻みをあまり使わず、メロディで構成したアレンジになってますからね。恐怖をテーマにした曲なので、さっきのオクターバーもそうだけど、いろんなおかしなことをやろうと(笑)。ドラムのタムのチューニングも限界まで低くしたり、いろいろやってますね。
-それが曲のスケールや奥深さにも繋がっているんですね。
Nanami:この曲に限らず、ベースは暗めの音色にしてます。
Gight:音作りは課題でしたね。イントロとサビの対比を意識して、ドラムのフレーズも結構悩みました。
-この曲のゆいさんの歌い回しはよりセクシーだなと。
ゆい:曲を聴いたときに怖そうで、妖しさもあったから、歌い方にもその気持ちを込めた感じかな。
橘:サビの語尾はこだわりポイントです。そこにいろんな感情がこもってます。サビで少し伸ばしているんですけど、特に最後のサビは声だけになるパートがあって、終身独裁官(ゆい)の声の良さ、感情表現の良さが出ているなと。
-感情的な歌声と曲調のスケール感の対比がまたいいですね。
橘:かけ離れているものが同時に存在している。その危うさはメロディやギターの絡み、ドラムの変拍子からも感じられるかなと。