INTERVIEW
Victim of Deception
2017.01.13UPDATE
2017年01月号掲載
Member:Daichi(Vo) Junpei(Gt) morby(Gt)
Interviewer:荒金 良介
東京で結成された新世代デスコアを掲げる5人組、Victim of Deceptionが"TRIPLE VISION"移籍第1弾となるセルフ・タイトルを冠した最新EPを完成! 昨年はLast Day Dreamとの壮絶なバトルを見せつけたスプリット作『VoD vs LDD』を発表し、それからわずか3ヶ月のハイペースで届いた今作は、これまで進めてきた歩みを踏まえ、バンドの現在地を示す強力作である。冒頭でデスコアと書いたものの、激しくてうるさい音楽が好きな人なら、スッと入れる間口の広さも彼らの特徴と言える。メタルコアはもちろん、ミドル・テンポでじわじわ攻める曲調もあり、これ以上ない豊富な球種を投げ込んでくる全6曲入りの1枚だ。
-今作『VICTIM OF DECEPTION』は"TRIPLE VISION"からのリリース第1弾になりますが、気持ちを新たにみたいなところもありますか?
Junpei:そうですね。環境が変わったこともあり、心機一転という気持ちはあります。最初の作品(2014年リリースのシングル『Anti Creed 1st DEMO』)からスプリット(2016年10月リリースの『VoD vs LDD』)にかけて、曲調の雰囲気も変わったので、いいところは残しつつ、新しい色味を出したいなと。
morby:軸はあまりブレてないと思うし。
Junpei:そうだね。デスコアというジャンルは変えずに、いろんな変化を出したくて。
morby:前作以降もかなりいろんな音源を聴き漁ったもんね。
-いろんな音楽にアンテナを張り巡らせて?
Junpei:海外のいろんなバンドをチェックするようになりました。最初のEP(2015年リリースの『The Uprising Desolation』)は僕がそんなに曲を作ってなかったけど、最近は多くなりましたからね。
-以前はオージー産のデスコアが好きだと言ってましたよね。
Junpei:はい、そこは変わらず。デスコアの中にもいろんなバンドがいますからね。
morby:前はTHY ART IS MURDER、BORIS THE BLADEを聴いてたけど、今回はUS産のメタルコア、デスコアも聴くようになりました。
Junpei:今回僕が4曲作っているんですけど、4曲とも色が違うんですよ。僕自身はメタルコアも好きだし、バンドとして1色だとつまらないから。
-今回、Junpeiさんが作ったのはどの曲ですか?
Junpei:「Reign」(Track.1)、「Suffering」(Track.3)、「Mastery of Misery」(Track.5)、「Prostrate」(Track.6)は僕ですね。
Daichi:僕はmorbyと聴くものが似てて、今回は「The Inferiority」(Track.2)を作曲したんですけど、それはオージー産にUSテイストを取り入れた感じですね。たぶん、今回のEPでは一番オージー色が強いかもしれない。
morby:今までのVoDの延長線上にある進化形の曲だよね。
Junpei:ずっと疾走しているというか、一定のテンポをキープして進んでるから。
-前作『VoD vs LDD』からそれほど期間は空いてないですよね。曲はいつごろ作ったんですか?
Junpei:2016年5月に会場限定シングル(『Mastery of Misery』)を出したんですけど、「Mastery of Misery」はその中に入っていた曲なんですよ。「Suffering」、「Prostrate」は結構前から作ってました。その2曲は個人的にスプリットに入れたくなくて。
-それはなぜ?
Junpei:特に理由はないんですけどね。まだアレンジを詰めたり、曲をあたためておきたかったから。
-前作はバトル感もありましたからね。
Junpei:そうですね(笑)。Daichi君、morbyが作った2曲(「The Inferiority」、Track.4「The Immorality」)は最近できたものですね。スプリット発売前後に作ってましたから。今回はセルフ・タイトルEPという感じなので、いろんな色の曲を入れたくて。SEもなく、曲をがっつり詰め込もうと。
morby:「The Immorality」はテンポが遅いんですよ。今までになかった曲ですね。イントロは速いけど、あとは走らないようにしようと(笑)。
Junpei:だから、全曲いい感じにバラけることができたかなと。もとからリリース予定を立てたうえで動いていたんですよ。2016年の2、3月ぐらいにミーティングで、俺はこうやっていきたいと流れを決めたんです。
-計画を立てて動きたいタイプですか?
Junpei:俺はそうですね。全部考えたうえで、うまく進んだと思います。
Daichi:今までが行き当たりばったりでしたからね。2016年に入って"今後どうしよう?"という感じになってきてたんだけど、Junpeiがリーダーになって仕切るようになったから、そこでJunpeiがいろいろ計画を立てたんですよ。
-2016年は受け身ではなく、自らどんどん動こうと?
Junpei:停滞ではないけど、ずっと同じ位置を走ってる感覚があったから。俺だけじゃなく、他のメンバーも天井が見えてきたみたいなことを言ってて。このままじゃ悔しいから、もっと動かなきゃいけないなと。
morby:絶望まではいかないけど......マンネリ感はあったかもしれない。
Daichi:2016年1月に小さいツアーを5ヶ所やって、海外のKUBLAI KHANというバンドと回ったんです。それは楽しくて盛り上がったけど、そのあとの反応が思ったよりも少なくて。経験値は上がったけど......もっと上に行くためにはどうすればいいかなと。
Junpei:で、どうすればいいんだろうと思ったときにHER NAME IN BLOODのメンバーとレーベルの方に挨拶する機会を作ったり、自分たちから環境を作らなきゃダメだなと。それこそ5月にツアーのゲストに誘ったSANDも、挨拶させてもらい、企画に出ていただいたんですよ。レーベルや先輩との関係性を作るために動いてました。それで"TRIPLE VISION"と契約できるとなったときに、よりいいものを作りたいという気持ちにもなりましたからね。
-いい意味でプレッシャーを感じて?
Junpei:そうですね、俺はありましたね。"TRIPLE VISION"と契約できたのも夢でしたから。
-それで今作はセルフ・タイトルにしようと?
morby:ちょうどいいタイミングでした。
レーベル担当者:"本当にセルフ・タイトルでいいの?"って聞き直しましたからね(笑)。
-ある意味、1回しか使えないアルバム名ですもんね。
Junpei:俺が曲を作ったとしても、メンバーみんなかっこいいと思わなければ出さないと決めてました。あと、今回の計画の最終段階に決めていたことだから、"ここだ!"という気持ちはありました。"大丈夫かな?"と心配にもならないくらいで。もちろんここからが勝負だし、現時点で俺らができる集大成みたいな気持ちはありましたからね。結成からもうすぐ3年経つし、セルフ・タイトルがいいかなと。