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INTERVIEW

NOTHING TO DECLARE

2016.09.07UPDATE

2016年09月号掲載

NOTHING TO DECLARE

Member:Mas Kimura(Vo/Gt) Yoshi(Gt) Mutsumi(Dr)

Interviewer:山口 智男

-ところで、11曲目のアルバム表題曲「Louder Than Words」が無音なのでびっくりしました。

Mas:気づいていただけてありがとうございます。ちゃんと意味があるし、実は無音ではなくて。ちゃんとスタジオでエンジニアさんが立てたマイクを、1分間みんなで眺めながらレコーディングしたんです(笑)。それぐらいしっかりした音源ではあるんですよ。むやみに喋るよりも黙っている方が強いメッセージが伝わるという意味の"Silence Speaks Louder Than Words"って言葉があって――

Mutsumi:日本語で言うと、"沈黙は言葉よりも雄弁なり"。

Mas:音をギャーギャー出しているけど、無音の時間が欲しいときもあるんです。そっちの方が落ち着くこともある。それも自分の中のエッセンスというか、あえて1分間の無音を共有したかったんです。アルバムの11曲目にきたとき、その1分間でアルバムを巡ってもらえたら嬉しいし、その1分間で"自分って何だろう"って考えてもらってもいいし。何かを思う空間を作りたかったんですよ。変な話、そのアイディアが自分の中でかっこいいと思えて、"Louder Than Words"......これがタイトルだって決まりました。

Mutsumi:しっくりきたよね。誰からも異論は出なかったし。

Mas:黙祷の時間が1分間なのでそうしたんですけど、その1分間、無音で過ごすのもそれはそれで音楽なんじゃないかな。イヤフォンで聴いてたら、いきなり外の音が聴こえてきて現実世界に引き戻されるでしょ。それってすごく面白いなと思いました。

Mutsumi:そこで自分の感情を整理してほしいんですよ。「Jenny」が終わった直後、この1分間だけ現実に戻るというか、そこでワン・クッション置かないと僕、「Jenny」のあと普通に飯食えない(笑)。いや、それぐらい「Jenny」は気持ちがこもっているという意味なんですけど、「Jenny」のあと1分間の空白があって、最後にDJ BAKUさんが作ってくれた軽快な「We Stand Alone」のリミックスが入る流れが大事なんです。昔からBAKUさんの音楽が大好きなんですけど、個人的にはこのリミックスが映画でいうとエンドロールなんですよ。映画を見終わったあとの溜息というか、"はぁ~"を「Louder Than Words」でやって、それから「We Stand Alone」が流れると、お世話になった人に対する感謝や今作に込めたさまざまな思いを整理する。そうすることでやっと普段の生活に戻れるんです。

-もちろん全曲という前提はあると思うんですけど、それぞれに一番気に入っている曲を挙げるとするなら?

Mas:難しいなぁ。でも僕は「Save Our Souls」ですね。理由は歌詞にあるんですけど、日本に帰ってきて、自分の色や自分の好きな部分がどんどん薄れていくように感じてたんですけど、そんな状況から抜け出して"自分の色をもっと出すべきだ。それはみんなにも当てハマるでしょ"という強いメッセージが込められているんです。不幸になるために、人を殺すために生まれてきた人っていないと思うんですよ。不幸な境遇の中で、罪を犯してしまう人もいると思うんですけど、その人を責めればいいのか境遇を責めればいいのか。いろいろ考え方はあると思うんですけど、"生まれたときの人間の可能性や色をもっと大事にしよう"というテーマを、「Save Our Souls」で今回やっと音にできたという達成感がありました。

Yoshi:僕はプリプロの段階では「Phobia」だったんですよ。さっきも言ったようにMasにしか出せない和洋折衷な感じが好きだったんですけど、アルバムが完成して繰り返し聴くたびに、やっぱり「Jenny」かなって。アルバムを聴き終わったあとも脳内リピートして、ふとしたときに口ずさんでしまうんですよ。

Mutsumi:僕も総合的には「Jenny」なんですけど、歌詞という意味では「Savior」です。「Jenny」の歌詞は警告的な意味合いもあって、普段気づかずにないがしろにしているものを失ってしまう怖さを歌っているんですけど、ちょうど時期的にも僕は共感できる部分があって、だから演奏していると叫ばずにいられないんです。「Savior」はMVを何回も見ているうちに歌詞が勇気をくれました。自分自身がやっていることで、自分が勇気をもらうって変かもしれないですけど、前向きなメッセージが込められているなと改めて思います。"ここで踏み留まって、お前はそれを変えるのか?"ってメッセージは今まさに新しいアルバムを出してここから勝負していこうってときにすごく背中を押してくれるんですよね。ただ、3ヶ月後、ツアーが終わったときに同じ質問をしてもらったら全然違う答えになっているかもしれないですけど(笑)。それぐらいどの曲も自信があって、そのときそのときの自分の感情や置かれている状況によっても変わってくる。そういうアルバムになっていると思います。

-ツアー["Louder Than Words"Release Tour '16-'17]が、9月11日にスタートして来年の1月28日まで続きますね。

Mas:今はワクワクしかないです。曲をお披露目するのも楽しみだし、ファンの反応も楽しみだし、メンバーそれぞれの出身地を訪れるのも楽しみだし。それから前回、回れなかった福岡にも行きます。そこで待ってくれている人たちもいるので、"いつ行くの? 今でしょ!"って。ちょっと古かったですね(笑)。あと、楽しみなのは各地の地酒(笑)?

Yoshi:それだね(笑)! 一応真面目な話もしておくと、ライヴをすると曲がどんどん成長するんですよ。それが楽しみですよね。ツアーが終わるころにはアレンジも絶対変わってると思います。

Mas:録り直したいってなる(笑)。

Mutsumi:それもライヴハウスの魅力のひとつ。ステージに上がって、我々がしっかりと楽しんでやりきることを考えると、必然的に曲の流れとか、どこに力が入るかってところもやりながら変わっていくので、そういうところを見ていただけると嬉しいですね。

Mas:それとやっぱり、お客さんから肉声で反応をもらえるのが嬉しい。それが何よりもバンドの力になるんですよ!