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INTERVIEW

Emily Sugar

2016.08.15UPDATE

2016年08月号掲載

Emily Sugar

Member:shown(Vo/Gt) Kenta(Gt) Taka-C(Ba) Nori(Dr)

Interviewer:山口 智男

-アルバムを聴かせてもらって、曲が進むごとに1枚ずつ皮がめくれて、次々にいろいろな顔が表れるようなところが良かったです。例えば、どんな曲があったらいいと思って作っていったんですか?

shown:「so here I am」と「your eyes」はともにBPMが速いので、そういう曲ばかりだと、お客さんも僕たちがどういうバンドなのか把握しづらいだろうからってことで、テンポを少し落として、でも疾走感がある曲を作ろうってことで作ったのがTrack.5の「when you cry」。「your eyes」がかなりダークで激しい曲なので、それとは反対にポップでメロディックなもの、なおかつサビが際立つような曲を意識しながら作りました。今回、心境の変化が一番表れたのがTrack.4の「start over」。これは日本語で歌ってるんですけど、それまで洋楽がルーツにあるせいか、日本語で歌うって考えが全然なかったんですよ。周りの人たちやお客さんから"日本語で歌わないの?"って言われることも多かったんですけど、正直ちょっと怖かったんです。今の英語詞の楽曲に負けない、むしろそれを超えるぐらいのクオリティで日本語の曲を作れるのか自信がなくて、逃げてたんですよ。かっこつけて、"僕たちは英語で歌うバンドだから"って言いながら。でも、フル・アルバムを作るからには何かサプライズが必要だし、それをわかりやすく示すには何だろう? やっぱ日本語だよなって。ただ、実際やるとなるとどうなんだろうって最後まで迷ったんですけど、今回、僕らのアーティスト写真とジャケットと歌詞カードのデザインを担当してくださった写真家のrin:)さんにアー写を撮ってもらったとき、空いている時間に「start over」のイントロのフレーズをギターで弾いてたら、小川が流れているとても気持ちのいい場所だったせいか、自然に日本語がぽろっと出てきて。それで気持ちが吹っ切れて、日本語にしようと思ったんですよ。あのとき、rin:)さんに"楽器を持ってきてください"って言われてなかったら、「start over」は英語かボツになっていたと思うから、rin:)さんにはホント感謝です。

-その「start over」でいきなり日本語が聞こえてきて、劇的に流れが変わるから、すごくハッとさせられるんですよね。

shown:よかった。狙いどおりです(笑)。

-面白いことに「start over」のメロディは、ちょっと和の感じがありますね?

shown:洋楽ばかり聴いてたんですけど、だんだんと日本のバンドもかっこいいと気づき始めたんですよ。それまでは頑なに心を閉ざしてたんですけど、2年ぐらい前から日本のバンドも聴くようになって、良いところを吸収しながら可能性を広げていきたいと思うようになったんです。それからいろいろ溜めてきたストックが今回、日本語の歌詞を書いたことでやっと役立ちました。

-アルバムの後半にはピアノ・バラードのTrack.8「fear」、バンド・サウンドにピアノを加えたTrack.9「a stupid thing」といった新しいことに挑戦した曲も収録されていますね。

Nori:レコーディングの何日か前にshownが鬱状態になってしまって、あまりにも心配だったんで、電話してshownとふたりでスタジオに入ったんですよ。そしたらそのとき、「a stupid thing」がパッとできたんですよ。

shown:落ち込んでた理由っていうのが、それまで7曲は仕上がってたんですけど、「start over」、「fear」、「a stupid thing」の3曲がまだゼロの状態で、"7曲あるんだったら曲を増やして、ちゃんとフル・アルバムで勝負したい"と思いながら、全然曲が作れなかったんですよ。そんなとき、Noriに誘ってもらってすごく励まされました。それともうひとつ、rin:)さんがそのときちょうどジャケットのデザインを送ってくれて、それを見てものすごく感動したんですよ。自分たちの音楽が写真という別の形になったことが僕の中で嬉しくて、そのジャケットをイメージして「fear」のピアノ・フレーズを作ったんです。そしたら、"俺できる。そのまま突っきろう"と思えて「a stupid thing」ができたんですけど。「fear」のピアノ・フレーズをrin:)さんにLINEしたら、すごく喜んでくれて、"あ、これは(ピアノ・フレーズだけじゃなくて)最後までちゃんと完成させなきゃ"って、その勢いで「a stupid thing」にもピアノを入れちゃえって(笑)。だから、その3曲に関してはrin:)さんのおかげが大きいです。音楽以外の刺激をもらって曲ができたっていうは、ものすごく貴重な体験でしたね。

-ところで、激しい演奏もEmily Sugarの魅力ですが、曲をアレンジするうえではshownさんが作る曲に対して、3人はどんなアプローチをするんでしょうか?

Nori:shownの歌を際立たせるドラムを考えながら、自分の主張と歌のバランスのちょうどいいところを提示して、それに対して、shownが"イメージとちょっと違う"と言えば、また新しいものを提示して、ってその繰り返しですね。

shown:そこで難航することが多いんですよ。それは僕が、あまりにもアバウトな言い方で無理難題を言うからなんですけど、以前はそれでしょっちゅうケンカしましたね。

Nori:1回殴り合いのケンカになったこともありました(笑)。

shown:そんなふうにNoriと僕でだいたい作ったあと、みんなで演奏しながらアイディアを試しつつ、徐々に整えていくって感じですね。

Kenta:リード・ギターは、shownが曲の構成とバッキングを作ったあとに乗せるんですけど、毎回、メロディがすごくいいんですよ。それを活かすには、やっぱりイントロが大事だと思ってるんですけど、そこを色付けるするのは自分のギターだろうって。shownのメロディがいいので、それに負けないというか、shownにかっこいいと言わせるようなリフを考えるようにしてます。

shown:だから、スタジオでドヤ顔してるんだ(笑)。