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INTERVIEW

SIXX:A.M.

2016.11.15UPDATE

2016年11月号掲載

SIXX:A.M.

Member:James Michael(Vo/Gt)

Interviewer:KAORU Translator:安江 幸子

-現在、SIXX:A.M.はFIVE FINGER DEATH PUNCH、SHINEDOWN、AS LIONSとの全米ツアーに入ったころだと思いますが、体調なども含めてテンションはいい感じですか?

今のところ最高だよ! まず、FIVE FINGER DEATH PUNCHやSHINEDOWNは友達だからね。実際、一緒に過ごすのが好きな相手とツアーするっていうのはいいことだよ。それがあるだけでも大きな違いがあるからね。肉体的にも全員絶好調で、ファンタスティックなショーが続いているよ。オーディエンスもとにかく素晴らしいしね。君も知ってのとおり、SIXX:A.M.は今年たくさん曲を発表したんだ。そして『Prayers For The Damned』(2016年4月リリースの4thアルバム/以下:Vol.1)のプロモーションを精力的にやってきた。今は"Vol.1"から 11月18日に出す『Vol.2 Prayers For The Blessed』(以下:Vol.2)への移行期で、両方のプロモーションをしているような感じなんだ。とてもエキサイティングな時期だよ。インスピレーションもエネルギーもたくさんもらっているし、こういうふうにツアーする機会を与えてもらっているだけで本当にハッピーなんだ。

-"Vol.2"からの新曲はもうライヴでプレイしているのですか?

新曲は1曲、シングルの「We Will Not Go Quietly」(Track.2)をやっている。数週間前、カナダをツアーで回っていたときにやり始めて、ビデオもそのときに撮ったんだ。オーディエンスに速攻で馴染んで本当にワクワクしたよ。両方の作品の曲作りやレコーディングをやっていたときの主な目的は、ライヴでうまくいく曲を作ることだったから。オーディエンスが高揚するような曲をね。何がエキサイティングだったって、誰も聞いたことがない曲をプレイしているのに、オーディエンスの反応がすでにヒット曲のそれだったこと。まさにそれを望んでいたんだ。

-すごいですね! 他の曲にもうまく馴染んでいたんでしょうね。

そう、セットリストにもぴったりハマッていたよ。とにかくライヴ向きというか、ビートやテンポが良くて、オーディエンスをすごく盛り上げてくれるんだ。

-つい先日、日本のメタル・フェス"LOUD PARK"に出演していましたね。SIXX:A.M.のライヴはいかがでしたか? ファンの反応も含めて感想をお願いします。

あぁ、最高だったよ! そもそも俺たちは日本に行くのが大好きだからね。SIXX:A.M.として過ごす時間のなかでもたぶん五本指に入るくらいお気に入りなんだ。日本はまだ2回目なのに、ファンのサポートや熱狂が本当に素晴らしくて。特に"LOUD PARK"でやったときはものすごくたくさんの人が来て、俺たちを観てくれた。だから自分たちの音楽を紹介するのに最高の機会だったね。なかには俺たちの名前しか知らないとか、1、2 曲は知っているけど......という人たちもいただろうけど、彼らの前でまるまる1セットをプレイできるというのは本当に素晴らしい機会だった。いやぁ、ファンは本当に盛り上がってくれたよ。

-とても献身的なムードを感じたのではないでしょうか。

本当にそうだよ。俺たちも日本での存在感を確立するために全身全霊を捧げているから、それが返ってきているといいね。早くも次に日本へ行く日が待ち遠しいよ。

-"LOUD PARK"にはWHITESNAKEやDIZZY MIZZ LIZZYといったHR/HMシーンの大レジェンドも出演していましたが、誰かのライヴを観たりして楽しみましたか? 何か面白いエピソードがあったら教えてください。

それが、あまり観られなかったんだ。テレビとかの取材がいっぱいあったしね。でも、たしか前の日にSCORPIONSがやったんだろう? 以前、彼らのアルバム(2007年リリースの16thアルバム『Humanity: Hour I』)をプロデュースしたことがあったから観てみたかったし、挨拶もしたかったけど、叶わなかったな。

-あなたたちと同じ日にSCORPIONSの元メンバーであるUli Jon Rothが出ていましたよね。

たしかそうだったと思う。いやぁ、本当にたくさんの素晴らしいバンドが集まっていたよ。何が最高かって、たった 1、2 日のイベントで本当に多彩なスタイルの音楽が網羅されていたことだね。ああいうビッグなフェスで俺がワクワクするのはそういうことなんだ。そこにやってくるファンたちは決してたったひとつのタイプの音楽を求めてくるわけじゃない。いろんな音楽と接して楽しみたいんだ。そういう体験を与えてくれるのが、あの手のショーのスペシャルなところだね。"LOUD PARK"は真の意味で素晴らしいフェスのひとつだと思う。

-さて、"Vol.2"の完成おめでとうございます。前作の"Vol.1"から約半年というスパンでのリリースですね。まずはSIXX:A.M.としてダブル・アルバムを制作しようと思った経緯を教えてください。

そうすることにしたのは2015年、『Modern Vintage』(2014年リリースの3rdアルバム)のツアーが終わったころだった。そのときは、(ベースのNikki Sixxがいた)MÖTLEY CRÜEの活動が終わることも、DJ AshbaがGUNS N' ROSESを抜けることもわかっていたんだ。それで突然、SIXX:A.M.にとってあらゆる可能性が開けてきたんだよ。ようやくSIXX:A.M.に自分たちの時間を全部割けることに気づいた。俺たちにとっては実にターニング・ポイントだったね。それで、今年は世界中を回ってたくさんライヴをやることになるから、ファンにたくさんの曲を届けることが重要だって話になった。それからみんなでスタジオに入って、ものすごく頑張って、一度にアルバム2枚分の曲を録音したんだ。で、片方を今年の前半、もう片方を後半にリリースするという計画を立てて、実際にそのとおりにやってきた。2枚を分けてリリースすることにしたのは、20曲以上を一度に出してしまうと、ファンがそれを一度に吸収できるほどの集中力が期待し難いと思ったから。特にSIXX:A.M.は歌詞的にも音楽的にもとてもヘヴィだからね。それで、ファンに"Vol.1"を十分に知る時間を与えて、曲を理解してもらって、これからどんな旅に出ようとしているのかを知ってもらいたいと考えた。"Vol.2"はその旅の続きなんだ。そうすることが好ましかったと思う。何しろ膨大な量の音楽だからね。

-"Vol.1"の"Damned=呪われた"と"Vol.2"の"Blessed=神の祝福を受けた、恵まれた"は対極的な言葉ですが、具体的にこの2枚で表現したかったテーマを教えてください。また、"Pray=祈り"を捧げようと思ったのはなぜですか?

曲を書いているときに意図的にそのふたつを考えていたんだよね。DamnedとBlessedの意味についてものすごく模索しながら、ふたつのアルバムの相互作用をどうすべきかと思っていたんだ。何をもってDamnedと定義するのか、何が人をBlessedにするのか、何が人をDamnedにするのか――それは必ずしも見かけどおりではないんだ。例えば"Vol.1"を聴くと、俺たちが幸薄い人々のことを語っていることがわかる。ものすごい試練を課されて、ある意味偏った状態にされている人々だね。当然、善人なら彼らに対してある種の同情心が生まれる。"Vol.2"では、そういう状態から疑問を覚えるようになるんだ。"ちょっと待てよ。実際はこの人たちがBlessedで、こっちの人たちがDamnedなんだろうか?"とね。「Barbarians(Prayers For The Blessed)」(Track.1)では"Say a prayer for the blessed, they are dying in our hands"(訳:神の祝福を受けた者たちに祈りを捧げよう、彼らは俺たちの腕の中で死んでゆく)なんてフレーズが出てくる。それでいて、この曲はDamnedな人の視点で書かれているんだ。この曲はグローバルなレベルで疑問を呈するところがとても気に入っている。ニュースで目にする人々......成功者たち、政治家、リーダーたちは、恵まれているように見える。すべてを手に入れて、意のままに操ることができるからね。でもその人たちをじっくり見れば見るほど、"うわっ、俺は決してああなりたくない"と思ったりする。そういう、物の見方について疑問を呈する内容だね。今のはグローバルなレベルの話だけど、超パーソナルなレベルでも、俺もバンドのみんなも、誰もが自分のなかの善と悪の闘いに苦しんでいるものだと考えているんだ。そういうことに直接働きかける曲もある。「Maybe It's Time」(Track.4)や"Vol.1"の「Better Man」や「Prayers For The Damned」もそうだけど、自分自身のパーソナルな旅について言及している。思うにどちらのアルバムも、とてもパーソナルな旅と、グローバルでソーシャルを意識した旅が取り上げられているんじゃないかな。

-なるほど。そういう意味でも二面性があるんですね。

そんな感じかな。すべての人間の姿が反映されていると思う。